マガジンのカバー画像

創作

43
詩とか、小説とか。ノンフィクション、フィクションごちゃまぜ。
運営しているクリエイター

2019年1月の記事一覧

一人じゃないと思いたい

一人で何でもできるように 一人でも大丈夫なように 一人でも生きていけるように そう思って生きてきたし 今もそう思って生きている 無意識レベルで 気付くと思考は一人に向かうし 気付くと行動も一人に向かう 一人がかっこいいとすら思っている 人に頼るのは恥ずかしいことで 信頼はいつか裏切られるもの だって最愛の人はきっと私より早く死ぬし そのための心の準備をしておかなくちゃ 死ぬときは誰にも迷惑をかけないように 一人でひっそりと死ねるように でもやっぱりそんなの寂しいよ

耐用年数

 耐用年数7年。  二人暮らしを始めるときに家電量販店で何のこだわりもなく買った洗濯機は、どうやら今年、耐用年数を迎えるらしい。うちは私が自堕落なせいで毎日洗濯するわけじゃないから、実際はもうちょっと保つのかもしれないけど。それはそれとして、もうそんなに経ってしまったのか、と感傷的になってしまった。最近はあまりに無為に日々を過ごすことが増えたから、余計なことばかり考えてしまいがちだ。  そういえば、私にも耐用年数がある。まさか洗濯機に自らの終わりを思い出させられるとは思わ

物足りない

優しいだけじゃ 物足りない 気持ちいいだけじゃ 物足りない 愛してるだけじゃ 物足りない 痛みをください 傷をください 身を焦がすほどの憎しみを 独善的な愛をください 浅ましい女と 蔑んだ目で見つめてほしい 憎らしい奴だと 突き放すように吐き捨ててほしい それくらい強くしてもらわなくちゃ あなたの愛を感じられない 首を絞められなくちゃ 息ができないって気づけない 息苦しいのが当たり前だから 殺される寸前が一番 生きてるって感じがするの ねえ、そんな悲しい顔をしない

化けの皮

わたしの化けの皮を ゆっくりと、ていねいに 一枚ずつはがして 時に荒っぽく 無遠慮にめくって 露わになった 柔らかいところに その爪を突き立てて 感じさせて、痛みを 生きているという実感を わたしにも 赤い血が流れていると 知らしめてほしい

Eat me.

わたしを食べて 獣の肉を貪るように 骨髄や血さえも 最後の一滴まで飲み干して きっとあなたの血肉になるから わたしを食べて 禁断の果実を貪るように 滴る果汁さえも 最後の一滴まで飲み干して きっとあなたの毒になるから *** 晩餐の準備は整った さあ席について 豪奢なテーブルに並ぶは多種多様な料理 まずは口に入れて咀嚼して そして飲み込んで消化して わたしはあなたの身体をめぐって 少しずつ、あなたの一部になる 血肉になるのか 毒になるのか 食べてみないとわからな

立ち止まり ふりかえり うずくまり また前を向く

私のやってきたことは 妄想の世界から 現実の世界に 自分を引き戻す作業 家族の誰も 私の苦しみを解さない そんな残酷な現実を この身に刻むための作業だった 温かな夢も 優しい闇も 苦しい夜も 本当はなくて 私にあるのは ただ歯車が噛み合わなかっただけという 空虚な事実だけ それに気付いてしまった時 私は叫びを上げた 私の心はどこへ置けばいいんだろう 私の怒りはどこへ向ければいいんだろう 目が曇ってちゃんと現実が見えなくなると すきがきらいに反転する 全部全部、大嫌い