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ヒロキと弘樹はトルナトーレには出会えない

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ニューシネマパラダイスの監督ジュゼッペ・トルナトーレに会いに行く42才になった監督の弘樹。映画の道を歩み始める20代・大学生のヒロキ。時空を超えたクロス・マッチングストーリー。果…
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#映画

第41回「イタリア縦断記 その9」目指せニューシネマパラダイス 映画の道

「夢の島シチリア」  シチリアへ行きたい。  あの映画の中に、世界に入ってみたい。  初…

二十五回「出鱈目なパズル その弐 妄想映画人の誕生」の巻

1994年 1月  草加 〇妄想映画人は朝が早い   朝の大学が好きだ。時期で言えばそうだな、…

二十四回 「出鱈目なパズル その壱」

一九九四年初頭の出来事  草加 我ながら出鱈目なことばかりしている、と分かっている。この…

二十二回 「僕は本で出来ている」

1994年 2月 草加 〇 運ばれた荷物の殆どは本だった。 こうしてみるとよく分かる。僕という人…

第二十一回 臨時号 「暮らしを整える」

いま僕が何をしているのかといえば、「暮らしを改めること」に取り組んでいます。かれこれ三年…

二十回「今日用はあるか?」

◆2018年4月 ヴェネツィア 「空っぽにすること」  復活祭(イースター)がやって来るらしく…

連載十七回 「どんなことをしようとも、自分のすることを愛するんだ」

◆一九九三年十月 渋谷  第六回東京国際映画祭ー、これが僕が初めて行った映画祭だ。渋谷のBunkamura cinemaで映画「ラストソング」の初公開の日。これをワールドプレミアというのだと業界ではいうらしい。大学のある草加から渋谷までは電車にのって一時間あまりの距離なのに心の距離はどこか遠く感じる。ましてや国際映画祭って一体何を着ていったら良いんだろうかと弘樹はそわそわしていた。「舞台挨拶があるなら一緒に行くわ」とR女史が言ってくれたのが救いだった。 「何か質問など出来

連載十五回 「再会のまち」

◆一九九三年 九月釧路にて  まだ彼は来ていない様だった。 だから僕らは釧路駅の「くしろよ…

第十三回 「家族に世界に、何が起きているのかを夜な夜な知る」の巻 中篇

◆二〇一八年 二月 ヴェネツィア 「ヴェネツィアカーニバルを調査せよ」  そういえば二月の…

第八回「北の国から恋は始まる!?」

◆一九九三年 大冷夏 獨協  「三強の対決」はいいものだ。僕は昔から三角形というものにも惹…

三、ヴェネツィア 「両国くんの事情」

◆2018年、7月。  「互いにどうしても譲れない一線まで来てしまい、僕からはいったん『…

二 、サクラはサクが、青が散る

◆1993年、4月。入学式。 冴子は、来なかった。同じ高校から弘樹と同じく指定校推薦で入…

序「二つの時代の物語を」

僕は「カントク」と呼ばれている。映画の監督を生業としているから、まあそれは仕方のないこと…