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君が君をつくるのさ -”アイミル/中村佳穂”の好きなとこ-


とうとう、これまでよりもっと広い世界に見つかることになるであろう中村佳穂さんの、大好きな一曲 ”アイミル”のリリースに添えて。

つまり
世界は見たもんで 作られていくわ
沢山“見るのだ”
背伸びして見たもんも
似合ってゆくわ

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アーティスト中村佳穂の強みはいくらでもあるけれど、言葉の選び方は間違いなく魅力の一つだ。彼女にしかできない言葉の使い方は、そのまま、彼女の世界の見方なんだろうと思わされる。

大らかで、慈悲深くて、けれども強くしなかやかな芯がある。


”アイミル”と名付けれたこの曲の詞にも、そんな「世界」が表現されていると思った。


つまりもっと大胆に
「いや」は「いや」と言ってちょうだい
否定じゃない 選んでるだけさ
君が君をつくるのさ

曲の冒頭、「もっと単純に『好き』は『好き』と言ってちょうだい」と、「好き」という気持ちについて歌ったあと、並べるように「いや」という気持ちにも触れるこの部分。

「否定じゃない 選んでるだけさ」というこの一節は、周囲の人をとても気遣ってしまう優しい人や、自分の素直な気持ちを表現することに少し不安があるような人にはドキッとするものかもしれない。

何かに対して、「いやだ」という気持ちを表現することは人によっては勇気がいることなのだけど、「否定じゃない」「選んでるだけ」という言葉がその背中を押してくれるような気がする。

その選択の連続がその人の在り方をつくっていくのだ。

「だって、君の在り方を選べるのは君だけじゃないか」というメッセージ。



中村佳穂の楽曲のいくつかからは、「すべてが自分次第」とまではいかないけれど、

たくさんの愛おしい出会いやめぐり逢いのなかで、「自分の人生を選び取っている」というような感覚があるのではと思う節がある。


アイアム主人公”という曲がそうだ。

勇敢な決断をするのもそう勇気
勇敢な決断をしないのもそう勇気

2018年秋にTBSラジオ「アフター6ジャンクション」でのスタジオライブで、この曲に入る前のアドリブセッションでこう話していた。

「僕たちが主人公だというよりは、こう、自分の人生にピントをあてている人がとても好きだという曲を」


ちゃんと選びとるよ。自分が自分をつくるのさ。という彼女の在り方にどうしようもなく惹かれるのだ。


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もう1か所、この曲の詞で特に好きだと言いたいところがある。

サビにこういったフレーズがある。

背伸びして言ったもんも
似合ってゆくわ

背伸びして見たもんも
似合ってゆくわ

背伸びして作ったもんも
似合ってゆくわ

「世界は、自分の言ったもの、見たもの、イメージしたものから作られていくわ」と歌われた後にそれぞれ続くフレーズ。自分自身で「世界」を作っていくこと、それがたとえちょっと背伸びだったとしても、すぐ気にならなくなるわと言われているようにも感じる。


実はこの曲のリリックビデオには、すべての歌詞に英訳がついている。

それをじっくり読んでいくと、日本語では同じこの「似合ってゆくわ」のフレーズの対訳はすべて異なっていることに気づく。


Even if it's a stretch, say it,
and you'll grow into it
(背伸びして言ったもんも 似合ってゆくわ)

grow into~ は「…に成長する」とか「大きくなって…(衣服など)が着られるようになる」という意味。「たとえその時は背伸びして言ったものであっても、きっとそれにそでを通しても見合うように成長できるものよ」といったイメージだろうか。

Even if it's a unfamiliar, soak it in,
it'll blend into your world
(背伸びして見たもんも 似合ってゆくわ)

unfamiliar は「見慣れていない、よく知らない」、soak は「(水などに)浸す、浸かる」という意味で、soak it in と熟語になると「その瞬間に感謝して」という意味になり、さらに転じて「目に焼き付ける」「噛みしめる」と訳せるらしい。それがblend into your world、つまり「あなたの世界に溶け込んでゆくよ」と。

「もし何かに出会って、それが今のあなたにとってまだ見ぬ世界でも、その瞬間を心から味わって。きっと、あなたに馴染んでいくから」と。


Even if it's ambitious, create it ,
it'll start to suit you
(背伸びして作ったもんも 似合ってゆくわ)

ambitious は「大望のある」、suit は「ふさわしくする、似合う」という意味。

「イメージは大きくていいのよ。思い描いてしまえば、少しずつふさわしいものになっていくわ」と受け取れる。


怖がりは惜しい気がするよ


ポジティブにいこうとか、勇気をもってチャレンジしようという言葉ではなくて、「今の自分からちょっとくらい大それたことでもいいんだよ。思い切って出ていった世界で巡り合ったものと、あなた自身のイメージや感性を大切にね。」という、彼女ならではのエールの形。


それを、「似合ってゆくわ」というひとつの日本語で表しているのだとすれば、日本語の奥深さを感じいってしまう。


言葉にこめた祈り。

独創的という言葉では収まらない音楽性もさることながら、その祈りのある詞は”アイミル”、そして中村佳穂の楽曲が聴き手の心をかっさらう大きな理由になるだろう。

素人ながら、これが詞を書くということか、と胸を打たれている。

祈りを、受け取っている。

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1年9か月ぶりの新譜であるこの”アイミル”のリリース、そして細田守作品の主題歌と主演声優(!)への抜擢という矢継ぎ早に続いたビッグニュースで、この夏、アーティスト”中村佳穂”は国民的な存在になるやもしれないと読んでいる。


ただ、どれだけ周囲の目が変わりステージが大きくなっても彼女は、

「運命に試されているような気がするけど、」


「人生が華やかなのはあなたのおかげさ」

と祈りを込めて歌うのだと思う。


同じ時代にあなたが歌ってくれて、僕は幸せだ。


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▼中村佳穂さんにハマりそうな人が、その魅力を存分に感じ取れるようにつくったプレイリスト


▼中村佳穂 "アイミル" Lyric Video


▼”アイミル”初披露

https://twitter.com/KIKI_526/status/1244172061443903489


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