東京戦レビュー~いざ、緑ダービー!ここで止まるわけにはいかない~
勢いを止めない、今季初の連勝を目指して
久々の勝利でサポーターも前向きな気持ちで数日過ごすことができたが試合のペースは相変わらず。余韻に浸る間も少なく、ここからは再びアウェイ連戦となる。
次の相手は味スタでの東京V戦。1人1人の技術が高く、タフな戦いを強いられる相手となるが今節も引き続き粘り強く、山雅らしく戦いたい。
■今年の東京ヴェルディ
今年からOBの永井監督が率いている東京Vはかなりポゼッションに寄ったサッカーをしているが、"これまでとは違った"というよりは"よりヴェルディらしい"サッカーに振り切ったような印象を受ける。
選手もユース時代からヴェルディに慣れ親しんだ選手が多い。ここ数年中心選手として活躍する井上潮や山本理、森田、藤田譲瑠らユース出身選手が昇格即戦力となって活躍、そこから個人昇格または海外移籍していくという流れができている。今年もキャプテン・藤本寛也が8月に入ってからポルトガルへ移籍。非常にサッカーIQが高く、チャンスメイクを得意としていた永井監督の戦術の核となっていた選手なので正直海外へ羽ばたいていったのはありがたい(笑)
「毎試合ポゼッション8割を目指す」というそのあまりにポゼッションに偏重したスタイルと選手に対するハードすぎる姿勢により「余計に低迷するんじゃ……」と個人的には思っていたがコロナによる中断を経て、戦術は浸透、負傷者も戻り、順位は11位まであげてきた。これまでほとんどのチームがヴェルディに対しては「持たせてカウンター」という対応策を敷いているが山雅としてもポゼッションはいくらさせてもいいので要所を抑える戦いをしたい。
・キーマン
キーマンは佐藤優平。ここ2試合で3得点と完全にノってる。技術レベルやラストパスの精度はJ2のレベルではないが、これだけ得点や気の利いた守備で貢献できるのは若いチームにおいては大きいはず。前節得点したFKなどのセットプレーにも注意。
またポゼッションサッカーを得意とする福村にも注意。アシスト数は現在J2トップタイとなる4(Jリーグ公式より)でクロスやラストパスの精度が非常に高い。ただし、守備面で後手を踏むことも少なくなく、相手目線でいくとここで耐えれるかもポイントに。そうした意味でもキーとなるだろう。
■予想スタメン
<松本>
0トップは繊細なシステムでもあるのでこれからずっとというのは厳しいが戻して良くなるとも限らない……疲労の蓄積と前節からの継続の狭間でどのような布陣を組んでくるか。
セルジや杉本の疲労が比較的少ないことや相手の特性からも今節は前節の布陣をベースに組んでみた。
(サブ)村山・乾・吉田・藤田・アウグスト・阪野・イズマ
<GK>
GKに関してはまだ選考基準が読めてない。前節を踏まえると(個人的な感覚でいえば)10人監督がいたら8、9人は圍の継続を選ぶと思うが果たして……
<DF>
連戦中は3バックを続ける予感。守備面を考えても3バックのほうが組みやすい気はする。
前節は高さがポイントになったが今節はスピードと判断力。橋内・常田は変わりないが、森下が戻らなければ前、もしくは速さのある大野を推したい。
<MF>
DHには疲労を考慮して藤田を休ませ、塚川久保田に。本当は藤田を使いたい相手ではある……。
WBは前・高橋。ここ2人が賢くポジションを取ってサイドからカウンターを仕掛けていきたいところ。
<FW>
次はトップ・シャドー。杉本とセルジは先ほども書いたように疲労は比較的少ないので継続。アウグストも疲労自体は少ないはずだが、リトリート時の守備面も重視して近い働きができる"なんでも屋"鈴木を置いた。
<東京V>
メンバーは基本固定。変えて2~3人といったところ。
高橋祥が帰ってこなければDFの福村・平・若狭・奈良輪は固そうで、一番変更としてありそうなのは前節復帰の大久保嘉人か。
■東京V戦の3つのポイント
①変則ビルドアップよりもむしろ怖いのは……
4123システムのヴェルディのビルドアップには主に3つの形がある。
①左SB福村がCB化して3バック化、右SB奈良輪が高い位置を取るシステム
②奈良輪がCB化して3バック化、福村が高い位置を取るシステム
③藤田がCB付近まで下りて両WBが高い位置を取るシステム。
①右SBスライドの形
②そしてこれの逆バージョン。
③アンカー藤田譲瑠がおりてくる形
ここでポイントになるのはどの形も「SBがWB化して幅を取る点」と「アンカーの藤田譲瑠がボールを引き出しにくる点」であり、こちらとしては形に惑わされる必要はない。「WBに自由を与えず、藤田譲瑠の位置を抑えること」がどの形で来てもまず最初の抑えどころである。
この点を抑えた上で……注意しなければいけないのは相手のWGやIHのスピードや抜け出し。こちらのほうがはるかに厄介に思える。前線はどの選手も非常に技術とスピードがあるので、特にCBが釣りだされると翻弄されてしまうケースが多い。チームとしてはできるだけ前でカットすることを狙いつつも前のめりになりすぎてはいけない。
②1個飛ばしのパスを恐れるな
そしてヴェルディは守備時にも4123から変形するのが特徴。基本陣形はWGが2列目まで下りてIHの1人がFW化して442の形となっている。
<下がヴェルディの攻撃方向>
なぜこの形になるのか。一つはSBが1対2の状況を作られやすくなってしまうということ。さらにヴェルディのSB奈良輪、福村が攻撃的な選手であり、守備の対人に長けたタイプではないことからもこの点は狙い目である。
もう一つは技術の優れた選手を選考しがち(そもそもユース時代からそういう選手を育てるのに定評があり、編成の時点でそういう選手が多くなる)なため、個々の守備能力はそれほど高いわけではないこと。ただ守備を軽視しているわけでもなく、ゾーンDFと運動量、つまりは数で対抗している。
ここで山雅としては4123→442の大移動の前に攻める、もしくは空く場所でボールを落ち着けたい。しかし、これはヴェルディ側も織り込み済みでやらせたくない。ボール際の選手は奪われるとすぐに奪い返しに来て、最悪奪えなくても守備ブロックを作る時間を作る。
それを超えるためにはプレッシャーの少ないWBやシャドーへ1個飛ばしでパスを出すことができれば大移動を防ぐプレスも回避することができ、加えてカウンターで優位性を生み出せる可能性が高い。
↑上図は……
①奪った瞬間、近場の選手は奪い返しにくるが実は相手はポジションの大移動を始めている
②特にWBは空きやすいので近場のボランチやCBではなく、1つ飛ばしで展開
③相手のWGが戻る前にWBとシャドーでサイドを攻略
イメージとしてはこのシーン
↑攻めあがったサイドを起点にし、CFが裏にダイアゴナルラン。CBとスピード勝負したシーン。
トラジション時(奪った直後の守→攻)以外にも相手の敵陣やブロック形成時も隙あらば近場の選手で人数をかけて奪いに来るシーンは多いので1個飛ばしの味方を見て正確なパスを出せるか?は攻撃のポイントになってくる。
③決めろ高速カウンター
そして最大のチャンスとなるのは敵陣で奪ってのショートカウンター。直近多く行っている31ビルドアップの際はCBはもちろん、アンカー藤田のところで奪えると大チャンスになる。実際に福岡戦はそこで奪われて、そこからわずか5秒で失点している。
これをするにはこちらのプレスだけではなく、相手のミスも必要。しかし、この連戦で動きが鈍くなる時間帯は必ずくる。前節水戸戦も2-0で勝負したが、前半はほぼ水戸のペース。ポゼッションもうまくいかず、奪われ続ける時間帯があった。
多くはないが来たら1点ものの大チャンス。相手のロストから10秒以内に得点が決まる可能性もある。
スタメンでいうと……セルジを先頭に杉本・鈴木をシャドーに置けばプレスからのショートカウンターが最も決まりやすいと思い、この組み合わせにした。
■注目選手
注目選手は橋内。
攻撃面のことも多く書いたがまずは非保持時の守備から。ここまで多くあったCFとのパワー勝負ではなく、CBは予測とスピード勝負が重要になってくるだろう。そこに長けている橋内は頼りになる。再び悪い流れに戻さないためには当然先制点を取られないことを大事にしていきたい。
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プレビューは以上です。
まだまだ昇格は諦めません。そのためには連勝は必要になってきます。ようやく勝てたことに満足することなく、しかし浮かれることもなく、1試合1試合を選手・監督とともに一体となって戦っていきましょう!One sou1!
※合わせて……面白かったので……
(個人的にはこういうスタイル・美しいサッカー志向をプレッシング戦術と泥臭さでぶち壊すのは大好きです)
END
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