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磐田戦プレビュー~タレント集団の隙を突け~

今季初の連勝で反撃の狼煙を

ずっと待ち浴びた久々の勝利、久々の複数得点、そして久々のプレビュー()

前節の勝利によって1勝3分2敗の勝ち点6、順位は19位。残念ながら順位はそれほど上がらなかったが、例えば今節対戦する8位の磐田とは勝ち点3得失点差1しか差はなく、勝てば無条件で順位が入れ替わることからも分かるように連勝できれば一気に立場が変わるような希望の持てる状況にはなった。

一方、まだ降格圏を抜け出せていないことには変わりはない。
下を見ると、勝ち点1差の山口・千葉も前者は戦術的に、後者はタレント力で一気に順位を繰り上げる可能性を秘めており、4差の愛媛は6節で早くも監督交代に踏み切った。

降格枠「4」という重い数字も相まって、一歩間違えて、残留争いに巻き込まれると毎週ビクビクしながら他会場の結果を開かなければならない日々が繰り返されることになる、まさに天国と地獄状態。

ぜひ連勝して昇格争いのほうに顔を出したいところだが、今節の相手は先ほど名前を出したように山雅同様"コケられないシーズン"となっている強豪・ジュビロ磐田。
去年から度々Twitterでは触れてきたが、同年に仲良くJ2に降格した後、"新監督のもとでスタイルの転換を図るも、結局我慢できずに短期的なチーム作りに舵を切った点""そこから紆余曲折を経て全盛期のやり方に回帰した点"などなど……特にマイナス面で山雅と共通したところを持っていると感じている。

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昨年のヤマハの試合では、鈴木雄の得点から大森のゴラッソ、小川のPKで逆転され、ゲームを支配される時間も続いたが終盤イズマ・アウグストらの投入により押し返すも一歩及ばず。。。互いの意図がぶつかり合う戦術合戦のような展開になったが、今年はより混沌とした局地戦、トラジション勝負が増えるのではないか。1年で監督もメンバーも変わったことで全く違う展開になりそうな点は楽しみである。

J2で1、2を争うタレント集団にいかにして立ち向かっていくか。今季初の連勝によって今の勢いを"本物"にしたい。

<予想スタメン>

スタメン

■松本山雅

前節は敗戦後も変更はされなかったので、圍は継続。
3バックも経験のある橋内を組み込む可能性もありえる。が、有力なのは前節と同じこの3枚か。
WBは左右関係なく評価の高い外山・下川が起用されそう。しかし、運動量・機動力のある表原を右に入れてスタートするのもあり。
DHは強度が重要に。佐藤と安東or前の組み合わせになるのでは。ともに怪我明け?なので前節先に出てきた安東を置いた。
前線は水戸戦からの安定の3枚に。前節は前が途中から入ったことからもこのポジションで信頼を得ている選手はあまりいないのかも。そして山雅のシャドーとして出場したことのある選手がベンチ外含めて全然いないので未知数……笑

■ジュビロ磐田

固定はしないが出てくる選手は決まってきている。
遠藤が怪我したところを今野が埋めたり、小川が怪我したところを山田大が埋めたりと多くの選手に出場機会を与えるというよりは「大枠に入っている選手からポジションを埋めていく」ようなアプローチに見える。

戦術のキーとなる遠藤は前節は欠場。無理をさせる年齢でもないので復帰してもいきなり先発はないと予想し、岡山戦をベースに考えた。

変更点は大津・ルキアンの2トップ。ハイプレスの岡山、遠藤不在の影響か中盤省略のロングボールが多かった前節は、大津が最前線・ルキアンがその周りやサイドに流れるというシーンが多かった。適性的にもマッチしてるとはいえず、①大津を高さとキープ力のある小川航に変える②ルキアンのタスクを変えるために違うタイプの選手を入れる、の2通りを予想したが、前節の1枚目の交代カードとなった藤川の先発を予想した(藤川が大枠に入っているかは微妙なところだが……)

<展望>

■初の対"3バック"戦。プレスでルキアンを封じたい

今季は3バックを採用している両チーム。J2リーグの流行も変わってきているようで意外にも3バックとの対戦は今季初

352でシーズンをスタートさせた今季の山雅は、4バックのチームを相手にする際にSBが空いてしまいプレスの抜け道にされてしまった背景があり、結果3421にシステム変更を余儀なくされたが、3バックの磐田を相手にする時にはその心配は少なくなる。

また、互いに352を採用することも考えられるがプレスは343のようになることがほとんど。基本的にはミラーゲームと言ってもいい。

兎にも角にも前節岡山のプレスに苦戦を強いられた磐田に対して、前線の3枚からハイプレスを仕掛けに行くのは有効な手段だと思う。

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前節はこのハイプレスに対して、最終ラインの鈴木や前線のルキアンの個人技で打開を図っていたが、ボールが来る前にハメられていることが多かったため、なかなか打開まではしきれず。ファールを貰えば及第点というシーンがほとんどだった。

しかし、ルキアンは前を向いてプレーさせるのはどのチームにとっても脅威。こちらが前に人数をかけて奪いに行くのはリスクでもあるので、ここのマッチアップでやられだすとハイプレス戦術もリセットしなければいけなくなる。前に人数をかける時ほど後ろの大野篠原野々村が鍵を握るのでこの3枚+DHで粘り強く対応したい。

■攻撃的なWB裏のスペースを狙うべし

陣形的にはN-BOXシステムに近い形になっている磐田はWBも中央のスペースに寄ってきて組み立てに加わるのが特徴的。時には逆サイドまでWBが行くことも。攻撃的な能力が求められるが、守備もかなり前のめり。小川大が離脱したことで余計にバランスが取れる選手はいなくなっている。

前のめりなWBの裏を突かれたのは山口戦の1点目が象徴的。
SBの澤井がCBからボールを受けたところでWB松本が不用意に飛び込んでしまい、交わされて後ろが4vs4に。両DHがどちらもフォローできる位置におらず、逆WB鈴木も高井を視野にこそ入れているもののCBの山本との大きな距離が。

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常に鈴木よりもボール側に高井がいたにも関わらず、急いで戻ることもなく、澤井がアーリークロスを入れた時には時すでに遅し。
分断されたCBの間を抜けていったボールに逆SHの高井が合わせ、八田の逆を突いたシュートはそのままゴールに突き刺さった。

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⇧(キャプチャを切り取って判断するのはあまり好きではないが.....バックラインを揃えるのではなく、個人判断で動いている部分が大きいということを言いたい)

山雅と同じ3バックシステムだがその違いは明確で特に以下の点があげられる
・5バックで5レーン消しの意識は低い(WBは人につく)
・CBを余らせず、人の動きにそのままついていく傾向にある(マンツー気味)

これは町田戦、水戸戦でも似たような形を作られている。

この試合でもこのスペースは狙い目に。前のめりなWB裏のスペースをドリブルやダイアゴナルランで突くことでスライドのエラーが起こしたい

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シャドーが裏に流れる形から起点を作り、空いたスペースにWBがカットインしてチャンスを作るなど⇩

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もちろん磐田のやり方にも攻撃に力を入れることができるメリットはあり、実際攻撃スタッツも優秀なのでただのスタイルの違いや善し悪しとは思うが、守備時の弱点なのは間違いないので積極的についていくべきだと思う。

(ちなみに岡山戦ではその修正か遠藤がいなくなったためかDHが最終ライン近くまで下がり、一時的に4バックのようになることもあった。が、ネガトラ時などは構造的にすぐにはその形は作れないので弱点としては変わっていない。はず。)

■取られても取り返す!?即返しだ!

そして、ここまでの磐田の失点傾向について。特徴的なデータがある。

琉球戦<0-1>
失点:前半1分←←

町田戦<1-3>
失点:前半9分←
(得点:前半30分)
失点:前半32分 ←←

失点:後半28分

水戸戦<3-2>
(得点:前半9分)
失点:前半18分←
(得点:前半49分)
(得点:後半30分)
失点:後半34分←←

京都戦<4-3>
(得点:前半42分)
失点:後半2分←←
(得点:後半7分)
失点:後半10分←←

(得点:後半14分)
(得点:後半38分)
失点:後半50分←←

山口戦<1-2>
失点:前半13分
失点:前半20分←
(得点:前半42分)

岡山戦<1-0>
(得点:後半4分)

(←←:試合開始・終了、得点・失点後の5分以内、←:同10分以内)

⇧図からも分かるように"試合の開始・終了"、さらに"得点・失点直後"の5分以内の失点が非常に多い

反町塾の塾生ならピンとくるはずだが、この5分は一番引き締めなければいけない魔の時間帯。そこでの失点が多いのは1つの狙い目であり、試合前に知っておきたいデータとしてある。この隙は狙いたい。

京都に4-3、水戸に3-2と得点力があるチームとの撃ち合いを制している磐田に対して、撃ち合い上等で戦うのが適切かは微妙なところではあるが、仮に失点してしまっても諦めることなく逆にチャンスと捉えて、すぐに攻勢に出れるようにメンタルコントロールを行える準備をしておきたい。

(ちなみにこの時間帯での得点も多いので要注意)

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プレビューは以上です。

1人1人の個の強さがあってJ2の中でも最も歴史と伝統のある強豪チームなので、強みは知られてると思い、あえて弱点にフォーカスして書きました。

しかし、普通にそれを補うだけの強さがあります。前節のルキアンのゴールのように一瞬の隙やミスがあれば何もないところから点を取る事ができるので激怖です。

そのルキアンはサイドに流れることも多いので大野や野々村がマッチアップすることも多くなるとは思いますが、ここまで1番のサプライズである野々村の奮闘は期待してます

ヴィニシウスやウタカ、中山のようなJ2のトップストライカーたちと渡り合い、空中戦ではほぼ負け無しの彼がまた違ったタイプのルキアンを相手にどれだけやれるのか。大野も去年のリベンジを果たして欲しいです。

対戦成績は4勝1敗3分け、ヤマハでは勝ち無しと厳しいデータもありますが、昇格するには乗り越えなければいけない相手。新たな歴史を刻む1日、そして柴田監督の言う通り4月は逆襲の1カ月にしましょう!Onesou1!

END

(画像は松本山雅、ジュビロ磐田公式。データはfootballlaboより)



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