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即戦力の現代型SB・前貴之の獲得と大然の移籍について

今週は1週間空くこともあり、北九州戦のレビューよりも先にこっちのnoteを書いたが公式発表がなかなかなかった笑

ようやくアップできることを喜ばしく思う。

今回は前の獲得背景や特徴、山雅での生かし方などを分析したい。

■前貴之の獲得背景

まずは何といっても後ろのポジションの駒不足が否めない。それは選手の枚数的な意味でもあるが、攻守でリーダーシップを取れる主体性のある選手が少ない。そこが繋げるところで繋げない、昨日の圍のコメント「チームでやりたいことの統一感」にも繋がってくる。山口も若手&レンタル選手中心で戦う中で三幸や前といった選手が"軸"となってチームを支えていた。

現在は特に年齢的にも成熟度的にも若いチームとなっている山雅にもその経験は還元されるだろう。藤田や隼磨のようにハードワークでチームを支えるとともに"冷静さ"でチームを落ち着かせる存在となって欲しい。

■前貴之のプレースタイル

・主な主戦場は右SB/WBだが、CBやボランチでもプレー可能。

・SBに位置しながらボランチやCBの役割もこなす俗に言う"現代型SB"。後方からゲームの組み立ても行う、山雅サポ的にいうと岩上的なスタイルの選手。

・空中戦は強いが身体能力をウリにする選手では無いので、そのユーティリティさを可能にしているのはクレバーさと状況判断能力。守備では読みと周りへの声がけで相手のチャンスの芽を摘み、攻撃ではスペースに顔を出してボールを受ける。

・キック精度も高い。サイドからのクロスだけではなく、フィードも抜群。プレスキッカーもできるのも今の山雅にとってはありがたい点。

・前にボールを運べる推進力もある。ただドリブルで運んで相手を抜くというよりは空いたスペースに走りこんで抜ききらずにクロスを入れるのが得意。

シュートも決定力がある

パンチのあるシュートがイメージとしてあるが、

コントロールショットもうまい。どちらも90分を越した時間帯でリードされている状況なのでこのシュートを打てるのはなかなか簡単ではない。

・172㎝と小柄だが、CBを任されるほどヘディングも弱くない。

ただ、レノファ山口の試合を見ていると身長差によるミスマッチを突かれて失点してしまうこともしばしば……。押し込まれる展開や高さのない相方と組ませるときのCB起用はあまりおすすめできない。

■なぜマリノスは彼を放出するのか

ここまで書いていて「これだけの選手をなぜ放出するのか」疑問が沸いてくるがその理由もはっきりある。

監督の前に関する見方までは把握できていないが、1つは5月に急遽ベルギー帰りの小池龍太が加入したことは大きい。元々レギュラーであった松原のバックアップとしての立ち位置に前はいたが、小池は扱い的にはほぼ同列。和田拓もそこそこ評価が高いのでやや過剰戦力気味となっていた。

選手個人としてはポステコ流のスピード感、先ほども書いた身体能力の面でやや苦労したか。時間があれば適応できたかもしれないが、ここ最近のマリノスは見切りも早いので「出せる時に出す」というチームと「出場機会が欲しい」選手の思惑と「即戦力補強」を目論む山雅の補強ポイントが一致したという流れだろう。

ちなみに……期限付きに関しては前は加入半年しか経っておらず、契約的にそこそこの金がかかるので完全移籍のほうが健全(?)だが他に回してくれていることを願いたい。

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そして、ここからは大然の話になりますが確定的な情報ではないです。ほぼ仮定です。

ペレイラの件とは違い、大然は山雅のもっていた期待値・環境以上の活躍をしてくれ、マリノス側も前という見返りを与えてくれてるので不義理、不誠実とは思いません。個人的な恨み節ではありますが御容赦ください。

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■大然の期限付き移籍はなぜ

前加入よりも少し前に(ややこしい…)発表されたのが大然の期限付き移籍。

今日という日に山雅からマリノスに必要とされる選手を輩出させたというのはクラブの成長を感じる喜ばしい点ではある。

ただ「期限付き」であることに金銭面、評価の面、ここ最近のフロント力の面、あらゆる面で納得のいかないサポーターも多かったと思う。自分もその全てで不満と不安は感じた。

期限付きの原因となった可能性を
①マリノスが渋った
②山雅が渋った
③大然側(代理人含む)が渋った

として……

①マリノスが渋った

この場合、言い方は悪いが…ややケチに感じる。
(クラブとしての立ち位置に違いはあれど)山雅側も慰留はしていて、セレッソも梶野統括部長の繋がりもある中で大然にオファーをかけていた。報道を鵜呑みにすると海外チームからも声がかかっていたので「それなりの価値」のある選手である。

フリー移籍の方がコスパはいいとはいえ……財政的にも不安定な地方クラブの有望な若手を"借りパク(予定)"して、同じく地方クラブの山口から引き抜いて"戦力外"の立ち位置のままの選手で手を打つというのは不満が出てきても仕方がない。執拗なまでにマリノスや前を批判するのは適切ではないが、松本・山口サポとしては少々モヤモヤする点が残り、怒るサポが出てくるのは(サポ感情を考えると)妥当に思える。特に前とともに3年間成長してきた山口サポはその気持ちは「ルール上問題ない」で片付けてしまうのは配慮がない気がする。

②山雅側が渋った

あまり考えたくないが、慰留していた山雅側が完全で出すのを渋って"復帰"の可能性を残したのもないとはいえない。メリットとしては年末にまた山雅に復帰する選択肢を残せる点。デメリットとしては当然冬にフリーで移籍することが濃厚な点。

よっぽど復帰させることに自信がなければこの選択はしないと思うが、(この場合)それだけ大然に未練があるのかもしれない。もちろん大然は大事な選手であることは間違いないが少しでも移籍金をもらって第2、第3の大然を輩出することに注力したほうがクラブとしてはいい気はする。

③大然側が渋った

渋ったというと語弊があるかもしれないが……代理人を含めた大然側が望んでレンタル移籍にしたという可能性もある。ここで仮にマリノス側と複数年契約を結んでしまうとその分、次の移籍は難しくなる。もし海外に再挑戦したい場合やマリノスで試合に出れなかった場合のことを考えるとリスクという点では少なく済む選択肢にはなるだろう。

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いずれにしろ、多くのサポからしたら大然の期限付き移籍自体はあまり望ましい形にはならなかったが、これからもマリノスとは"縁"あるクラブとして友好的な関係を築いていきたいし、その交渉の1つとして前貴之を獲得できたのはチームとしては大きい。1人で打開できるタイプではないが、J1・J2あらゆる経験をしてきたパーソナル性と質の高いプレーでチームを浮上させるきっかけとなってほしい。

END

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