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ズバズバ決断する人が見えないところでやっていること

スピードを武器に急成長を狙うスタートアップにとって、CEOの決断力は非常に重要です。
当初の目論見が誤っていたことによるピボットや、M&Aによるイグジットといった事業面での決断もあれば、予定していた部品が調達できない(特に最近は半導体関連の調達は非常にシビアです)といった問題に直面することもあるでしょう。

「スピード感を持ち、ぶれない判断力を持つことが重要だ」と語る起業家やビジネス系の書籍は数多く出ていますが、それは正解であり不正解でもあると言えます。本質的には意思決定を迫られる前の段階から準備しておくべきなのです。

時間をかけた分だけ、意思決定は早くなる

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優れた経営者や起業家は意思決定が早く、その判断の結果も間違っていないというイメージが先行していますが、彼らはその場の思いつきで判断をしているわけではありません。
共通しているのは、常に自分たちの事業に関する情報収集を絶やさず、あらゆる可能性を常に想定した上で判断をしているということです。

経営者の中には論理や数値を根拠に判断するタイプもいれば、直感で判断するタイプもいます。特に後者は誤解されやすいのですが、実際には直感で判断する経営者の頭の中には、蓄積した情報がベースにあり、根拠となる情報やロジックを言語化していないだけなのです。

正しい判断をするためには、事前の準備や考察に時間をかける必要があります。起業家であればAとBという選択肢があったときに、それぞれのメリットとデメリットだけを考えるのでは十分と言えません。Aを選択したことによって将来的にCは選べなくなるといった先手を読むことも必要です。それは一瞬のひらめきで予測できることではありません。正しい判断は自分の事業にどれだけ時間をかけて真剣に考えたかに裏付けられているのです。

棋士の羽生善治氏は著書「直感力」の中で、直感とは論理的思考の蓄積が思考スピードを早める結果であると指摘しています。うず高く積まれた思考の束から、最善手を導き出す行為を日常的に行うことで、脳の回路が鍛えることで正しい直感が得られると、羽生氏はひらめきをロジカルに定義しています。

直感とは空気や勘で情報を処理するのではなく、思考プロセスを極めて早く行う鍛錬の結果であると理解するべきです。加えて、意思決定は「点」ではなく、情報収集、仮説の設定など含めた「線」としてとらえるべきでしょう。

その朝令暮改にルールはあるのか

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優れた判断をしつづけるためには、その判断が正しかったかを検証する作業が欠かせません。

意思決定する際は軌道修正やアクションを止めるラインをきめておきましょう。一つのイシューに対して、意思決定は1回で完結する必要はありません。必要なタイミングで軌道修正を行い、判断と検証を繰り返すことで確度の高い判断を導き出すことが重要です。

朝令暮改という言葉があります。多くの場合、あまりいい意味で使われる言葉ではありませんが、一度決めた結果を振り返り、仮説通りに進んでいなければ躊躇なく見直すということは、時には必要です。

その際の判断基準となるのが、日々の思考の積み重ねであり、周囲との議論を経て蓄積されるチームの哲学です。

「なんとなく、この会社と組むのが良さそう」
「なんとなく、この人を採用したほうが良さそう」
「なんとなく、さっき決めたことは変えたほうがいい気がする」

こういった言葉が浮かんだ際、「なんとなく」の中にある言語化されていない根拠や判断基準を冷静に紐解いてみるのも、優れた経営者になるトレーニングになるでしょう。

8/31 18時〜無料オンラインイベントを開催します

8月31日(月)にZoomで「超文系CEOが挑むテック企業のチームビルディング」と題して、今回お話を伺ったBONXの宮坂さんを招いてトークイベントを開催します。

・メンバーはどうやって集めるのか?
・どのようにしてプロダクト開発を進め、量産の壁を乗り越えるのか?
・その道のプロであるエンジニアと、どのようにコミュニケーションをするのか?
・苦難を乗り越えられるチーム力をどのようにしてつくるのか?

こうした疑問について、HAX Tokyoチームと宮坂さんとディスカッションします。参加費は無料ですので、お気軽にご参加下さい。イベントの詳細は下記のリンクをご覧ください。

(取材:HAX Tokyo 文:越智岳人)