見出し画像

輝くマラサダ

著者:杏ワイルダー

娘の学校で毎年恒例となっている募金集めのイベントが先週末、2日間にわたって催されました。

毎年、高校2年生が中心となって企画、運営にあたり、彼らの父兄は馬車馬のように働かなくてはなりません。

娘は今年高校2年生。ついに恐れていた時がやってきました。私と夫は2日間、仕事も家事もほったらかして、ひたすらマラサダを作り続けました。


イベントは午前11時から午後11時までで、ボランティアは朝7時に集合し、最後の来場者がキャンパスを出てから後片付けをはじめ、ようやくお勤め終了という凄まじいシフトをこなします。

これまで3時間半の1シフトだけのボランティアで疲れ果てていた私でしたが、今年は7シフトをこなすことになり、他の学年の父兄から「マラサダブースに住んでいる人」と言われていました。

イベントに詳しい人によると、パンデミック前には2日間で合計35万個のマラサダを作ったといいます。作業中もこの話で盛り上がり「さすがに話を盛ってるだろう」と思っていましたが、マラサダを買う人の長蛇の列は、イベント開始から6、7時間経っても途切れることはありません。


35万個もあながち嘘ではないかも、と思いはじめ、確認したくなりました。


たとえば、フライヤー1台で1時間に少なく見積もって1,000個のマラサダを作るとして…

2カ所のマラサダブースあわせて10台ほどあるから1時間に1万個…

1日約13時間作っているから13万個…

2日間で26万個…

そうなると、35万個も可能かもしれないな。

さらに、35万個を売ったらいくらになるか気になりはじめ…

1ダズン(12個)で10スクリプ(引換券)、ということは

1スクリプが50セントだから、10スクリプで5ドル…

12個で5ドルということは、1個…


と、ここで数字に弱い私はつまずく。


5ドル割る12個で苦戦していた私は、手のひらで割り算をしたい衝動に駆られましたが、マラサダがどんどん揚がってきて、砂糖まぶし係に渡さないといけなくなり、ひとまず中断。

しばらく作業に没頭しておりましたら、スクリプを1枚出してマラサダを1個買うお客さんがおりまして、


「1個だと50セントか!」


35万個だと、1個1ドルとして35万ドル、その半分だから17万5,000ドル…!

なおイベントの収益金は全額、学費支援に充てられます。


砂糖まぶし係に渡すマラサダが、とても輝いてみえました。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?