狼少年
生命の神秘を日々目の当たりにして暮らしている。
祖母は107歳。私にとっては義理の祖母。
完全に寝たきりになってから、もうすぐ一年。
何度も何度も医師から、会わせたい人がいたら呼ぶようにと言われたけれど、その度祖母は持ち直している。
ゼリー飲料がメインで、時々スープや温かいコーヒーなども少量だが口から摂取し、家族との会話も頷くだけのことが多いけれど、それでも時々囁くように声に出して応えてくれることもある。
近所の人に「おばあちゃんどう?」と訊かれる度、あまり良くないんですと返すが、おばあちゃんはそんな状況を越えて今も生き続けている。
しんどそうな姿を見ていると、正直、もう頑張らなくてもいいよ、と思う気持ちも心の片隅にはある。
でも、それでも
狼少年と言われたっていい。
周囲の想像を裏切って、祖母には生きてずっと私のそばにいて欲しい。
そう願ってやまない。
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