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【読書記録#02】ブランディング22の法則

読書記録第二回目は、こちらの本をまとめていくぅ!

世界で最も著名なマーケティング戦略家の一人であるアル・ライズとマーケティング戦略会社ライズ&ライズの共同経営者であるローラ・ライズ著書。

本書では、マーケティングが組織内の推進力として任務を果たすためには、マーケティング・プロセスを単純化する必要がある。そして、マーケティング・プロセスの本質は消費者の頭の中にブランドを築き上げることだと説いている。

例えば、パン一個と牛乳一パックを買うためにセブンイレブンに立ち寄る際、顧客は普通二つのブランドネームのついた商品を買うことになる。だが、買い手の多くはそのブランドへの好みはないはずである。しかし、同じ顧客がビールとタバコを買うとき、彼はおそらく特定のブランドのビールとタバコを物色したはずである。

常識的には、パンや牛乳は日用品に対してビールやタバコはブランド買いの対象である。しかし、あなたがブランディングの法則に従うなら、あらゆるカテゴリーでブランドを築くことができる。ただの水をエビアンに変えたように、だ。

ブランディングに重要な全22の法則をブランドの実例を挙げながら紹介している本書には、成功事例はもちろん、失敗事例からマーケターが陥りやすいNG行動も示されている。

紹介されている法則の中で気になった法則の要点を下記にまとめていく。

第1章 拡張の法則

ブランドの力はその広がりに反比例する。

シボレーはかつてアメリカで一番よく売れる車だった。しかし、万人向きの車にしようと多様な車種を展開し、短期的な売り上げは築けたが、長期的に見ると消費者の人々の頭の中にあるシボレーというブランドネームを傷つけることになった。

消費者の頭の中に強力なブランドを築くことを望むなら、ブランドを拡張するのではなく収縮させる必要がある。

第2章 収縮の法則

焦点を絞り込むとき、ブランドは強力になる。

小売業界のカテゴリーキラーは、一様に次の五段階のパターンに従っている。

1.焦点を絞り込む

2.製品を豊富にストックする

3.安く仕入れる

4.安く売る

5.当該カテゴリーを支配する

カテゴリーを支配するとき、ブランドはこの上なく強力になる。良い結果は焦点を絞る時に生まれる。

第3章 パブリシティの法則

ブランドが誕生するのは広告ではなく、パブリシティによってである。

ザ・ボディショップは天然の化粧品をコンセプトに、動物実験を伴わず商品が作られるというブランドのアイデアを膨大なパブリシティに載せた。事実上、広告はゼロだが、強力なグローバルブランドに成長した。

ほとんどの会社が広告こそ主要なコミュニケーション手段であるとの前提に立ってブランディング戦略を開発するが、それは間違いで、戦略は何よりパブリシティの視点から開発されるべきである。

第5章 言葉の法則

ブランドは消費者の頭の中に自分の言葉を所有する努力をすべきである。

フェラデル・エクスプレス=「翌日配送」、ボルボ=「安全」のように、ブランドを築く際には見込み客の頭の中に他の誰も所有していない言葉を所有させることに集中すべきだ。

商品やサービスそのもの自体はビジュアルな実体に過ぎない。消費者の頭の中でその商品に意味を与えるのはブランド名であり、ブランド名からの連想である。

第7章 品質の法則

品質は重要だけれど、ブランドは品質だけで築かれるものではない。

ロレックスの時計をはめている顧客は、時間的正確さを期すためにはめているのではない。その顧客は、ロレックスの時計を買う経済力があることをそれとなく他者に知らせるためにはめているのである。

高品質ブランドを構築するためには、焦点を絞り、その絞った焦点と優れた名前、高い価格とを組み合わせる必要がある。

第10章 ライン延長の法則

ブランドを破壊する最も簡単な方法は、あらゆる商品にそのブランド名をつけることである。

眠っているブランドは起こさないのが良い。ライン延長を行う前に、現行のブランドの顧客がライン延長ブランドを見てどう思うかを自分に問いかけてみるべきである。

ハインツ・ライトケチャップ?これでは普通のケチャップにはカロリーが詰まっていると宣伝しているようなものだ。

クリスタル(透明)ペプシ?レギュラーペプシの色には何か問題があるのだろうか。

ブランドを構築することとブランドから搾り取ることとは全く異なることである。

第11章 協調の法則

カテゴリーを築くには既存ブランドが他の競合ブランドの参入を歓迎する必要がある。

類似のビジネスが接近した場所に集まることには意味がある。第一に買い物する店が複数集まっていることで多くの顧客をその地区に吸引できる。第二に顧客は簡単に比較購買を行える。第三に近くに競合が存在するとお互いに監視しあうことが可能となる。

ブランドは健全な競争を進んで迎え入れるべきである。そうすればそのカテゴリーにより多くの顧客がもたらされるであろう。

第14章 サブブランドの法則

ブランディングによって構築されたものが、サブブランドの導入によって破壊される場合がある。

特にそれが顕著なのが自動車業界である。メーカーがブランドとみなすものを顧客は車種とみなす。

顧客には選択肢が有り余っているのにも関わらず、サブブランドを作る側は考え違いをしていることが多い。

顧客が、ホリデーインホテルにやってきて「もっと高価なホテルなないか」と尋ねないように、キャデラックの販売店に来て「小型のキャデラックはないか」と尋ねないように、ブランドには顧客の頭の中に刻まれた特徴がある。

サブブランドをこしらえる必要があると感じる時、それは市場を追いかけているだけでブランドを構築している行為ではないのだ。

第15章 兄弟の法則

第二のブランドを発進させるには時と場所を選ばなくてはならない。

ホンダは高価格車を発売するにあたってそのブランドをホンダ・プラスとかホンダ・ウルトラと名付けなかった。メガブランドの名前をつけずにアキュラという新しいブランドを開発したことで大成功を収めた。

一群のブランドのために兄弟戦略を選択する時、次の原則に留意すべきである。

1.共通の商品分野に焦点を合わせる。

2.一個の特性(価格、流通、年齢、性別、フレーバーなど)を選んでセグメントする。

3.ブランド間に厳格な区分けをする。

4.別々のに通っていないブランド名をこしらえる。

5.新しい兄弟ブランドは新しいカテゴリーを作る場合にのみ市場に出す。

6.兄弟ブランドの統制管理には企業のトップが当たる。

第16章 形状の法則

ブランドのロゴタイプは両眼にフィットするようにデザインすべきである。

顧客の目は横についているので、ロゴタイプの理想的な形は横長型である。ざっと幅2.25に対して高さ1である。

形と同様に大切なのは読みやすさである。活字が判読できなければ、そのロゴは消費者の頭の中でほとんど存在しないことになり、意味をなさない。読みやすさこそが活字の選択に際して最も重要な判断事項である。

また、商標、つまり視覚的なシンボルも過大評価されているが意味は言葉の中にあって視覚的シンボルの中にあるのではない。

第17章 色調の法則

ブランドは競合とは反対の色を使うべきである。

コダックがイエローだから富士フィルムはグリーン、コカコーラが赤だからペプシコーラはブルーという具合だ。

ティファニーの箱の色は何色だろうか。それは独特の緑がかったブルーだ。単一の色で標準化を図り、長期間使い通すことによって雑然とした世界に強力な視覚的存在を築くことができた。                

第22章 特異性の法則

ブランドの最も重要な側面は一つのものを追い求めるひたむきさである。

ブランドが社会で重要な機能を果たすのを助けるのはその特異性である。ブランドとは、普通名詞に代わって使うことのできる固有名詞である。

・輸入ビールという代わりに「ハイネケン」を注文する

・高価なスイス製腕時計という代わりに「ロレックス」を注文する

・安全な車という代わりに「ボルボ」を注文する

ブランドとは何だろう。それは顧客の頭の中に所有するただ一つのアイデアないしはコンセプトである。


全体を通してのまとめ

ブランドは拡張すると破綻する。焦点を絞り込むことがブランディングの第一の法則である。

そして、ブランディングに必要なことは「一番手になること」。もし一番手になれなかったら、新たに自分たちのカテゴリーを作って一番になるべきである。

この二点がブランド構築に重要なことを実例を踏まえて本書は示している。

売り上げが低迷していると、つい目先の欲にかまけてトレンド市場の真似をして新規市場を開拓したり、メガブランドより安価なサブブランドを作ってしまいがちだが、それは全くの逆効果で、焦点を絞ってブランドを研ぎ澄ませることが、結果長期的な視点でのブランド構築に繋がっていくことを教えてくれた一冊でした。


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