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加藤ゆたか
2023年6月1日 23:17
#創作大賞2023 #小説 「大悪霊……!」「覚悟を決めなきゃ……。」「そんな……。」かのんは周囲を見渡した。目に入るのは教室に散らかった机と椅子。校長に襲われて散らばったカバンの中身。かのんはどこにいったかわからない美里の武器を探した。一番近いのは教壇の上に置いたはずの銃だったが……。その時、美里が声を上げた。「あぁ! あれは!?」美里の声の先をかのんは目で追った。そこにあっ
2023年6月2日 22:56
#創作大賞2023 #小説 美里の銃から、迫り来る大悪霊の腕に向けて弾が発射される。バン! バン! バン!本物の銃の反動がいかほどのものか想像もつかない美里のイメージした大口径の銃は、美里の手の中で軽く跳ねただけで収まった。弾が当たった大悪霊の腕の一部が大きく爆ぜた。「ぐおおお……。」大悪霊が撃たれた腕を引っ込めて美里たちを大きな目玉で睨む。無数の黒い手足は美里から距離を取りウ
2023年6月3日 14:31
#創作大賞2023 #小説 校庭の桜の木が白く光る花びらをはらはらと散らしていた。「この桜も役目を終えたんだ。」かのんが美里の横で寂しげに言った。季節外れの桜は今、本来の姿に戻ろうとしている。夜が明けようとしていた。 「先生。これからどうするの?」「どうって……。私、てっきり成仏するんだと思ってたわ。」「するわけないよ。だって今や先生は大悪霊にも勝った最強の霊なんだよ?」「