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怯まないごとく

第2話 ライアン

ライアンは学校で授業が終わり、外に出た。
ロイスも「お?ライアン。良いところにいたな。後ろにスケルが居て助けてくれないか?」とライアンに向かって後ろを指差した。
クラリスが「また、あんな所で何をやって居るのかしら?全く世話の掛かる人達ね?」と教室の窓から身を乗り出し望遠鏡を片手に眺めて居た。
クラリスは急いで教室から外へ出て行くとスケルが何やら、ロイスとライアンに手を掛けようとしていた。
クラリスが「しょうがないわね?はい」と手を叩いて一瞬で時間を止めた。
ライアンが「さっき何をしたんだ?」と驚いていると、クラリスが「時間を止めたのよ」とライアンに返事を返した。
ロイスが「やっぱ、クラリス姉ちゃんだよな?困った時には助かるぜ」と親指を立ててクラリスにグーサインを出した。
クラリスが「全く世話の掛かる人達なんだから?時間は短いから、その間に早く逃げるわよ」とライアン達に注意を促して、一緒に家へと帰って行った。
ライアンは「じゃーな?また明日」と手を振って家の中に入って行った。
クラリスは「家が近い人って良いわね?私なんて少し遠いから嫌だわ」と羨ましそうにライアンを見て居た。
ロイスも「じゃ、またな」と次々に家へと帰って行った。
クラリス達が居なくなって、スケルは「また、アイツらを逃したか?くそ」と悔しそうにしていた。
スケルは仕方なく元の持ち場に戻って行った。
その頃、ライアンは家に居て小さなローサが「お帰り。お兄ちゃん。今日はゆっくり休んでね」とライアンの汗を拭こうとして居たが、小さな背でタオルでおでこを拭くには難しかった。
ライアンが「ありがとう」と小さなローサの持っていたタオルを受け取って汗を拭いた。
ローサが「わたしね?将来お兄ちゃんの恋人になりたいな」と笑顔で答えた。
ライアンが「ありがとう。そんな事を言ってくれるのは、お前だけだよ」とローサに微笑んで居た。
そうして楽しそうにしているライアンとローサが居て、スケルが「そうだ。あの妹を食っちまおう」と家の窓からローサを眺めて居た。
次の日の朝、ローサは「あ、美味しそうな匂い」と匂いに釣られて家から外へと出て行った。
ローサが良い匂いのする方へと歩いて行くとスケルが「ヒッヒッヒ。良い匂いに釣られて来たな」と口の周りをベロで舐め回した。
ローサが「あ、此処は?」と気づくとそこのカゴに入れられてスケルが薪を炊いて火をつけていた。
スケルが「今日は美味しそうな食事が食べられそうだ。旨そうだな」と嬉しそうにしていた。
ローサが「誰か助けて?」と大きな声で叫ぶと、クラリスが「あれは、ライアンの妹?どうして此処に?」と草陰に隠れて見て居た。
クラリスが「このままじゃ、食べられちゃう。はい」と手を叩いて、カゴからローサを助けた。
ローサは「ありがとう。お姉ちゃん」と涙を流して居た。
クラリスは、ローサを助けてライアンの家に向かった。
ライアンは「あれ?ローサが居ない。何処に行ったんだ?」と家の周りをくまなく探して居た。
その時、クラリスがローサを連れて現れた。
クラリスが「あんたね?妹がさっき食べられそうになって居たのよ?スケルは私達を陥れようとしているのよ」とライアンに注意をした。
ライアンは「悪かったな。ローサ。俺は今まで寝て居て気づかなかった。ごめん」と深々とお辞儀をした。
ローサは「大丈夫だよ?お兄ちゃん。私も注意しなかったから悪かったの。でも、お姉ちゃんが助けてくれたから、嬉しかった」とクラリスに笑顔を見せた。
そうしてスケルは、またお腹を空かせて森の奥へと姿を消したのだった。

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