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怯まないごとく

第8話 あの人の面影
夢の中で前に亡くなったラフェルに「クラリス、元気にしていたか?」と小さい頃のクラリスが居た。
クラリスが「お父さん。元気だったよ」と返事に答える小さなクラリスがラフェルと話していると懐かしくて涙が出て来た。
そんな夢から醒めるとラフェルが居なかった。
さやかから「お母さん、大丈夫?」と声を掛けて来たので、クラリスは「あれは夢?私の父のラフェルが居たのよ。凄く懐かしい声だったわ」と何故か焦がれて居た。
さやかが「そうなんだ。お母さんのお父さんに会ってみたかったな。きっと優しかったんだろうな」と目をキラキラと輝かせて居た。
クラリスが「そんな大した事はないわ。でも私のお父さんが生きて居たら、今頃、さやかと遊んで居たかもしれないわね」と笑顔が溢れた。
クラリスが「さて、朝ごはんにしましょうか?」とベッドから立ち上がった。
写真立てが見えて、さやかは「これ、私のおじいちゃんかな?」とラフェルを指差した。
クラリスが「そうね?きっといつか会える日が来ると良いわね」と返事を返した。
さやかは「頂きます」と手を合わせて、ライアンも一緒にご飯を食べはじめた。
さやかが「お父さん、もし良かったら私のおかずをちょっとあげるね」と嬉しそうにして居た。
ライアンが「サンキュー。じゃ、頂きます」と話をして笑顔でおかずを食べて居た。
学校に行く日でロアンナが「学校へ行こう」とさやかに声を掛けた。
さやかが「はーい。今行くね」とロアンナに話し掛けた。
クラリスが「呼んでるね。行ってらっしゃい」とさやかを家から見送った。
さやかは「行って来ます」とカバンを背負ってロアンナのそばに駆け寄って行った。
ロアンナが「良いな。さやかはお母さんが見送ってくれるから。私なんてお母さんは見送りにも来ないもん」と寂しそうにして居た。
さやかが「ロアンナのお母さんってそんなに冷たい人なんだねー」と少し恐る恐る尋ねた。
ロアンナが「うん。私のお母さんは放任主義だからね」と苦笑いを浮かべた。
ロアンナは「じゃ、また学校が終わったらね」と手を振って教室に入って行った。
さやかは「やっぱり、ロアンナが可哀想だな?もう少し一緒に居られる時間を作ってやれないか」とロアンナの母親のカダルスに声を掛けた。
カダルスは「ごめんなさいね?ロアンナにもう1人子供が居て、手が掛かるのよ。だから、ロアンナだけを特別視できないの」と嫌な顔をして居た。
ロアンナが「やっぱり、さやか。私のお母さんのところに来て居たんだね?でも、私の為に気遣ってくれてそれだけで嬉しいな」と涙を流しそうになって居た。
さやかは「ロアンナ。私何も出来なくてごめんね」とロアンナに謝って家へと帰って行った。
その途中でルベウスに出くわして「お、何だ。クラリスの娘のさやかかぁ?俺は今から学校へ行って化け物のスケルを倒す訓練に行くんだ。邪魔しないでくれ」といつにも増して真剣な顔をして話をした。
さやかは「でも、くれぐれも気を付けてね。ルベウスは、化け物のスケルに隙を見せられて食べられそうだもの」とふざけて笑って居たが、心配して居た。
その後、近所の噂話からルベウスは、隙を突かれて戦死してしまった事を小耳に挟んだ。
さやかは、その日、夜空を見上げるとルベウスの笑顔や怒って居た顔、驚いた顔が浮かんでは消えて居た。
そんなある日、ルベウスの友達のボイドが来て「俺、ルベウスが言って居たんだけど、さやか、お前を幸せに出来なかった事が今でも心残りだと言っていたよ」とボイドから話を聞いた。
さやかが「本当にバカだね?あんたは。死んだら誰も幸せに出来ないし、何も感じたり、喜んだり出来ないのに」とルベウスの死を悔やんで居た。
さやかは「食事いらない」と食事を断るほどになって居たが、ボイドから預かった手紙には「俺に何かあった時は、さやかが思う幸せの道を見つけて立派に生きて行って欲しい」と言葉が綴られて居た。
そんな毎日の中、ボイドが久しぶりに来て「2人で幸せになろう?その方がルベウスも報われると思うよ」とさやかの手を握って、幸せになって行った。
そんなアルバムの1ページを捲りながら、懐かしく見ている老婆が居た。
それはある若かりし頃のボイドと、さやか、ルベウスだった。

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