見出し画像

リアル脱出ゲーム

リアル脱出ゲーム(謎解きゲーム)を初体験してきた。
ずっと行きたいとは思っていたのだが、どうしても勇気が出ず躊躇していた。
ある時、ふと脱出ゲームのサイトを確認すると、一人だけ空いている枠があったので、導かれるように購入し、突撃した次第。

初めに、脱出ゲームはその特性上書けば書くほどネタバレになってしまうので、内容の詳細を書くことができない
どんな脱出ゲームに参加したのかを書いて、詳細を思いっきり端折るのか、どういった脱出ゲームに参加したのかを伏せて、多少中身に触れるのかを考えた結果、後者を選ぶこととした。
なので、どの場所で、どんな公演に参加し、どんな謎解きをしたのかは一切伏せる。
これは俺が謎解きゲームを初体験し、何を感じ、何を得たのかを語るnoteとなる。


脱出ゲームが始まるまで

さて、前日に脱出ゲームの枠を購入した俺は電車に乗って目的地へと向かった。
「一人だけ空いている枠があったので購入した」と書いたのだが、これには理由があって、この初体験noteでは可能な限り一人で体験することを裏テーマとしている
友人と行ってしまうと馴れ合いが発生し、その体験の本質を感じられない可能性があるからだ。
なるべくアウェイの状況を自ら作り出し体験する。これこそが初体験の醍醐味であると考えている。
そういう意味で今回の脱出ゲームは大成功というか、女性複数人に対し男は俺一人という状況だったので、大アウェイもいいところでかなり最高であった。
考えうる一番のアウェイというのは、知らない男たちの中で、俺だけ一人参加みたいな状況だと思うのだが、想像しただけでもゾッとする。
まだ女性を相手にしていたほうがずっとラクである。
知らない男に「一人参加っスかぁ?」とか聞かれたら、多分ゲロ吐いてしまう
でもそういうパターンもいつかは体験してみたい。

閑話休題。
目的地についた俺は当日の参加者が自分以外全員女性であることを明確に認識した上で、気合を入れ直す。
自分のコミュニケーション能力にさしたる不安はないので、無言のまま終了するとか、永久気遣われ地獄エンドみたいな心配はしてなかったのだけど、実際その辺は問題がなかった。
後述するが、脱出ゲームに参加している人たちはみなウェルカムの姿勢を取ってくれるので一人で参加してもさほど問題はないと思う
一回の経験では説得力がないけれど、大外れを引かない限り、これはどのタイミングでも大差ないように思う。多分。

さて、集合時間になったら全員で部屋へと移動し、今回の脱出ゲームについての説明を受けた。
脱出ゲームに参加するのが初めてなのは俺だけだったようで、他の女性たちはみな経験者とのことだった。
「初めてなんです」と打ち明けると、謎に拍手で歓迎された

言い方が難しいのだけど、脱出ゲームに参加する人たちの多くは、陰の人が多いというか、オタク気質なタイプが多いような気がしていて、参加してみて実際にその辺の感覚は想像通りだったのだけど、彼女たちはオタク文化(便宜上そう言わせてもらうが)に対する懐が深いというか「自分の好きなものを他の人にももっと知ってもらいたい」みたいな気質を持った人が多いので、この拍手も「ようこそ!脱出ゲーム沼へ!」といったところだったのだろう。

今回の公演についての説明が終わり、自己紹介みたいな時間があるのかなあと思っていたのだけれど、今回参加した公演には配役みたいなものがあったので、特に実際の名前を名乗ったり自己紹介することはなく、最後まで役名で呼び合った。
この辺は公演にもよるのかもしれないが、これはこれでラクでいいなと思った。

脱出ゲーム始まる

いよいよ脱出ゲームがスタートした。
それぞれが謎を解きあって「問題を解決していく!次なる部屋に進む!」というよりはみんなで話し合ってひとつの課題に取り組む、みたいな内容だったので、開始直後から互いの持つ情報を開示し合い、謎を解き進めていった。

結論から言うと、とても楽しい脱出ゲームだったし、特に不満とかはないのだけれど、最後の方はかなり手持ち無沙汰になってしまったなという印象であった。
というのも参加者同士で話し合いながら謎を解いていくという構成上、全員がそれぞれに「必要な何らかの役割」をこなすというのがかなり難しかった
もっと噛み砕いて言えば、大きな謎を解いている数名以外の人たちは、やってもやらなくてもいいようなことを考えておくくらいしかやることがなくなった

これは別に参加した誰かが悪かったということではなくて、この公演の構成上、よほど謎解きに慣れた精鋭がちょうど集まったパターンだったり、全員知人のグループ参加のパターンでもない限り、効率よく全員が動くなんてことは不可能に近くて、この公演のほぼ全てで、毎回こんなことになってるのではないかなと思う。
むしろ、今回参加した公演はかなり難易度が高めだったらしく、最終的に脱出には失敗したのだが、ゲームマスターいわく全体の中でもそれなりに進めていた方だったらしい(お世辞かもしれないけど)。
参加者のくせにえらく客観的な感想で恐縮だが、側から見てても「よくそんなの解けるなあ」と感心していたくらいだ。

個人的な話をすると、脱出ゲームの途中で、というかほぼ全編を通して「時間」だの「日付」だのという「数字」が登場してきて、それが謎解きの大きな鍵を握っていた。
握っていたのだが、俺は本当に数字が苦手で、計算ももちろん苦手だし、映画とかで表示される日付みたいなものも、どうも右から左に受け流してしまうところがあるので、数字が鍵を握っていると知った瞬間、心の鍵をそっとかけてしまった。というわけで最後の方は、あーだこーだ言いながら必死に解いている女性陣をただただ見守るという激渋な状況が完成してしまったのだった。

脱出ゲームの終了時間が迫る

時が経ち、一応の答えへと辿り着くことができた(結果間違えてたわけだけど)。
残り時間は3分を切っていた。

具体的な人数は伏せるが、今回の公演は一度に結構な人数が参加していて、その中にももちろんグループが複数存在するので、決して一枚岩ではなかった

俺を除く謎解き経験者の全員が「これが正解だったら、いくらなんでも普通すぎる」と思っていたらしく、答えが出ているのに、別の可能性を探り続けていた。残り時間2分

俺は手持ち無沙汰だったし「もう絶対これが正解やん」と思っていたので「最後までよくやるなあ」などと思いながら見つめていたのだけれど、正直なところ仮に別の正解があったとして、さすがに残り2分ではもうどうにもならないことは明白だったし、何より一番客観的に場を見ていたからこそわかるが、全員が全員それぞれに没頭して、思い思いに謎を解いている状態だったので、仮に誰かが大きな正解への糸口を見つけたとて、残り2分でそれをまとめ上げるのは絶対に無理だった
「それでも時間ギリギリまで謎を解くんだ」という姿勢は皮肉ではなく素晴らしいことだと思うし「もう無理なんだから良くない?」という発想に至っている俺のような人間との対比は、ある意味男脳女脳みたいなところなのかな、とも思う。見習いたい。

と、そんな流れもあり、もはや一旦正解として出た答えからどうやったって動かしようがないことは明白だったので「多分これが正解ですよ。みなさん謎解きしすぎて深読みしてるだけです」などと身も蓋も無い発言を場に放り投げ、脱出ゲームが終了した上、脱出に失敗した
結果的に彼女たちが最後まで深読みしていたまさにそれこそが、本当の正解への糸口だったので、脱出ゲームの奥深さをこれでもかと痛感させられた上、最後に空気の読めない発言をしてしまったことを悔いるばかりなのであった。

おわりに

それから、全く別の話だけれど、脱出ゲームは出会いの場としてもとてもいいんじゃないかなあと思う。
今回は俺が男一人だったこともあり、一期一会感が強かったし、不自然な絡み方をすればスタッフさんから注意されたりもするのだろうけれど、同じ目的に向かって共同作業をするという行為自体が、親密度を上げるものだし、今の世の中自然に出会うことが限りなく難しくなっているので、脱出ゲームを通じて男女が知り合うというのは極めて自然で、きっかけとして素敵なのではないかなと思った。

最後に、苦手な数字が頻発したこともあり最後の方は地蔵と化してはしまったが、総じてとても楽しい思い出として残っているし、今回参加した脱出ゲームはかなり特殊なものだったようなので、もう少しオーソドックスな脱出ゲームにも参加してみたいなと考えている。
あと、なんか「めちゃくちゃアウェイの状況に自分の身を投げる」という行為が癖になってしまいそうで、冒頭で書いた知らない男グループに混じって謎を解くのもそうだし、カップルに混じって三人で謎を解くみたいなことをやってみたい(悪趣味)。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?