見出し画像

2冊の台湾カルチャー本で、私が伝えたかったこと

2018年12月、1冊目の『TAIWAN FACE Guide for 台湾文創』を出版した。その2年後(2020年10月)、2冊目の『TAIWAN EYES Guide for 台湾文創』を出版した。

これらの台湾カルチャー本で私が伝えたかったことは、2冊目の『TAIWAN EYES』の「前書き」がすべて。

台湾カルチャーが導く、新しい時代。

2020年1月11日、私は台北の松山区にある居酒屋にいた。店内のテレビには過去最多の得票数で蔡英文氏が総統に再選したニュースが流れ、壁には候補者の名前をなぞったこの日限定のメニューが並んでいる。隣りのテーブルについた品の良い老夫婦が、首から手の甲までタトゥーのある店員に声を掛けて談笑している。その店員は「りしれ供さ小」のTシャツを着て、iPhoneでFacebookを開いていた。

私はこの夜のワンシーンを、映画館で超大作の映画を見終えたときのように、今でもはっきりと憶えている。

その後、台湾では歴史的な出来事が次々と起こってきた。李登輝元総統の死去や超高齢化社会による人口減少の始まり、高雄市長のリコール、誠品書店敦南店の閉店など、彼らは持ち前のユーモアに溢れウィットに富んだスタイルでこれらを乗り越えてきた。そして、その間、新型コロナウィルスを見事に押さえ込み、世界中から「コロナ対応の優等生」と称された。

台湾では今、国内旅行のムーブメントが起こっている。昨年、台湾では年間約1600万人が海外旅行に行き、その内の約500万人が日本に来ていた。現在は、日本を含め海外に行くことのできないフラストレーションを国内旅行で解消しているようだ。図らずも、2019年は台湾では「地方創生元年」が宣言され、台湾のローカルなエリアの情報が国内外に発信されていた。そのため、台湾の魅力を再発見した台湾人も多かったという。一方、日本では国内旅行ですら自由にすることは未だにできていない。世界中で海外旅行がリスタートするとき、これまでの日本の「おもてなし」は台湾人に響くのだろうか。

旅行だけにとどまらず、2020年を境に、私たち日本人の目に映る「台湾」は大きく変わっていくだろう。そして、そこには本書『TAIWAN EYES Guide for 台湾文創』で紹介する50組、前書『TAIWAN FACE Guide for 台湾文創』で紹介した51組がメインキャストとして、クリエイティブとカルチャー(文創)を合言葉にさまざまな仕掛けを施しているに違いない。

WEBマガジン「初耳 / hatsumimi」代表 小路輔

日本や世界の多くの国や地域にとって悲劇の年であった2020年は、台湾にとっては少し違った意味を持っている。コロナだけでなく、これからの日本が直面する課題や問題のヒントがあふれている。少子高齢化や介護、LGBTなどの性的少数者への取り組み、民主主義のあり方、仕事とプライベートのバランスの取り方などなど、台湾が日本よりぶっちぎって先行していたりする。

それらが、台湾の「文創」という「カルチャーとクリエイティブ」のようなふわっとした得体の知れないものの中にもあるとするなら、それを創り上げている台湾文創のキーパーソンの話に耳を傾けるのも悪くはないと思う。

と書いてみたものの、「フォーカス台湾」のインタビュー記事が本書(前書き)よりもまとまっていたので、こっちはこっちで読んでくれたらとても嬉しい。

写真提供:衍序規劃設計 BIAS Architects

よろしければサポートをお願いします。サポートは台湾での魯肉飯と臭豆腐に使わさせていただきます。