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わたし と 褒めること 〜 「初ヶ谷暖の恋するミスSNSたち」について〜

mixiでマイミクの紹介文を書くことがすごく好きだった。
(※マイミクとは、TwitterやInstagramでいうところの、相互フォローのようなものである。)

ひとは、交流を始める瞬間からいちいち脳内で言語化するわけではないけれど、
たぶん、お互いに、相手のどこかが好きだから友達になっていくのだと思う。

クラスメートの場合は、お互いに好きだと感じることで、「知人」から「友人」にランクアップする。
インターネット上で知り合う人の場合は、「知人」を飛び越えて、一足飛びに「友人」になることも多い。

そんな中で、(彼/彼女をなんとなく好きだなあ)という気持ちが、育っていき、(彼/彼女のこういうところが好きだな、こういうところも好きだ)と、
自分の中でたくさんの言葉になっていくたび、私はいつも、どうしてもそれを相手に伝えたくなった。

なぜなら、相手は同じことを既にたくさんの人に言われているかもしれないけど、
「また一人、あなたのおかげで幸福になった人間がここにいるよ」ということを、知ってほしかったからだ。

また、既にたくさんの人に言われているかと思いきや、私と同じ表現を用いた人や、そもそも、わざわざ言葉にした人が今までいなかったというときも、これまで意外とあった。
その場合、「あなたのこういうところも素敵だ」ということを、やはりどうしても相手に知ってほしかった。
なぜなら、私がもし相手の立場なら、自分の良いところをもっともっと知って「やっぱり私は魅力的な人間なんだなあ、えへへ」という認識を深めたいと思うからだ。

そう思う私にとって、mixiの「紹介文」制度はたいへん嬉しいものだった。
自分が相手をどんな風に好きかを、相手に存分に伝えることができるし、
さらに、相手がこんな風に素敵な人である、というのを、第三者にも見せることができるからだ。
私は蕩けるほど幸せな気持ちで、好きなひとたちの美点を書き連ねた。

ーーー

やがて私は「褒めるのが上手」だと言ってもらえるようになった。
「他人の良いところを見つけ、それを言語化するという一連の流れに、ここまで情熱を燃やせるのはあなたの特長だ」と、他人に教えてもらったことがある。
(これは、その人の「褒め」のおかげで、私が自分の美点を発見した例である。)

私は、世の全員が褒めるという行為をここまで溺愛しているわけではないことを知った。
そして、そうであれば余計に、自分はそれをしたいと思うようになった。
語られるべき無数の魅力を持った数多のひとたちの、魅力の多くが未だ語られていないことを思い、
「それらを言語化して本人と第三者に届けるまでは死にたくない」と思った。

だって、もったいないからだ。
本人には、ぜったいに、自分の美点を改めて知ることで嬉しい気持ちになってほしいし、
周りのひとたちにも、その人の素晴らしさに、さらに気付いてほしかった。

傲慢な考えかもしれないが、私にもしそれができるならば、
本来自分をめちゃくちゃ肯定すべきである、この世に存在する素晴らしい人々の自己肯定感を、
0.00001mmでも、充分なほどに底上げするための、お手伝いをさせて欲しかったのだ。

ーーー

いま私は、「ミスSNS」というコンテストに参加している。
影響力を手に入れたかったので、「がんばって影響力を手に入れたひとに、さらに影響力をもたらすためのサポートをする」という趣旨のコンテストに応募したのだ。
そして、この機会に、自分が影響力を手に入れたら行いたいと思っていたことを、いま自分のできる範囲で行うことにした。

それが、「ひとの魅力を伝える」ということだ。

もちろん、私の元々の知人で、みんなにもっとこの人の魅力を知ってほしい、と思う人は多くいる。
しかし、その人たちの魅力を体系立てずに突然語り始めても、多くの人に読んでもらうのは難しいのではないかと考えた。
そのため、せっかくだから、「今わたしがこの人たちの魅力を伝えれば、興味を引き、より多くの人がこの文章を読んでくれるのではないか」と思われた、
「ミスSNS参加者の方々」の魅力を書き連ねることにした。

もちろんその中に、元々自分の知り合いだった人などほぼいない。
でも、相手は「ミスSNS」に応募するほど、SNSを愛して、発信を多く行っている方々である。
彼女たちのSNSを遡ると、もちろんほんの一端だが、いつも、その溢れんばかりの魅力に触れることができた。

そこで感じた魅力を自分なりの言葉にしたものを、「初ヶ谷暖の恋するミスSNSたち」というタグをつけて、Twitterで勝手に連載した。
現時点で74人分。ミスSNS参加者のうち、Twitterを主な活動の場として用いていらっしゃる方々についてはほぼ語らせていただいた。
(Twitterで書いたので、Instagramメインの方々についてはまだ言及しきれていない。どの形式なら本人と第三者に届きやすいのか思案中だが、今までと同じように、許されるかぎり書きたいと思っている)

ほんとうに、ほんとうに楽しかった。

最初は、「コンテストに参加しながら他の参加者を褒めるだなんて、ヘンテコで小賢しい」と批判される懸念もしていた。
でも、ふたを開けてみると、驚くことに、そしてありがたいことに、そんなことはただの一度も言われなかった。

私が渾身の愛を込めて書いた文章を、そのまままっすぐ受け取ってくださる方ばかりだった。
「嬉しい」と言ってもらえたり、「よく見てくれている」と言ってもらえたり、
私のこの企画を目に留めてくれていたらしい参加者の方に、「自分の番を楽しみに待っていた!」とまで言ってもらえたこともあった。
この企画を通して私を知ってくれた参加者の方が、今度は逆に私を紹介してくださるということさえあった。

世界の優しい部分がどんどん開けて見えていくような感覚があった。
仮に「コンテストに参加している最中は、自分以外の参加者の株を上げないほうが良い」といったつまらない暗黙のルールが、私や誰かの頭の中に存在していたとするならば、
私たちは、たしかにあの瞬間は、軽やかにそれを撃破して笑いあった。

ーーー

ひとの魅力を言語化して発信することは、世界の幸福量を増やす最高の行為だな、という思いを、私はこの企画を通じていっそう強くした。
願わくば、もっと影響力の強い人間になって、ひとを紹介するコラムを書いたり、ラジオをやったりしたい。
(媒体は何でも良いのだが、単に私が、読むことと聴くことが特に好きなのだ。)

そういった夢を叶えるための、コンテストへの応募であった。
コンテストはまだ続く。現段階の審査期間もあと4日もあるし、大賞受賞者の発表日は4月1日だ。もちろん、人生はその後もまだまだ続く。

でも、ここで一瞬立ち止まって、ここまで「褒め」を温かく受け止めてくださった皆さまに、どうか感謝を伝えさせていただきたい。
「初ヶ谷暖の恋するミスSNSたち」を読んでくださった方々、ありがとうございます。
そして何よりも、ご紹介させてくださったミスSNS参加者の皆さま、本当にありがとうございます。

私は心から幸せでした。善意に力いっぱい触れた2週間でした。
私も夢を叶えたいし、皆さまの夢もすべて叶ってほしいよ。
どうかすべてのひとに、とびきりの巡り合わせがありますように。

ーーー

「初ヶ谷暖の恋するミスSNSたち」はもう少し続くし、それが終わっても、「私の恋する皆さん」への私からの愛の発信は、私の生きるかぎり続きます。
ほんとうにありがとう、これからもどうぞよろしくね。

(photograph by PON)

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