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オバマ・トランプ・バイデン3代政権が飾る超大国の終焉(1)

 皆さんこんにちは、ハトヤブと申します。ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機など何かと不安定な国際情勢ですが、その裏でアメリカの時代が終わるという言説があちらこちらで語られるようになりました。
 いや、あのアメリカが終わるとか有り得へんだろと思ったそこのあなた、学生の頃国語の授業で平家物語の祇園精舎を読んだことがあるでしょう?

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の断りをあらはす。驕れるものも久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛きものもつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。(平家物語より)

 この言葉のように覇者は必ず失墜するのが日本史だけでなく、人類史の宿命となっています。地中海をまたにかけたローマ帝国も今は跡形もなく、日の沈まぬ帝国と呼ばれたスペイン帝国も大英帝国も今は一中堅国家に納まっています。これらと同じように超大国アメリカもいつかは普通の国に戻る日が来ると考えるのは自然なことです。
 巷での識者たちは今の混乱は「バイデン大統領のせい」とか「トランプ前大統領のせい」などという主張に発展し、一方はトランプ再選待望論へ、もう一方は「もしトラ」恐怖論に発展した論調がほとんどです。しかし深く考察してみれば大局として先々代のオバマ大統領の時からアメリカ時代の終わりが始まっていることがわかります。
 今回はオバマ・トランプ・バイデンの三政権が飾る超大国としてのアメリカの終焉について考察していきましょう。


オバマ大統領

世界の警察辞めるってよ

 1945年に第二次世界大戦で日本に勝利したアメリカは太平洋の覇権を手に入れ、世界を主導する国の一つになります。その後のソビエト連邦とのイデオロギーをめぐる冷戦において、西側のリーダーとして関与を一層深め、冷戦終結後は唯一の超大国として世界に君臨することとなりました。湾岸戦争などはその典型で、世界の紛争あるところにアメリカ軍あり、まさに「世界の警察」として振舞っていたのです。

 綻びの発端は2001年ブッシュ・ジュニア時代の9.11同時多発テロから始まり、アフガニスタン戦争、イラク戦争と中東への軍事介入が続きます。タリバン政権やフセイン政権は難なく倒せましたが、国の体をなしてないテロリスト集団との戦いは困難を極め、米軍の疲弊をもたらしました。2008年、そこへ追い打ちをかけるようにリーマン・ショックが起こり、世界同時不況に見舞われます。その時に世界経済を牽引したのが中国です。まるで世界恐慌を回避したソ連みたいですね。

 その後現れた大統領はこれまでのアメリカの常識を逸脱し、大きな路線変更を象徴する者でした。お分かりの通り、オバマ大統領です。米国史上初の黒人大統領である彼はブッシュ・ジュニアを批判して選挙に勝った背景から、軍事介入に消極的になりました。果ては核なき世界の演説を行い、ノーベル平和賞を受賞するまでになりました(ここよく覚えといてください!)。印象的だったのは「アメリカは世界の警察ではない」と謳った演説です。

オバマ大統領は、シリア内戦に関するテレビ演説で、退役軍人などから、「米国は世界の警察官でなければいけないのか」という書簡を受け取ったことを明らかにし、次のように述べた。
「米国は世界の警察官ではないとの考えに同意する」。
(出典:惠谷 治,「世界の警察官をやめる」と宣言したオバマ大統領,ダイアモンドオンライン,2015.8.5,https://diamond.jp/articles/-/75884)

 実際のところイラク戦争は終わらせましたが、中東への駐留は続き、ビンラディン氏殺害やリビア内戦介入、IS(自称イスラム国)への攻撃は行っております。それでも空爆や無人機の運用だけに留まり、地上軍の派遣には消極的でした。ISとの戦いではイランの協力を借り、それが核合意に結びつきました(現在機能不全に陥っていますが)。

警察なき世界で暴れる中露

 この消極的なアメリカを見て増長したのがロシアと中国です。ロシアはウクライナの政変に反発してクリミアへ武力侵攻し、住民投票を演出して自国に編入しました(事実上の国境書き換え)。

ロシアはウクライナで2月22日に起きた政変で、親欧米派の新政権が発足したことに強く反発してきた。「ロシア系住民の保護」を理由に、3月初めまでにクリミア半島全域に軍を展開。9割以上が編入に賛成した16日のクリミア自治共和国とセバストポリの住民投票を誘導した。
ロシアが同半島を編入すれば、第2次世界大戦後の欧州で初めて武力を背景にした「併合」の事例となる。ロシアは住民の「自決権」を認めた国連憲章に従って合法性を主張するが、日米欧は戦後秩序を形成してきた「領土保全」の原則が侵害されたと批判する。
(出典:ロシア大統領、クリミア編入を表明 欧米が追加制裁へ,日経新聞電子版,2014.3.18.,https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1803U_Y4A310C1MM8000/)

 さらにはウクライナ東部への侵略も内乱を装って行い、ドネツク・ルガンスクの自称国家を建国させました(後にウクライナ戦争で併合)。これにオバマ政権は強い態度は示したものの、湾岸戦争のような介入は行わず経済制裁に留めました。

 これよりもっと酷いのがアジア政策で、就任初期はアジアリバランスを掲げ、中国市場目当てに米中蜜月を演出します(G2)。この結果起こったのは日本の尖閣諸島への挑発、南シナ海での人工島の建設です。


中国の造成した人工島(GoogleEarthより作成)

 そして覇権主義に燃える習近平総書記から太平洋を米中で二分割する提案をされます(後のトランプ政権も同じ提案をされています)。

これを端的に表現したのが習主席がオバマ大統領に言い渡した「広く大きな太平洋には米中の両大国を受け入れる十分な空間がある」という言葉だ。習発言からは、中国海軍にとって西太平洋への入り口に位置する尖閣諸島の重要性も見えてくる。当然、オバマ大統領は簡単には乗れない。(出典:中沢克二,米中、緊張含みの緊密化 首脳会談、異例の8時間,日経経済新聞電子版,2013.6.10,
https://www.nikkei.com/article/DGXDASGM0900Z_Q3A610C1EB1000)

 要はアジアから米軍が出ていき、中国の人民解放軍に委ねよといっているのです。日本を含めたアジア諸国を国とも思わない身勝手な発言です。

裏切ったイギリス

 また習政権は中国主導の巨大経済圏「一帯一路」を提唱し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立しました。

AIIB参加国(緑は域内の批准国、薄緑は域内の署名国、青は域外の批准国、薄青は域外の署名国)

 この国際金融事業は出資率の高い中国のみが拒否権を行使でき、融資審査やガバナンスが不透明であることが指摘されていました。しかしアメリカと日本を除く西側諸国の多くがこれに参加し、2016年の開業時には57か国、現在は92か国の大所帯となっています。特にアメリカにとって伝統的な友好国であるはずのイギリスの参加はかなりの衝撃だったでしょう。

 終盤のオバマ政権は対中強硬姿勢に転じたものの、米海軍の軍艦を中国の人工島が建設された南シナ海へ送るだけの「自由の航行作戦」しかできませんでした。ブッシュ大統領のイラク戦争を批判した都合上それ以上の戦闘に踏み込むことができないのです。中国が核保有国であることもあるでしょう。アメリカの弱体化はこの時から始まっていたのです。

トランプ大統領

21世紀孤立主義「アメリカファースト」

 次に大きな方針転換を図ったのが強烈なキャラクター性でおなじみのトランプ大統領です。忘れもしない彼が就任して一番初めにしたことは日本やシンガポール、ニュージーランド、オーストラリアなど12か国の太平洋諸国ですり合わせていた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの脱退です。

トランプ大統領は23日、ホワイトハウス内で「TPPから永久に離脱する」とした大統領令に署名し、再交渉などの可能性も明確に打ち消した。12カ国で大筋合意したTPPは、米国の批准に向けた行政手続きが完全に止まった。トランプ氏は「(TPP離脱は)米労働者に素晴らしいことだ」と述べた。(出典:トランプ氏、TPP「永久に離脱」 大統領令に署名,日本経済新聞電子版,2017.1.24,
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H1X_U7A120C1MM0000)

 シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリから始まったこの協定はアメリカと日本の傘下によって巨大な経済圏となって増長する中国に対抗する象徴になるはずでした。国内ではアメリカ主導で日本経済と雇用に悪影響があると異論が相次ぎ、当時参入を決めた民主党政権の崩壊を早める遠因にもなったほどです。それを引き継いだ安倍政権は甘利氏による懸命な交渉の末、日本にも受け入れられる条件にすり合わせるに至っていたのです。それをトランプさんは自国の都合だけでちゃぶ台返しにし、アメリカの都合のいい形で自由貿易協定(FTA)を結ばせたのです。これが彼が大統領就任時に公約したアメリカファーストです。

 彼はその後続々と国家間の取り決めから離脱していきました。地球温暖化対策を地球規模で取り決めるパリ協定、イランの核開発を期限付きで制限するイラン核合意、米ソで核弾頭を搭載した中距離ミサイルの全廃を実現した中距離核戦力全廃条約(INF)、非武装での偵察機の運用を認めるオープンスカイ協定、そして世界規模の感染症対策に取り組む世界保健機構(WHO)からも脱退する方針を示しています。それぞれの背景を見れば納得できるものもあるものの、その稚拙で無遠慮なやり方は世界のリーダーとしてのアメリカの地位を大きく貶めるものでした。まさしく21世紀の孤立主義、モンロー主義の再来と言えるでしょう。

日米同盟に不満

 挙句の果てはアメリカが長年継続してきた安全保障戦略にも物申し始めます。大統領選の時からトランプさんは世界に駐留する米軍の撤収を公言しており、日本が在日米軍の駐留費を全て負担しないなら撤収するぞと就任前から発言しています。幸い安倍前首相との個人的な信頼関係ができたことで日米関係が揺らぐことはありませんでしたが、日米同盟の片務性には度々苦言を呈しておりました。

トランプ氏は「日本が攻撃されれば米国は第三次世界大戦を戦う。私たちはいかなる犠牲を払ってでも日本を守る。だが、米国が攻撃されても日本はそれをソニー製のテレビで見ていればいいのだ」と語った。(出典:トランプ氏「日本は米国を守らない」 米FOXビジネスのインタビューで,産経新聞電子版,2019.6.27.,
https://www.sankei.com/world/news/190627/wor1906270050-n1.html)

 これを左翼は全く重く見ず、保守も「日本も負担を負っている」と反論するだけでしょうが、私は深刻な事態と受け止めます。なぜならこれまでアメリカは我が国を軍事強国にさせない瓶のふたと世界覇権を維持する重要拠点と成す為に同盟を維持しており、我が国も低コストで世界4位の海洋資源とシーレーンの恩恵にあずかるために同盟の継続を望んでいるのです。それを彼は完膚なきまでに否定したのです。それがドナルド・トランプ個人の考えならともかく、彼を支持する7300万人の米国有権者の総意だとしたら笑ってはいられません。

動揺する韓国とNATO

 彼の安保戦略見直しはそれに留まらず、在韓米軍、NATO、中東に駐留している米軍にも及びます。まず在韓米軍に関しては2018年6月12日、北朝鮮の金正恩委員長とシンガポールで会談した後、米韓合同演習の中止を表明し撤退も視野に入れていました。

 トランプ大統領はシンガポールでの米朝首脳会談後に開いた記者会見で、米国が北朝鮮との包括的な合意の具体化に向け取り組む中で、定例の米韓合同軍事演習を継続することは「不適切」だと発言し、観測筋らを驚かせた。大統領はさらに、韓国から米軍を「いつか」撤退させたいとの意向も示した。(出典:トランプ氏、米韓合同演習の中止表明 国防総省は寝耳に水,AFP通信日本語版,2018.6.13.,https://www.afpbb.com/articles/-/3178292)

 発表された米朝共同声明には演習の中止がなかっただけに「寝耳に水」としていますが、これは読解力不足であり、声明には「朝鮮半島の非核化」が明記されています。それが意味することは北朝鮮が核を手放すのみならず、核を保有したアメリカが韓国から撤収することも含んでいたのです。後日ハノイでの二回目の交渉で物別れに終わり事なきを得ましたが、今から考えると韓国の人は空恐ろしく感じるのではないでしょうか。

 NATOに関してはより刺激的で、彼は加盟国の義務であるGDP比2%の国防費が護られていないことを理由に米国をNATOから脱退させると表明しました。当然NATO諸国は動揺するわけで、フランス大統領のマクロン氏はNATOが「脳死」に至っていると発言し、さらに物議をかもしました。

【11月8日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は7日、英週刊誌エコノミスト(Economist)が掲載したインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)が「脳死」に至っていると発言した。これを受け、加盟国の間ではNATOの真価をめぐる議論が勃発。独米はNATOを強く擁護したのに対し、非加盟国のロシアはマクロン氏の発言を称賛した。(出典:NATOは「脳死」とマクロン氏 加盟各国が反論、ロシアは称賛,AFP通信日本語版,2019.11.8.,https://www.afpbb.com/articles/-/3253705)

 記事にもありますがこの時、ロシア外務省の報道官が「最高の言葉だ」なんて言っているのが印象的です。トランプによってNATOが弱体化したことを心から喜んでいるのです。

第二次世界大戦で助けなかった

 そして2019年にはIS(自称イスラム国)を打倒したとしてシリア北東部から米軍を撤収させましたが、同地域で活動するクルド人達がトルコの攻撃を受けました。これは同国がクルディスタン民兵の活発化を憂慮したもので、国内で活動するテロ集団クルディスタン労働党(PKK)との結託を予防するためでした。かなりグレー寄りのグレーな行動であり、アメリカ国内では米軍に協力してくれたクルド人を見捨てるのかと批判が上がりましたが、トランプ氏は撤退の方針を崩さず、逆にこう開き直りました。

トランプ大統領は10月9日、クルド人部隊を見捨て、シリア北東部に駐留する米兵を撤退させた自身の決断を改めて擁護した。クルド人は第二次世界大戦でアメリカを助けなかったからだという。
(中略)
9日の"第二次世界大戦"発言の直後、報道陣にシリアからの撤退やクルド人部隊の扱いは、他の潜在的なアメリカの同盟国に対し、負のメッセージを与えたのではないかと尋ねられたトランプ大統領は、「同盟はものすごく簡単だ」と答えた。アメリカにとって、新たなパートナーシップを組むのは「難しいことではない」という。
そして、「我々の同盟国」は「我々に大いに付け込んできた」とも述べた。
(出典:John Haltiwanger,「同盟は簡単」「第二次世界大戦で我々を助けなかった」トランプ大統領、クルド勢力を見捨てたとの批判に反論,BUSINESS INSIDER JPAN,2019.10.10.,
https://www.businessinsider.jp/post-200340)

 このロジックに従えば日本はアメリカを助けるどころか敵だったので見捨てていいことになります。さすがにそれは冗談だとしても“「我々の同盟国」は「我々に大いに付け込んできた」”という発言は日米同盟の片務性への苦言と根っこは同じです。「同盟は簡単」と言う当たり、世界展開はアメリカの国益に基づくものであって、決して慈善事業でないことを印象付けた出来事です。

攻撃されても大丈夫

 極めつけは対イランでしょう。外交面では核合意を「ろくでもない代物」と言って離脱し制裁を復活させるなど、タカ派のイメージがありますが、いざ攻撃を受けるとそうでないことがわかります。例えば2019年6月20日に米軍のドローンがイランに撃墜されますが、報復措置として軍事攻撃を一旦承認したものの撤回する出来事がありました。

 トランプ大統領は「昨晩、3カ所に対する報復攻撃を実施する準備を整えていたが、(イラン側で)何人が死亡する可能性があるのかと質問したところ、150人との答えが返ってきた」とし、「攻撃開始の10分前に中止を決めた。無人偵察機の撃墜に対する報復措置として(軍事攻撃は)不釣合いだ。急ぐことはない」とツイッターに投稿した。
(出典:イラン攻撃承認、10分前に撤回 米大統領「人的被害を考慮」,ロイター通信日本語版,2019.6.22.,https://jp.reuters.com/article/idUSKCN1TM2AU/)

 また2020年1月3日に中東地域の親イラン派武装集団を支援しているイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害し、イランから報復としてイラクの米軍基地に弾道ミサイル攻撃を受けますが、制裁を追加するだけで武力による反撃を行いませんでした。

 トランプ米大統領は8日、米軍による革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害に対するイランの報復攻撃で米国人の死傷者は出なかったと明らかにした。また必ずしも軍事力を行使する必要はないと述べ、危機打開に向けた姿勢をにじませた。
 米国は(軍事力の)行使を望んでいない。米国が持つ軍事面と経済面における双方の力こそが最大の抑止力になる」と語り、イランへの軍事行動を巡って直接的な警告を避けた。
(出典:トランプ氏、イランへの反撃明言せず 軍事力行使「望まない」,ロイター通信日本版,2020/1/9,https://jp.reuters.com/article/iraq-security-trump-idJPKBN1Z72KV)

 実際は死者は出ていませんが負傷者は出ており、脳を損傷した人もいたのですがトランプさんは深刻に受け止めませんでした。結構な平和主義者ですね。エスカレーションさせないという面においては適切な判断ですが、こうした抑制的な態度は相手から付け入る隙と見られる可能性があります。日本が中韓朝露になめられるのも同じ理由です。

平和主義国家アメリカ

 こう書くと日本のトランプ支持者(?)の方々から「お前、トランプが反中だって知らねぇのか?」と抗議されますね。はい、就任初期、対北朝鮮政策で中国に協力を求め、習近平総書記と「馬が合う」と言ったトランプさんですが、貿易交渉の拗れと米国国内への工作の深刻さから「アンチ・チャイナ」へと転じました。2018年10月にはペンス副大統領が中国共産党政権への強硬姿勢を示す演説をし、昨年7月がポンペオ国務長官が自由主義と共産主義との対決を説きました。そして香港人権法をはじめ台湾旅行法や台湾保障法を制定し、ウイグル人権法やチベット支援法までできました。

米ホワイトハウスによるとトランプ大統領は16日、米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立した。
 同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。
(出典:米で「台湾旅行法」成立、政府高官らの相互訪問に道 中国の反発必至,産経新聞電子版,2018.3.17.,https://www.sankei.com/article/20180317-J4GEFPTJLZOM5GBWLADMKQ33BA/)

 でもそれだけです。要は中国の暴虐に対してアメリカ一国が制裁をするのみです。オバマ政権の対ロシア制裁と何が違うのでしょうか?それに対中国に関する諸法案は議会が決定し、トランプさんは署名しただけに過ぎません。香港動乱の際にも「私は習近平国家主席と友人だ」と言っていた有様で、本格的に強硬になったのは2020年の武漢熱でアメリカ経済がダメージを負った後であり、この時からファーウェイなどの5G通信関連への本格的な締め付けを行いました。

 他方でトランプさんは任期中ノーベル平和賞を受賞することに腐心しておられました。そうです。オバマ大統領も受賞していたあれです。2019年は北朝鮮問題で安倍さんから推薦してもらい、2020年は中東アラブ諸国とイスラエルの国交正常化の仲介として推薦されました。平和賞受賞を望む人が中国と本気で戦うと思いますか?

 次回に続きます。

(2024/5/22 中国人工島の写真を縮小版に差し替えました。目付けられるかもしれないので(笑))

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