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FC今治のJ3昇格と伝説のスナックかつえ。絶対に負けられない戦いがそこにある。


この文章は、2019年冬、東予の地今治にて、FC今治のJリーグ昇格を現地で祝った男の回顧録である。


【著者】
中村慎太郎
東京生まれ、東京育ち。東京大学文学部、農学系大学院を経て文筆業へ。観客目線の自由なサッカー記事を得意としている。著書『サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果思わぬ事になった』(ころから)が、サッカー本大賞2015を受賞。タクシー運転手をしながら文筆活動続けている。


この記事では、何かが起こる!!!

noteの規約違反になりそうな気がしないでもないが、突っ走ろうと思う。これもスポーツだ。旅だ。スポーツーリズムだ!!

昨年の話にはなってしまうのだが、OWL magazineは「旅」のマガジンであるため、速報性にはこだわっていない。自分の中での鮮度が落ちていなければ、その記事は新鮮なのである。


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それは、幸福な瞬間のはずであった。

最高の時に、最高の場所にいることが出来た。

どのクラブでもいいのだが、Jリーグ昇格の瞬間に立ち会ったことがある人はいるだろうか。もちろんいるとは思うのだが、あまり多くないのも間違いはない。

レアリティの高い瞬間であり、積もり積もったフラストレーションが、歓喜として爆発する瞬間である。

どうでもいいが、らんま1/2に出てくる愛しの猫娘シャンプーが「大歓喜!」と言うことが多いのだが、そんな中国語はあるのだろうか。

調べてみると「大歓喜」という言葉はちゃんとあるようだ。ただ、もっと上の表現があるようで、中途半端な位置づけの「大歓喜」はあまり使われないと、みんなの相棒「Yahoo!知恵袋」には書いてあった。

その1つ上が「極度歓喜」で、さらにその上の「莫大歓喜」があり、最終的には「無比喜悦」になるのだそうだ。最上級の中国語表現、「無比喜悦」を日本語で表現するとなんだろうか。考えると、マンモスうれぴーしか思いつかない。

マンモスうれぴーという言葉は、禁断のお薬を使ったときしか味わえぬ快楽を(以下自粛)。


というわけで、FC今治の昇格の瞬間である——。

ありがとうサービス.夢スタジアムは、大歓喜、極度歓喜、莫大歓喜、無比喜悦、マンモスウレピー状態になっていた。

サポーター達の泣き笑い顔につられて、ぼくも感動の涙を流す——。


そう……。

そのはずであった……。

しかし、私はFC今治昇格の瞬間が思い出せないのだ。


正直に言おう。

本当に覚えていないのだ。

Jリーグ昇格の瞬間。サッカークラブにとって最も尊い瞬間に立ち会ったにもかかわらず。

この文章を書くのに随分と時間がかかってしまった理由が実はこれだ。昇格の瞬間を見るために今治を訪れて、実際にその場にいたにも関わらず記憶がない。あるまじき事態である。

いくつかその場に居合わせた痕跡は残っている。

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これはどこかで翌日見つけたやつだな。Macシステムに変えてからファイル管理がしづらくてしづらくて……。このへんも旅記事の生産性があがっていない理由となっている。カイゼン!カイゼン!カンゼンじゃなくてカイゼン!

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スポニチさんの号外も作られていた。これ……。ナガノ先生にもらったのは間違いないのだが、はて……。いつもらったんだろうか。

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ぼくのコメントも載っている。当日頂いたような気がするので、前もって送ったのか……?まったく覚えていない。

なんたることだ!!

ぼくは昇格の瞬間を見るために行ったのだ!!

なのに何も覚えていないなんて、物書き失格ではないか!!


ただ、私が今治という土地で何を見たのか。どんな衝撃的な体験をしたのか。それを知って頂ければ、私の記憶が失われていることを理解して頂けるはずだ。

先日今治と自分の繋がりを強く意識する出来事があって、この文章を書くのは今なのだろうと感じた。ついに覚悟を決めるときが来たのだ。

絶対に負けられない戦いがそこにはあった。


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……。


さて……。



FC今治とは誰の夢なのか。


初めて今治を訪れた時、そんなことを考えた。そして、それをOWL magazineの記事として書いた。

書き始めた時は、自分の中に明瞭な答えがあった。しかし、書き進めるうちに少しずつ自信がなくなってしまった。

FC今治とは、誰の夢なのだろうか。


人に聞いてみると「岡田武史氏の夢」という答えが多かった。FC今治は岡田武史氏代表夢の舞台であり、野望を実現させる場所ということなのだろう。

今治の外から覗いてみた時、あるいは他人事としてFC今治を見た時、それはごく当たり前の見立てかもしれない。

FC今治は岡田武史氏の尽力によって発展したクラブであることは間違いない。今治市という地域よりも、元日本代表監督の岡田武史氏のほうが知名度が高い可能性すらある。

もっとも、そんなことを言っては失礼にあたる。今治市は伝統ある港町であり、造船業やタオルの製造などで全国的にも有名な都市である。最近では加計学園の建設に伴う騒動に巻き込まれる形になったことで話題にもなった。

ただ、市況が良いとは言えず、人口は減少傾向で、わずか15万人ほどになっている。その上、顕著な高齢社会でもある。

町を散策すると長期間放置された廃屋がちらほらと目に付く。今治タオルやFC今治の華々しい話題が聞こえてくる裏では、誰にも手が付けられない「深刻な衰退」が進行している。

今治は、瀬戸内海に浮かぶ島々とをフェリーで結ぶ玄関口として賑わっていた街であった。このあたりの海は、古くは戦国時代に村上水軍が拠点としていた海上交通の要衝であり、その四国側の玄関口になっていたのが今治であった。

その後も瀬戸内海に浮かぶ人々が週末になると船で今治を訪れて、商店街で買い物をして帰る光景が見られたと聞いている。しかし、1999年。ノストラダムスが予言したように恐怖の大魔王が降臨した。今は観光名所と化している来島海峡大橋の開通である。

1999年、しまなみ街道が開通したことによって、皮肉なことに今治は港町としての意義を失ってしまったのだ。

フェリー乗り場から伸びていくアーケード商店街は、港からあがってくる客で賑わっていたと聞くのだが、今は見事なまでのシャッター街になってしまっている。

一方で、そんな今治のことが大好きで、シャッター街の片隅で気の利いたお店を始める人がいるのも今治のもう一つの現状である。

この街はどういう街なんだろうか。

そういえば、今治を悪く言う人に出会ったことがない。

クラブ経営に対する辛口批評で知られるロック総統ですら今治に対しては好ましい感情を持っているようであった。


衰退していく町。個性豊かな町。地元の人に強く愛されている町。そこには何かがある。でも何かはわからない。単に寂れているわけではない。希望も夢もある。けど、未来は決して平坦ではない。

美しい風景。
豊潤な海。
気さくな人々。
確実に浸透していく衰退。

過疎の町と言い切るには風景が美しすぎる。人の心も澄み切っている。ただ、未来溢れる町というには廃墟が多すぎる。

不思議な町。
魅力的な町。
懐かしいけど新しい町。
新しいけど古くさい町。

それが今治であった。
今治のような町は日本中探しても他には見つからないような気がする。

今治ってなんだろうな。

ぼくにとっての答えは曖昧なままだったが、今治の人々にとっての記念すべき瞬間に、その場にいたいという気持ちは強くあった。

だから今治へと向かった。


そして大歓喜、極度歓喜、莫大歓喜、無比喜悦、マンモスうれぴー状態を味わった。悲願のJリーグ昇格である。

しかし、前述したように、そんな瞬間に立ち会ったにもかかわらずほとんど記憶がない。

理由は明白だ。Jリーグ昇格よりも大きな出来事があったからだ。

これから紹介するのは、今治という都市に隠された秘密、それを暴くために戦った男の記録である。


俺は


今治を牛耳る巨大な力に


立ち向かった



……。

……。

……。


気をつけろ


この町には秘密がある


油断するな

この町には化け物がいる



スクリーンショット 2020-12-24 16.04.00



……。


……。


……。


やめろ!!!


俺には東京に残してきた妻子がいるんだ!!!


今治よ!!!


俺に何をした!!!!





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少しあざといようだが、以降は有料コンテンツとさせて頂く。営業上の理由というよりも、無料では載せられないようなきわどい内容が含まれるからだ。


何が起こったんだ。

俺に何が起こったんだ。

衣服はもちろんのこと、パンツさえも脱がされている。あっという間にである。身体中は落書きだらけ、はじめて会ったおねえさん(母より年上かもしれぬ)に、大切なところを○××○□△×○されている。

カウンター飲んでいる女性客がこっちを振り返ってクスクス笑う。でも目を合わせてはくれない。

そして俺は歌っていた。歌わされていた。この状態で。半強制的に。


U.S.A!!!

リズムが衝撃だった!!

(だった、だった……)


なぜ、DA PUMPを歌わされているのか。

駄目だ。頭がおかしくなりそうだ。

FC今治の昇格?そんなことはもうまったく覚えていないのだ……。

夜の松本町で飲み始めたところからじっくり思い出そう。

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以下は有料コンテンツとなります。

有料コンテンツには今治が誇る伝説のスナックの詳細を描きます。あの岡田武史氏も今治への洗礼として連れてこられたと聞いています。ということは岡田さんも同じ格好になったのだろうか……。

今月中にもう1記事。普通の今治観光レポートも書きます。とはいえ、地元のサポーターに案内してもらっているのでかなりのコアスポットが出てきます。こちらも7割くらいは有料になると思います。

これを機に是非OWL magazineをご購読ください!!
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作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。

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