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もしもあの時noteがあったなら【ブラジルW杯への旅 Part1】


東京オリンピックが迫っている2019年の東京にて、細い糸をたぐり寄せるようにあの時の記憶を辿っている。


カタールワールドカップを見据えた森保ジャパンが活動する中、ロシアワールドカップを戦った西野ジャパンのことは滅多に語られなくなった。

その前に監督をしていたハリルホジッチのこともあまり語られないし、さらに前のアギーレについては忘却の彼方だ。

そしてその前の監督がアルベルト・ザッケローニ。優しい表情を浮かべるイタリアの名将が率いるザックジャパンが、「ワールドカップ優勝」という夢を掲げて、地球の裏側まで乗り込んでいった。

そんな昔の話を今更しても、情報としての価値は存在しない。0勝1分2敗という成績を残して惨敗したことは周知の事実だからだ。ザックジャパンが語れる時は「何が問題だったのか」が論点になる程度だ。

サッカー界においては、終わって試合の価値は急速に失われていく。それはワールドカップであっても例外ではない。

試合の直前、試合中、そして試合直後から翌日にかけて価値が最大化し、1週間もすればサッカーファンの感心は次の試合へと移っている。

だから、今更2つ前のワールドカップについて語っても、情報としての価値はないのだ。

だから、書くべきではない。

だけど、書きたい

ブラジルワールドカップへの旅は、電子書籍『Jornada』として途中までは公開されている。このプロジェクトは、プロデューサーに入ってもらって実施していたのだが、大失敗に終わった。

※Jornadaとはポルトガル語でJourney=旅の意味。

どういう失敗であったのかについてはあまり語りたいことではないのだが、クリエイターファーストのチーム作りが出来ていなかったことが大きく、その結果、ぼくは疲弊しきってボロボロになり、しばらく次の記事が書けなくなってしまった(もっともチーム側からするとぼくがポンコツなせいでうまくいかなかったことになるのだろう)。

その疲弊は長らく続き、このOWL Magazineを刊行するまで2年近く続いた。このプロジェクトの失敗によって、物書きとしてのぼくは完全に消え去ってしまった。

その後は細々とPodcast『ハトトカ』を更新するくらいしか活動先がなくなり、日々確実に縮んでいった。

しかし、旅とサッカーについて紡ぎたいという情熱は消えることなく、OWL magazineという果実を生んだ。そして、OWL magazineを始めた動機の一つが何としてもブラジルワールドカップについての記憶を文章としての形に残したいということであった。

さて、『Jornada』の失敗について語るのはこのくらいにしよう。反省を踏まえて思ったのは、「自分でビジネス部分も考える必要がある」ということだった。

文章を売るのはとても難しい。理由は簡単で、文章がなくても死ぬことはないからだ。文章はパンやおにぎりではない。

一方で、文章があることによって、よりよく生きることは出来る。時に文章は、パンやおにぎりよりも、輝く。

ブラジルについての記事を今更書いたところで、興味を持ってくれる人は多くないかもしれないし、マガジンとしてもリスクはあるのだが、それでもぼくはどうしても書きたい。

これ以上のスポーツツーリズムは存在しないからだ。

少なくともぼくにとっては間違えのない事実だ。この旅を超えることはそうそう出来ないし、超えることが今後の目標にもなってくることだろう。

旅とは何か。

ぼくにとってはブラジルへの旅のことである。

そのくらい強く言い切ることが出来る。世界最大の祭典であるワールドカップへの旅であり、ナショナリズムを背負った日本国民としての旅であった。何より、自分を変えようと望んで赴いた冒険であったし、帰国時には十分な成果を得た実感もあった。

つまりこう言い換えることが出来る。

旅とは何か。

旅とは、人生を変えたいと強く願い、どこか遠くへと移動することである。

そしてぼくは、ブラジルへと向かった。


これ以上は本編で語って行こうと思う。


これから書いていくブラジルワールドカップ紀行は、拙著『Jornada』の続編にあたるのだが、なかなか読む気にならない人もいるかもしれないし、ずいぶんと前の本なので、簡易的ながらOWLバージョンとして、旅の始まりから改めて綴ってみようと思っている。

とはいえ、『Jornada』は魂を込めて書いた文章で、もういちど書けと言われても書けないシーンは多い。なので、『Jornada』の内容を振り返りつつ進めていくような構成にせざるをえない。

『Jornada』



その分、写真を多くして、フォトブックとしてお楽しみ頂けるように構成したい。noteというメディアが得意とする表現方法だ。もしもあのときnoteがあったならば、随分と楽だったことだろう。

さておき、今はnoteがあるのだ。クリエイターのための、最高の表現メディアである。

noteの力を借りながら、2014年へと時計の針を戻す――。




















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9月以降は、月1〜2本のペースでブラジルワールドカップ寄稿も連載していこうと考えています。

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