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「私は人が好き」それに気付けた9年前の言葉

私は人が好きで他者への興味が強いです。自覚したのは9年くらい前。とあるバンドのボーカリストにインタビューしたとき、「私は人が好きなんだ」とはっきり気付いたのです。そのときにもらった言葉やインタビューについて、現在の仕事のスタンスなどについて綴っていきます。

インタビューは自己成長につながっていく

私は転職活動をしている、フリー編集者です。音楽雑誌・フリーマガジン・写真集・ファンクラブ会報誌など「紙」の編集を約10年、ニュースメディア・エンタメ情報サイトなど「Web」の編集を5年半ほど経験しました。

1~3社目は音楽系媒体の編集やライティングを担当。「なぜ音楽系の編集をやっているの?」と聞かれると、「音楽と編集が好きだから」と答えていました。

2社目のフリーマガジンの編集時代は、年間のべ100人のミュージシャンにインタビューをしていました。インタビュースキルは基本的に先輩の姿を見て学ぶスタイル。最初は緊張しすぎて胃がキュルキュル……自分の至らなさにヘコむことも多々。インタビューが怖くて逃げたい日もありました。でも、場数を踏んでいくうちに徐々にコツをつかみ、少しずつインタビューが楽しく感じられるようになってきました。

1時間のインタビューをすると、本を1冊読んだような、映画を1本観たような、あるいはそれ以上の学びや発見・感動を得ることがあります。その人ならではの生きた経験・ストーリーを直接聞かせていただけるのは、なんて贅沢で貴重な体験なんだろう。いい緊張感もあって刺激的でたくさんのことを学べる、インタビューは本当に奥深いです。
もちろん記事で達成したい目標のために実施するのですが、人と向き合うインタビュー取材の経験は自己成長にもつながっていたように思います。

「カウンセリングのように向き合ってくれてありがとう」

これまでのキャリアで特に印象に残っている出来事があります。2社目のフリーマガジンの編集時代、とあるインディーズバンドの女性ボーカリストへのインタビュー中のことです。

ポジティブで明るい曲が印象的なアーティストですが、わたしはどこか彼女の影の部分も感じていました。そこについて私からは触れませんでしたが、曲への想いを掘り下げると過去のつらい経験についても話してくれ、言葉を重ねるうちに目の前で泣いてしまいました。

「泣かせてしまうくらい深堀りしてしまった……」と不安になりましたが、その方は「ここまで話せて嬉しい。カウンセリングみたいに丁寧に向き合って話を聞いてくれてありがとうございます」と伝えてくれました。

人に対して丁寧に向き合うスタンスを大事にしていたので、その言葉を聞いて少しだけ自信を持てました。何よりもその方が「いいインタビューでした」と喜んでいただけたことが嬉しかったのです。

自分のキャリアを語るとき「年間100人にインタビューしました」と伝えることがあります。でも、大切なのは数字ではないのです。何本であろうと、ひとりひとりと真摯に向き合って丁寧に記事を作る。その姿勢は一緒です。それを続けていたら結果的に年間100本くらいインタビューをしていた、というだけ。その実績よりも100人の100個のストーリーに触れられた、それを記事にできたということが、かけがえのない経験だったと言えます。

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「音楽が好きなの? 人が好きなの?」

私が「人」に興味があるとはっきり気付いたのは約9年前。とあるバンドのボーカリストにはじめてインタビューをしたときのことです。その方は人の内面をよく見る方でした。インタビューを受けているのに、インタビュアーである私にたくさんの問いを投げかけるのです。

「他にどんなアーティストの取材をしてる?」「好きなアーティストは? どんな音楽?」「いままでどんな音楽を聞いてきた?」など、逆質問がとめどない。私はひとつひとつにきちんと答えながらも、そろそろインタビューの本筋に戻らなくては……と焦っていたところ、突然こんな質問を投げかけられました。

「鳩田さんは、音楽が好きなんですか? 人が好きなんですか?」

「……え? 両方好きだけど?」と心のなかでつぶやき、キョトンとしました。数秒考えてはっと気付いたんですよね、「あ、私は人が好きなんだ」と。

私はそれまでこの仕事をしている理由を「編集と音楽が好きだから」と答えていました。それは間違っていないけど、本質を捉えていなかったように思います。「音楽も好きだけど、人が好きだからこの仕事を続けている」。そのときの問いではっきり気付くことができたのです。

サウンドテクニックや機材の話については専門的な音楽ライターさんがたくさんいます。サウンド・機材メインの媒体だったらそこを目指していたかもしれませんが、私はなれなかったかもしれません。

その人にどんなストーリーや魅力があり、何を考え、なぜこの音楽を奏でているのかに興味がある。それを紐解いていくことが好き。これまでに何度も自己嫌悪に陥り、インタビュー取材から逃げ出したいときもあったけど、人が好きだから続けてこられたんだ、と認識できたのです。

それからは音楽以外のインタビューにもチャレンジできました。人に興味があればほかのジャンルでもインタビューはできる、記事は作れる。もちろん知識をつけ、その人へのリサーチも深めたうえで、舞台、映画、声優……など徐々にジャンルの幅を広げていくことができました。

目の前のひとりの人と、きちんと向き合いたい

振り返ってみれば、子どもの頃から「人」への関心が強いです。小中学生時代、クラスメイトがグループや派閥で分かれるなか、どのグループの友達とも遊ぶような子どもでした。

小学校のとき、自宅で開催するお誕生日会では誰を呼ぶかに悩みすぎて、結果クラスの女子を全員誘いました(狭い家が大変なことになりました…笑)。いろんな子と遊ぶことで「いい顔してんじゃねえよ」と言われて悩むこともあったけど、何が悪いのかさっぱりわかりませんでした。

いまでも小中学校時代の友達の、誕生日や星座・血液型、クラスは何組だったかをよく覚えています。人に興味がありすぎて、気持ち悪いくらい細かいことを覚えているんですよね。当時からの友達に「すごっ!」って驚かれます(笑)。

社会人になっても、どの部署の人ともわりと仲良くなれるタイプだったかもしれません。小学校のときに「いい顔するな」と言われたこの性質も、悪いことではなかったと思えるようになりました。
そして、人が好きといっても大人数でワイガヤして無理に盛り上げるよりも、目の前のひとりの人ときちんと向き合いたい。学生のときにそのあたりを自己理解してこの仕事を目指したわけではないですが、結果的に自分に合っているなぁと思っています。

私は人が好きな編集者です

私は子どもの頃から「人」に興味関心が強く、他者との関わりや貢献を通して活力を得るタイプです。結果、それが自己成長にもつながっています。

これからも、人や会社・プロダクトなどの魅力やストーリーを丁寧に引き出し、適切に編集・ディレクションして、届くべき人に価値ある情報を届けたい、と思っています。

そして、「あなたにお願いして良かった」と人に喜んでもらえる仕事がしたいです。もちろん数字的な成果にはこだわりますが、大きな数字が動くこと自体ではなく、数字の先の「人」との関わりを大切にしたいです。

「あなたはなぜ編集者をしているのですか?」と聞かれたら、いまはこう答えます。

「人が好きだからです。人への興味関心が強いので、編集という仕事を通して魅力やストーリーを伝えていきたいです」



仕事の経歴やスタンスなど詳しくはこちらのnoteをご覧くださいませ。



メイン写真は、大切な気付きをいただいた9年前頃、故郷でボートを漕いでいる私です(笑)。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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