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「街とその不確かな壁」〜村上春樹

読了後、心が混沌としてなかなかまとまらない。「結局なところ」生きることはカオス。酸素の希薄な薄暗く影さえ消えた世界を彷徨うだけ。輝いていた17歳の夏、きみのふくらはぎに張りついた濡れた草の葉の句読点で終わる。それは遠い過去の記憶の中だけにあり、人はそれを滋養に生きていくのだ。1980年に「文學界」に掲載された「街と、その不確かな壁」。句読点のとれた本作は書き直しただけあり、作家の世界観が時間という観念を濾過して滲み漏れでた傑作。

街とその不確かな壁

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