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刃物専門編集者の憂鬱 その15「え、オレが紹介するんすか!? 東京フォールディングナイフショー2024 編」

こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。
肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいているのですが、ちょっと珍しい「刃物専門編集者」としての日々を、あれこれ書いていこうと思います。

『日本のカスタムナイフ年代記』好評発売中!!

今までホビージャパン刊行の本で掲載してきた記事をベースに、いくつかの新しいインタビューを加えて、大まかな物語になるよう構成した。

作ろうと思った経緯などを書いたコラムも、読んでいただければ幸いである。


世界でも稀有な”折りたたみ”専門のナイフショー

ソムリエナイフは1本あるとおうち時間がすごく楽しくなります。

さて、世界でも珍しいフォールディング(折りたたみ)ナイフに特化したナイフショーといえば、東京フォールディングナイフショーである。

基本的に2月開催で回を重ねてきている。
今年も2月24日に、東京駅すぐそばにある「日本橋プラザビル3F会議室」で開催された。

僕は、前職時代からずーっと本の販売をさせていただいてきている。
ありがたいことである。

今回も出版元ホビージャパンの協力のもと、『日本のカスタムナイフ年代記』をはじめとする本を引っさげて参加させていただいた。

ホビージャパン社の渡辺編集長と、関東にある高校の寮で暮らす当方の倅選手がブースで販売してくれるのに甘えて(ていうか倅にはバイト代を払っている)、僕は、主に会場を回らさせていただいた。

写真を撮らせていただいた方々を撮影順に紹介させてもらいます

X: @tng_knifemake

トップバッターは丹後雄一郎さん。フォールディングメーカーの新星、大注目株。今回も少しずつアレンジを変えたモデルを紹介。

作品ごとにアクションの固さを少しずつ変えているのが心憎い。昨年のJKGナイフコンテスト作品のあたりから、さらに数段上のステージに立ったような感じがした。すごい。


浜田智成さん。フォールディングナイフの大御所である。そして、このショーの運営を後述する米山さんと行っている功労者である。

上はロールアップヒルトのロールアップヒルトを取った、という分かる人には分かるマニアックなフォールダー。下のガーバーのフォールディングスポーツマンのレプリカも格好いい。


X: @matrixaida

ナイフショップのマトリックス・アイダも毎回、参加。メイキング用素材を販売しています。次々にやってくるお客さんに丁寧に商品の解説を行っている合間を縫って、店長の相田東紀さんを撮らせていただきました。


X: @OKJ_knife

アトリエOKJ岡島健二さん。ジュエリーメーカー、ナイフファクトリーを経てナイフメーカーに。今回はエングレイヴ(彫金)作品を展示。

筆者の腕が悪くて、まるで写っていないけど、エングレイヴ、いい感じです。教室に通って学んだというけれど、経験を重ねてよりすごい作品を作り出していく予感。ナイフ作品も期待。


Instagram: takeshi_matsusaki 

松崎 猛さん(左)。多徳ポケットナイフの名手として海外でも高く評価されている作家。隣はナイフコレクターの大村さん。個人的に数十年ぶりの再会。嬉しい!!

レミントン1306をアレンジしたモデル(違っていたらすみません!!)と、スカウトナイフのレプリカ。アーリーアメリカンの雰囲気を出すのがうまいから、あるだけで周りの空気が変わる。


ちょっとインターバル

お昼近くなって、若手作家たちが見学に来場。左から丹後さん、ミズ(X: @Campcutlery )こと水澤祥太さん、ご存じ蜜柑刃®️(X: @EM1Tvil9o3u8zFK )こと鈴木北斗さん、そして後述する伊藤飛翔さん。
川村龍市さん(左)も来場。ヒップホップカルチャーについて語っています。


ベテランから若手まで勢ぞろいで続きます!!

HP: Knife House Hara

今年は、原 幸治さんも参加!! 刃物の街・岐阜県関市のファクトリーで技術を磨いて独立、世界的なナイフ作家として活躍するパイオニア。

煌びやかさとカジュアルさが共存した独特の作風。ベテランの域に達しても新しいデザインや素材にも挑戦し続ける姿勢は、すべての作家のお手本かもしれない。


X: @KnivesToru

山本 徹さん。会社員時代からナイフメイキングを続けてきた作家。その歩みは本業を持ってメイキングを行う人たちの参考になると思う。

アーリーアメリカンの雰囲気をベースにたたえつつ、独自の世界観を入れた唯一無二のPURPLE VALLEYシリーズ。3ブレードストックマン、格好いい。みているだけで物語が浮かんでくる。


X: @wanghan2143

王涵(Wang Han)さん。京都ナイフショーでの切り出しから、がらりとラインナップを変えてクラシカルなフォールダーを展示。

熊の皮!! プロダクトデザイナーでもある王さん。手がける作品も革製のバッグに銀製のカップ、香炉から刃物と実に多岐にわたる。その素材選びにもセンスを感じさせる。


X: @tsubasa_mps

伊藤飛翔さん(右)。クリスタルパレスでナイフファンの注目をかっさらった新進のナイフ作家。日本を代表するナイフ作家、古川四郎さんと。

ジェス・ホーンの作品を連想させるモデルと、シェフィールドや初期レミントンを連想させる美しいペンナイフ。ペンナイフのブレードとハンドルのバランスが絶妙。完成が楽しみ。
ジョセフロジャースのクリスタルパレスのレプリカを見にくる人が終日後を絶たなかった。


X: @ButtiKnives

大渕 勲さん。シェフィールドスタイルの多徳ナイフで一世を風靡した九州のナイフ作家集団のひとり。ミニチュアも手がけて、世界的に高い評価を得る。

米アトランタブレードショー2019でベストミニチュア賞を獲得した実力派が作るシェフィールドスタイルの小型スポーツマン。持っているだけでいいことが起こりそうなマスターピース。


どなたのテーブルも魅力的で時間がどんどん過ぎていきます

二部幸夫さん。日本刀の残欠を使ったモデルなどで知られる腕利きのナイフ作家。
手にしているのは、フリクションフォールダー。ブレードを開いた時は、背の出っ張り部分を親指の腹などで抑えることでロック代わりになる。シンプルだけど安全度の高い機構。


X: @sute_kin

伊藤 亮さん。イタリアンスティレットと呼ばれる、南欧独特の細身のシルエットのフォールダーを得意とするナイフ作家

スティレット以外の作品も手がける。刃物の持つ危険な香りをどこかに漂わせつつ、それだけにとどまらないアーティスティックな空気をまとわせる。そのセンスに感嘆させられる。


米山勝利さん。前述の浜田さんとショーの運営を行ってきている功労者。手元に置いておけるコンパクトさとデザインの穏やかさ、そして精緻なナイフは、このショーの象徴的存在。(ごめんなさい!! 作品を撮り忘れてしまいました、、、)


X: @kFG5MfQpjdQwuXC

堀居賢司さん。漆芸家としても活躍。京都ナイフショーの主催としての顔も。そしてナイフも毎回新しいアイデアを組み込んだ注目作を展示する。そのバイタリティーに感服。(ごめんなさい!! 作品を撮り忘れてしまいました、、、)


X: @kFG5MfQpjdQwuXC

藤田貴大さん。趣味でナイフメイキングを、と言いながら趣味のレベルを軽く超えたフォールダーを展示。ジュエリーアーティストとのしての作品も素晴らしい!!

小型のスリップジョイントとフリクションフォールダー。スリップジョイントはどこか東京ナイフを彷彿させる。ケースにつけたアクセサリーも秀逸だ。


戸崎 茂さんと裕子さん。茂さんは米ブレードショーでのミニチュアナイフ賞3連覇など輝かしい実績を誇る。そのサポートを続けてきた裕子さん。素敵なご夫妻。

けれん味のないシルエットに質のいいジグドボーン。過剰な装飾は施さずとも十分に贅沢かつ手元に置いておきたくなる親しみやすさが共存。ナイフ作家・戸崎 茂はまだまだ健在である。


富士川 俊さんが戸崎さん夫妻の間から笑顔をのぞかせる。富士川さんは関西在住のベテランナイフ作家。その作品は、時代を超えて高く評価されてきている。

丸いボルスターが特徴のラウンドケーパー2種。下はウォーラスアイボリーをハンドル材に使用。曲線を多用しながら刃物としてのソリッドなイメージもある。デザインの妙に感嘆。


いろんな人と話せる最高のショーだと思います

抽選会の模様。結構な数の賞品が集まった。中には出展していない方からの提供もあったそう。なんていうか、愛されているショーなんだな、と感じた次第。

回りきれずに、ご紹介できなかった方も含めて、どなたも素晴らしい作品ばかりで、充実度の高いショーだった。
会場の変更などもあったが、ロケーションも会場の雰囲気も良かった。
実行委員会の皆様の尽力に、感謝である。

それにしても、いろんな方と話せて、めちゃくちゃ楽しかったけど、終わり頃はマジで立っているのがつらくなるくらい疲れた。

このショーは、作家と来場者の距離がひときわ近いところが大きな特徴だと思う。
好きなナイフがあれば、手にとって、話をして、そこに他の人が加わって…。
サロン的な穏やかで楽しい雰囲気があり、そこが多くのナイフファンに支持されているのだろう。

来年もこの時期に開催されるらしい。
興味のある方は、ぜひ、参加を検討していただきたい。

昼ごはん抜きだったのでめっちゃ美味しかったです

いつか『味噌煮込みうどん読本』って本を出版したいと思っています。

終わって、渡辺編集長と別れて、一日売り子係をしてくれた倅選手と晩御飯を食べることにした。

「オレ疲れたちゃったからさ、八重洲口の地下食堂街でいい?」
「全然構わない」
「どこでもえーよ。寿司とかさ、日本蕎麦とかさ(自分が食べたいものをそれとなく示唆)」
「うんいいかもー(生返事)。で、ここ、どうかな」
「お、おう」

ということで食べてきました味噌煮込みうどん。
美味しかった。美味しかったよ。
けどさ、倅よ、ワイ、今、名古屋住みやで。。。

名古屋・柳橋の「鳥鍵」の”みそすき”。めっちゃ旨いっす。


明日役立つ(かもしれない)豆知識

川村龍市さんは、若かりしころRUN DMCを愛聴していたそうです。

懐かしい。。紐なしアディダス憧れたわー。


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