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2021/08/06 「普通になりたい」18歳女子高生

悩み相談が好きだ。小学校4年生から読み始めた読売新聞「人生案内」を手始めに、文化放送の「テレフォン人生相談」などもよく聴いている。最近、知ったのがTBSラジオ「ジェーン・スー 生活は躍る」で、正午から放送されている「相談は躍る」コーナー。

その中で、昔の私のことかと思う相談があった。高校3年生18歳女子からの投稿で、「他人から変わっていると言われる性格を変えたい。普通になりたい」。思ったことをすぐ言ってしまう、空気が読めない、いじめられている訳ではないけれど、どうしても集団から浮いてしまう、なぜか悪目立ちをしてしまう…。他人からは「面白い」と言われることもあるけれど、彼女は性格を直そうと生真面目に努力を重ねてきたという。それでも直せないので、どうすればいいのかという悩みだった。

「まともじゃない」「本当に変わっているよねえ」「普通の女の子になりなさい」と、友人や親、先生からさんざん言われ、どうやったら「普通」になれるのだろうかと10代の頃、気に病んだ。その一方、ノートの表紙に科目別のイラストを勝手に描いていたら、「そういうのできて、うらやましい」と声を掛けられて、びっくりしたこともあった。

同調圧力の強い日本の学校社会。平均的「普通」の人が良しとされ、個性の強い人はつまはじきにされる。変わっている私を両親が心配して、矯正しようとした気持ちも、今なら少し分かる。私の場合は、「面白いがや」と言って肯定してくれた母方の祖父の存在が大きかった。生きづらさが緩んだのは、社会に出てからだったなあ。…ラジオを聞きながら、10代の遠い日々を思い返していた。

授業中に歌い出してしまう子どもだったジェーン・スーの回答が振るっていた。「小さな箱に自分を押し込めなくてもいい。もっと自分に自信を持って。個性が将来、武器になる」「性格を変えるのは無理。必要なのは調節能力。人間は失敗することからしか学べない。20代までは手痛い失敗をたくさんして、調節できるようになって」

10代のころにこのアドバイスを聞きたかった。でも、自分なりにいっぱいトライして、いっぱい失敗して、いっぱい傷ついて得た「答え」も、ほぼ同じだったけれど。「ヘンでもいいじゃん」と、「普通」への矯正から解放してくれた一つが演劇。ミドルになった今でも、「普通になりたい」願望が頭をかすめることはある。だから、定期的に劇場の空気を吸っては、生きるパワーをチャージしている。


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