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2021/05/26 スーパームーンの皆既月食

スーパームーンの皆既月食を自宅から撮影した。とはいっても、仕事から帰宅後だったので、地球の影からほほ出てきたところの満月。右上がわずかに欠けているのが辛うじて分かる。

都内の会社を出た時も空を見上げたが、雲に隠れていて月がまだ出ていなかった。「雲隠(くもがくれ)」といえば、源氏物語である。光源氏の最期が描かれているとされる巻だが、内容は伝わっていない。誰も読んだことがない幻の巻。

元々、巻の名前しかなかったという説と、後世の人がつけた巻名だという説など 

いろいろ言われている。私は後者だと思う。「雲隠」というのは、何とも言い得て妙の命名だと感心する。

ネオンや街灯がなかった平安時代、月は唯一の光源だった。その月が隠れる月食は、どれだけ多くの人たちの不安を与えたのだろう。

「月食」でもう一つ、思い出した。1994年に上演された舞台「サイケ歌舞伎・月食」。原作・脚本が橋本治、演出が宮本亜門だった。古代インドを舞台に、ブッダに従い、悟りを開こうとする若き男ふたりの物語。金ピカの舞台、蓮の花、陰と陽…。華やかな布地の切れ端が舞うような、めくるめく色彩が乱反射するイメージが焼きついている。内容はあまり覚えていないけれど。

なぜ、あの絢爛豪華な舞台に、「月食」というタイトルを付けたのか。太陽と月。喰う/喰われる関係性の中で、月だけが最後、輝きを取り戻す。もしくは、月が自分自身を喰い、消えた後に遺された作品の余光か。皆既月食を見ながら、書き下ろしされた戯曲を今度、読んでみようと思った。

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