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ドラマ『それでも、生きてゆく』

時折このDVDを引っ張り出して、ただ流している。

ドラマは、小学生の妹を友達に殺された兄に、その犯人を兄に持つ妹が会いにいくところから始まる。
事件から10年以上経った後の物語だ。

少年犯罪、少女殺害、被害者家族、加害者家族。
言ってしまえば救いようのない話。

決してなかったことにはできない、
必ず人生に影響をもたらすこと。

物語のはじめには、被害者家族の両親は離婚している。胃がんを患う父は、死んだ娘に会えるからと積極的な治療をせず少年Aを殺そうとしにいく。
加害者家族は暮らす先での誹謗中傷で、仕事を辞めたり妹は振られたり。そういったものを受け入れながら生活している。

一つの事件の後の救いようのない日々。そこから、この物語ははじまる。

世の中には救いようのなさに、魔法をかけ希望を見せるドラマもある。
夢を見せてくれる物語。視聴した間、一時的に救って見せてくれるもの。

そういうものがある中で、
救いようのなさをただ正直に見つめたそういうドラマが、この『それでも、生きてゆく』だと思う。

事件の良し悪し、真相や理由というところに重きを置いているドラマではなく、その後を生きる人たちの話。
物語は中盤、さらに救いようのなさが重なりながらも話が進んでいき、見ている側に御都合主義でも幸せになってほしい気持ちで彼らに救われてほしいと思うような気持ちを抱かせるだけ抱かせて、感性を揺す振るだけ揺す振り、全12話でドラマとして終わりを迎える。

そしてそれでも最後には、救いがないわけではないというのを、ちゃんと描いてくれている。


心を揺らされながら、ドラマを見終わった後に、
ドラマの、雨上がりの背景に光がさすのと同じくして
見たものの気持ちにも何か芽吹きのように残るものがある。

そういうものを感じたくて
時折、DVDを流すのだ。

救いようのなさを心の中に持っている人は少なくはないだろう。
そういう人も、そして私も。


いつか先に進めますように。

いつも あなたを思っています。
私が 誰かと つないだ手のその先で
誰かが あなたの手をつなぎますように。
つないだ手に込めた思いが届きますように。

悲しみの向こう側へ

悲しみの向こう側へ

進め

進め

進め


(最終話より)


果ノ子
(このドラマの大竹しのぶさんの演技にとにかく圧倒された。女優さんすごい。)(語れないきょうだいという点では、少年Aの妹の双葉にすごく感情移入する。)(語りきれないドラマだけど、うまく語れない。私にとって大切な映像作品)


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