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ー 詩 ー 『宇宙の夢』


それはおそらく

愚かな羽虫の翅が
ブッとひと震えしたほどの

あるいは、風に乗って一瞬耳をかすめた
少女のハミングのように

ほんの微かなものだったにちがいない。


だがそのわずかな震えは
永遠と思われた完璧な均衡を
決定的に破壊してしまった。



あり得ないと思われた
その裂け目から

濁流のごとく
ほとばしり出た喜びは

うねり、逆巻き、駆け上り
恍惚をもって委ねられた。

それはすべての合図だった。



「時」は生まれ落ちたその瞬間
我が身の強大な力に酔いしれただろう。

彼とともに
細胞は音もなく分裂し
果てなき増殖を開始した

こうして彼は
すべての目撃者となった。



宇宙の甘美な夢
夢見る私たちの始まり




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