時間も命も有限ではない:2歳の娘と突発性再生不良性貧血ドタバタ記⑥

【2歳の娘と突発性再生不良性貧血ドタバタ記】は、
・その当時の状況や私の感情が、3年経った今なんとなく風化してしまうようで嫌だったので、どこかに残しておきたい。
・小児の再生不良性貧血に罹患しておられる方(疑いのある方)の気持ちに少しでも寄り添えるといいな。
という想いで綴ります

過去記事では、
・造血不全の原因がわからず、骨髄検査(マルク)とHLA検査を行いました。
・結果、再生不良性貧血のステージ2~3という病名がはっきりしました。
・シクロスポリンを使った治療がスタート!
というところまで。

①~⑤はこちらからどうぞ ↓

【再生不良性貧血とは?】
骨髄で血液細胞が十分に造られず、赤血球・白血球・血小板が減少する汎血球減少となる病気。日本の小児の年間発症数は 70~100人と希少な疾患です。
病気の原因によって先天性(ファンコニー貧血や先天性角化不全症など)と、後天性(特発性再生不良性貧血など)に分けられます。
特発性の原因は解明されていませんが、自己のリンパ球が造血を抑制しているのではないかとされています。


【不安定なはたらく細胞】

ゆうなにゅういん

上記は12月中の、娘の血液検査結果表です。

だいたい3日に1回のペースで、午前中の血液を採取。

写真ではちょっと見づらい部分もありますが、黄色でマーカーした箇所
4項目。上から
「シクロスポリン」=免疫抑制剤の血中濃度
「WBC」=白血球数
「Hgb」=ヘモグロビン
「PLT」=血小板数

の数値の変化を主におっています。

(そこにプラスして、
「MCV」=平均赤血球容積、「MCH」=平均赤血球ヘモグロビン量、「MCHC」=平均赤血球ヘモグロビン濃度
「顆粒球数(かりゅうきゅうすう)」=好中球,好酸球,好塩基球の3種
「網状総数(もうじょうそうすう)」=成熟した赤血球の一段階前の未熟な状態のもの
「クレアチニン」=老廃物
などもみていきますが、…この時点で読んでおられる方から、専門的過ぎてわけわからん!すでにお腹いっぱい!という当時の私のような声が聞こえてきそうなので、4項目だけみていきます。)

※【はたらく細胞】
余談ですが、各血球や細胞のことを知りたい方は、「はたらく細胞」が難しくなくサクサク読める入門書になると思いますので、オススメです。
私は当時この漫画を知らなかったのですが、数か月後に友人から教えてもらってアニメを見て、各細胞の働きっぷりを知ってから医師の説明を聞いたら、なんとなくでも話しについていけるようになりましたし、より突っ込んでこちらから質問をすることもできるようになりました。
身体の仕組みを知らないで数値だけ見ても、「はあ…そうなんですか?」って言うのが精いっぱい…。わからないことが全くわからない状態。

さて血液検査結果表に戻りますが、シクロスポリンを除き「WBC」=白血球数、「Hgb」=ヘモグロビン、「PLT」=血小板数の3種の結果は、輸血した翌日から上がり、10日ほどでどんどん下がっていく…という状況です。

12/6に血小板の輸血をすると、15.7万まで数値が上がりますが、
12/21までに、8.4…5.1…3.6…1.8…とどんどん下がっていきます。

白血球数、ヘモグロビン値も同じくです。

3日に1回、不安定なはたらく細胞たちを数値でみるたびに、
「娘の身体はいったいどうなっているのか?もう保育園のお友達と走り回る、そんな日常に戻ることができないのだろうか?」と、不安な気持ちでいっぱいになりました。


【外泊許可】

12月26日
医師から突然、「この数値であれば、年末年始ご家族と過ごしていただいて大丈夫ですよ。感染予防だけはしっかりとお願いします。」
と、伝えられました。

この分だと正月もなにもないだろうな…、と思っていた私たち家族は思いがけない外泊許可に大喜びでした。
と同時に、(病院という看護体制が整っている状況から外の世界に出して大丈夫なんだろうか…。もし、インフルエンザとかにかかってしまったら…。)という不安も頭をよぎりました。

シクロスポリンは免疫を抑制する薬です。そのため細菌や強力なウイルスに抵抗するための力がでません。

そのため、シクロスポリンを服用してからは、”バクタ”という抗生剤も同時に飲んでいます。
抗生剤を飲んでいれば、侵入してきたウイルスや細菌を殺してくれます。
とりあえずまあ安心材料…。

外泊中の注意点は3つ
・シクロスポリン、バクタ。2つの薬を欠かさず定時に飲むこと。
・うがい、手洗い、マスクをすること。
・家族に風邪をひいている人がいたら、接触させないこと
(同じ屋根の下にいるんだから、非接触無理じゃね?と思いましたが…)

上記を守らなくては!と意気込んで、外泊許可証にサインを書いて、シクロスポリンの飲ませ方を看護師さんから学んで。いざ12月28日!


【外泊中】

久しぶりの我が家。
娘はハイテンションでした。

ゆうな外泊12月

家族で
一緒に遊べる、一緒にご飯を食べられる、一緒にお風呂に入れる、一緒に眠れる。
”日常の当たり前”を実感できました。

それと同時に、今まで疑心暗鬼になって散々悪く見ていた病院の看護師さん…、このエネルギーの塊のような娘を看護してくれたことに感謝を覚えました。

もともと、明るい性格で太陽のように我が家を照らしてくれる、存在感ありありな2歳児。
お風呂から出ればスッポンポンでリビングをかけずり回り…。
オモチャはとっちらかし…。
パジャマを着せよう、ご飯を食べさせよう、寝かせようとすると伝家の宝刀「ヤダ!!」を抜き…。

……”日常の当たり前”を実感できました。

さて話は変わり、シクロスポリン。
トロッとした液体のため、注射器のスポイトを使って吸い上げて計ります。
朝0.4㎖、夕0.4㎖で処方され、小さな茶色い小瓶に入っています。

今まで、こどもに処方されたものでこのような形態があったでしょうか?
初めて自分が飲ませるとなると、ちょっとドキドキしたのを今でも覚えています。

注射器に書かれたメモリが(たしか)MAX5㎖でした。なので、その間の小さなメモリで0.4㎖……。
(あ!0.02㎖くらい多く入っちゃった!)微調整が難しい
それに加えて、注射器に入れた液体は少し曲がって見えるため、慣れるまで数日かかりました。

初めてチャレンジされる方、正確に測らねば!!と気張って何回も測りなおす必要はありません
後日、医者に”計測が難しかった”という旨を話したところ、「0.01㎖の誤差なら気にしないでください。液体は曲がって見えますが、水平になっている部分に合わせて。」と言われました。


【お兄ちゃんとバイバイできない!】

12月28日~1月2日まで、自宅で過ごすことができた娘。

予想はしていましたが、やはり病院に戻るときは「ヤダー!!バイバイ、ヤダー!!」と大泣きでした。

大好きなお兄ちゃんは小児科病棟の玄関までです(感染予防のため病棟内には両親しか入れません)。
玄関の自動ドアが閉まり、廊下で泣き崩れる娘。

あと何回、悲しい思いをしなくちゃいけないのか…。
外泊は嬉しいけど、このお別れのシーンを思うとやるせない気持ちになります。


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