時間も命も有限ではない:2歳の娘と突発性再生不良性貧血ドタバタ記④

【2歳の娘と突発性再生不良性貧血ドタバタ記】は、
・その当時の状況や私の感情が、3年経った今なんとなく風化してしまうようで嫌だったので、どこかに残しておきたい。
・小児の再生不良性貧血に罹患しておられる方(疑いのある方)の気持ちに少しでも寄り添えるといいな。
という想いで綴ります

娘の熱が長引いたことから病院でたまたま受けた血液検査で、
あら不思議!Σ(゚Д゚)! ”汎血球減少”がみられ、紹介された病院に入院し、ともかくも早急に輸血。
造血不全の原因がわからず、骨髄検査(マルク)とHLA検査を行い、結果待ち…。
というところまで。

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【再生不良性貧血とは?】
骨髄で血液細胞が十分に造られず、赤血球・白血球・血小板が減少する汎血球減少となる病気。日本の小児の年間発症数は 70~100人と希少な疾患です。
病気の原因によって先天性(ファンコニー貧血や先天性角化不全症など)と、後天性(特発性再生不良性貧血など)に分けられます。
特発性の原因は解明されていないが、自己のリンパ球が造血を抑制しているのではないかとされています。


注射怖い!!

12月12日
数日前に一度は病院に行った6歳の息子でしたが、
「注射怖い!!ヤダー!(´;ω;`)」と処置室に入ることができず…。

「妹の身体を治すために、HLA検査(遺伝子型を調べる)を家族全員しなければならない。だから、血液検査をするんだよ。」
という旨を伝えてはいましたが、恐怖が勝っていた息子。

夫「家族みんなで乗り越えていこうね…。」と涙を流して説得。

(お父さんが涙するくらいだから、とても大事なことなんだ…)と
ことの重要性を察した息子は、12日に血液採取することができました。


※この頃の娘

・RSウイルスの治療のため抗生剤を点滴していたので、熱は下がり、食欲と元気も出てきました。1週間くらいで抗生剤の点滴と酸素を測るモニターも外されたので、キャッキャとベッドで飛び跳ね、暇を持て余していました。ガラス張りの隔離室からも出され、一般病室に移動になりました。
・6日に血小板輸血をしていたため、血小板数値は15.7まで上がっていました。ところが、その後は10日くらいかけて次第に下がり始め、数値は元の1.8まで下がってしまいました…。

※この頃の私

・仕事は全て14時まで勤務に調整。
私の中でまだ再生不良性貧血に対する知識がなかったことと、治療の日数が明確ではなかったことから、説明にならない説明をしていましたが💦スタッフの皆さん、上司が温かく
「大変なことになったね。とにかくお子さん一番に考えて。」と理解をいただいていました。
・息子は保育園に通っていたので、14時過ぎにお迎え後はすぐに友人宅に預けるか、夫の職場に預ける。もしくは、保育園のお迎えを友人にお願いしました。
私の気持ちを聞いてくれ、温かい言葉と、温かい夕食を用意して待っていてくれた友人には感謝しかありません。
慢性的な寝不足、不安感、あっちこっちに頭を下げてまわる日々…。私が精神的に参らなかったのは友人のおかげです。

・娘の通う保育園にも事情を説明。とりあえずお休み扱いにしてもらいました。


骨髄検査とHLA検査の結果

12月21日
全ての検査結果が出そろい、医師からの説明。
夫と息子も同席。

再生不良性貧血のステージ2~3(ステージ5が最重度)であること。
②染色体に異常は見られなかったこと。
③造血細胞がゼロではなかったこと。

私 (入院から17日…、やっと病名がハッキリした!)
という嬉しい気持ちになったのを覚えています。

染色体異常はありません

HLA遺伝子型報告書

上記の写真は、実際の検査結果です。
遺伝子の個人情報なんでちょっと加工しましたが、数万通りともいわれるハプロタイプ(父母それぞれから受け継いだ遺伝子座の一対00:00)の組み合わせの中で、医師から「6個組み合わせが合えば骨髄移植が可能」と言われました。

患者本人=娘
例えば、一番左側の【HLAーA型】【02:01】娘と母が合致しています。
それを6個探せばよいのです。
(遺伝子型の報告書って初めて見たので、(不謹慎ですが)組み合わせを探すのはちょっと楽しかった♪)

しかし残念ながら、娘に合う遺伝子は3人の中にありませんでした…。
HLA一致血縁者(両親・兄弟)の間で移植するほうが、拒絶反応や再発の可能性が格段に下がるので本当は3人の中で見つかるのが望ましかったのです。

なので、骨髄バンクに登録し適合者(ドナー)をみつけてからでないと、移植ができません。


聞いたことない薬名がでてきたぞ

HLA検査では家族に適合者がいなかったこともあり、骨髄移植が第一選択とならず。

じゃあどうやってここから、骨髄不全(再生不良性貧血などの病気のようす。骨髄中の造血幹細胞の数が減ったり、性質がおかしくなった結果、血液細胞が十分につくられなくなる状態)を治していくのか?
今日も2度目の血小板輸血と、赤血球の輸血もしました。
輸血をいつまでも続けていくのでしょうか?

医師より、今後の治療内容は

シクロスポリン(免疫抑制剤)を1~3か月投与
②ATG+シクロスポリンを3か月投与
③適合者(ドナー)を探しつつ、骨髄移植
「血液検査を週2回行い、シクロスポリンの効き目をみながら①~③の段階で進めていきたい。
血球数が足りなくなれば適宜輸血して支持療法を行っていきます。」

私 (え~と……、シクロスポリン?ATG???)ってなりました。
そりゃあそうですよねー。
「ああ、リンパ球の働きを抑制する免疫抑制剤のことよね。」と頭に浮かぶ一般人はあまりいないと思います。

【免疫抑制療法】
ふだん、自分の身体の中でウイルス等と戦ってくれているリンパ球
なぜかシステムエラーを起こし自分の血液細胞を殺しちゃってるようなのです。
じゃあ、リンパ球の動きを抑えちゃえばいいんじゃない?
ということで、シクロスポリンとATG(抗胸線細胞グロブリン)という、免疫抑制剤を使います。ただし、50%~70%の確率で造血が回復するのですが、そのうち10%~30%の人が再発します。さらに10%の確率で急性白血病等に移行します。
発症から治療開始までの期間が短ければ短いほど治療効果が高い。
シクロスポリンの副作用として、「肝不全・腎障害(腎機能障害)・感染症(風邪などが酷くなる)・悪心・嘔吐・腹痛・下痢・発疹・多毛、脱毛・振戦・めまい・代謝異常などなど」


……と、いうことなのですが、
上記のような説明をうけても、その当時の私はチンプンカンプン。
(わかるわけないだろー!!((+_+))
(そんなわけわからん薬を、副作用の強い薬を、娘の体内に入れるの?💦)

わからないことへの拒絶反応がでてしまい、「その薬を使わないといけないんですか?薬を使って副作用が出たらどうなるんですか?テストステロン値が上がって多毛になるって…女の子なんですよ?どれくらいの期間その薬を飲んでいかないといけないんですか?その薬を使わなくなったら退院できるんですか?飲み始めてからどれくらいで効き始めるんですか?」
といろんな質問をしていました。
母として必死だったのです。

医師からはいろいろと回答をいただきましたが、
「とにかくやってみないとわからない。
現段階でできることは、シクロスポリンを使ってみて反応をみるしかない。明日からすぐに投与を始めたい。」

後になってみると、結果的にこの薬が効いて”よかったね”となるのですが、
夫婦で心中複雑なまま「わかりました。…お願いします。」
と言うしかありませんでした。






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