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吹奏楽部とADHD

私が吹奏楽部に入ったのは、中学1年生の春だった。ADHDな人たちの例に漏れず人間関係の構築に難ありだった私は、「ピアノを習ってたから楽譜は読める」「音楽が好きだから」というフワッとした気持ちで音楽室の扉を叩き、その後しっかり苦労することになる。

大変だったこと
吹奏楽部は女の園だ。私が所属していた部も例外ではなく、50人強の部員の中で男子生徒は一人しかいなかった。小学校の時は男子に混じってゲームばかりしていた私は(ポケモンさえ知っていればヒーローになれる、みたいな男子のあっさりした関係性が心地よかった)、まずは女性ばかりの集団に慣れる必要があった。

先輩後輩の上下関係、特に「一年生は先に来て、練習室の机を並べておくべき」みたいな、フワッとした不文律にも地味に苦しんだ。作業自体が嫌というよりは、曖昧な要求をしておいて、それが満たされないと勝手に怒り出す先輩たちの行動が腑に落ちなかった。あらゆる部活動において、雑用仕事が発生すること自体は理解していたので、ADHDっぽい自分は「ルールとして知らせてくれれば、真面目に実行するのに…」という気持ちでいっぱいだった。

私が所属していた吹奏楽部は朝練や土曜練が通年で行われていたので、体力的にはややきつかった。コンクールで良い結果を出すためには更に厳しい練習が必要だったが(隣の区の学校は練習ヤバいらしい、みたいな噂が回ってくる)、高校受験への影響を心配する保護者への配慮から我が校はコンクールを極めることもできず、今思い返すと非常に中途半端な厳しさだった。

良かったこと
ネガティブな書き出しをしてしまったが、もちろん部活動で得るものも非常に大きかった。メンバー全員での合奏がうまくいったときの達成感は、一人でピアノの発表会のステージに立っていた頃には絶対に得られない。演奏している部員の顔を知っているからこそ、メロディーパートの奏者の息遣いから表情さえ思い浮かぶ。メンバーの成長や成功を一緒に喜ぶことができる。

毎日顔を合わせるクラスとは違うコミュニティに所属できたのも、良い経験になったと思う。クラスに一人二人の仲良しがいれば十分、と思っていた私に集団行動のイロハを叩き込んでくれたのは間違いなく吹奏楽部である(楽器ごとの練習、部全体の合奏、定期演奏会のパンフレット作成、コンクール会場への楽器運搬など、どれも微妙にタイプの異なる共同作業だ)。

しかし何より、ADHDっぽい視点からすると、(吹奏楽部に限らずだが)部活に所属するメリットは「学生なので、失敗が許される環境で集団行動を学べる」「自信につながるスキルが得られる」「活動やメンバーが自分に合わなくても、最悪、辞めることで強制終了できる」点かなと思う。

まとめると、「大変なことも多かったけど、得られる経験の方が大きかった」というのが感想である。誰かの何かの参考になったら嬉しい。

#部活の思い出 #吹奏楽部 #ADHDあるある #ADHD

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