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どうしてもカニ玉が食べたい話

その衝動は、いつも突然やってくる。

カニ玉。カニ玉が食べたい。私はカニ玉の素を片手に握りしめて、今晩は絶対にカニ玉を食べなければならない、と謎の決意を新たにした。

スーパーでカニ玉の素を何となく買ったのは結構前で、家の食材入れに放り込んでしばらくは存在を完全に忘れてさえいたが、断捨離をきっかけに「再発見」してからは、「部屋のものを少しでも減らすために、私はカニ玉を作って食べなければならない」という強迫観念に襲われていた。

確か家に三つくらいあったはずだ、と冷蔵庫の扉を開けると、なんとそこには白い卵が二つしかない。慌ててカニ玉の素のパッケージを見直すと、そこには「卵: 三個」の文字がどっしりと鎮座している。

ここで普通の人ならば、「卵が二個でもカニ玉は作れる。カニ玉の素の量を少し減らせばよい」とか、そもそも「もう夜も遅いから、諦めて料理は明日にしよう」とか思うはずだ。だけど私は、そうはならない。できないのだ。

私は妊娠したことがないが、つわりってこんな感じなんだろうか。……と書くと、「一緒にするな」というお叱りが飛んできそうだが、いわゆる私のような「こだわりさん」のこだわりも負けず劣らずではないか、と思ってしまう。

これは以前、0時過ぎに完成したロールキャベツ。

ロールキャベツは美味しかったし、さっき完成したカニ玉も上出来だった(この記事のカバー写真は、あんをかける前のカニ玉だ。半熟風にしてみた)。現在一人暮らしで適度な時間と自由とお金を手に入れている私は、きっとこれからも衝動の赴くまま真夜中に料理を作り続けるのだろう。

この衝動がギャンブルとか飲酒のような変な方向へ向かわないことを祈りつつ、今日のところは箸を置くことにしたい。ごちそうさまでした。


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