見出し画像

"correspondent"は『特派員』か!?

以前も気になるところがあったNHKの番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」

以前も「陸軍は『基地』とは言わないはずですが…」というnoteをアップしました。
先日の放送では、キューバへのミサイル配備をめぐって米ソが対立した1962年の「キューバ危機」を取り上げていました。
いつもながら、番組自体はとても興味深く見たんですが、やはり気になる点がありました。

キューバ危機に際して、米ソの仲立ちをしたABC放送のジョン・スカリ記者

番組の字幕では「海外特派員」となっていますが、ABCテレビの英語音声は "Diplomatic correspondent"でした。
英語版WikipediaのJohn Scaliに関するページを見てみると"From 1961 he was also a long time correspondent for ABC News."となっています。
(Scali 氏はその後、ニクソン政権でホワイトハウス入りし、国連大使なども務めています。)

この"correspondent"をなんと訳したらいいでしょうか?

日本では、新聞や放送の海外駐在記者を「特派員」と称するのが普通です。
「特別に派遣した人員」という意味合いですね。
略さずに言うと「海外特派員」だと思いますが、まれに国内でも「特派員」という呼称を使っているメディアもあります。
(多くは、本社所在地から離れた場所に駐在する記者を指しているようです。)

一方、英語の"correspondent"には「派遣」「駐在」というニュアンスはなく、「専門記者」といった意味で使われることが多いようです。
Scali 記者はワシントンで取材に当たっていたということですので、"Diplomatic correspondent" は「外交担当記者」「外交専門記者」などと訳すのが適当かと思います。

「映像の世紀 バタフライエフェクト」制作スタッフには、こうした英語や海外取材に詳しい人がいないんでしょうね。

前回も書きましたが、個人的なウェブサイトなどであれば、目くじらを立てるようなことではないと思います。
でも、「映像の世紀 バタフライエフェクト」はNHKの看板番組の一つだと思うので、こうした細かい点にも神経を使ってほしいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?