成長と卒業
昨日の外来では3名もの卒業生が出ました。滅多にないことです。
1.15歳男児
初診時8歳。何度も再発して、ようやくおねしょがなくなりました。毎年秋、冬になると、増悪を繰り返してきました。もうおむつは外しています。薬もやめました。尿意に気づいて覚醒して排尿に行けないので、不安は残りますが、外来はいったん終わりにしましょうということになりました。おしっこが溜まってきたことが分からないで寝ているので、漏らしやすいのです。児には、恥ずかしいという気持ちも芽生え、反抗的になっているようです。もう、ここには戻ってこないことを祈りながら、お別れのあいさつをしました。
2.9歳女児
今年3月初診です。生活習慣を整えたり、薬を飲んだり、アラームしたり、すべてしました。でも、本人にやる気がないのです。おねしょしても、悔しいと思わないとのことです。
「お母さんがいくらお膳立てをしても、本人に努力する気がなければ、継続が難しいですね。いつか治りますから、自立を待ちましょう。」
外来を一旦終了しました。またここに戻ってくる時が来るでしょう。
3.13歳男児
初診時11歳。薬、アラーム療法、両方してから改善しました。しかし、食べすぎ、飲みすぎてはおねしょを繰り返していました。不安を感じながら、今年4月から寮に入りました。すると、徐々にセルフコントロールがうまくなっていきました。
10月になり、「もう、(外来に)行かなくていいと思う。」と本人が言い出しましたので、外来を終了することにしました。
親と離れて一人ですることで自立が促されました。
子ども達はいつしか、自分でやらなきゃいけないことに思い至ります。見守ることはとてもじれったく、イライラさせられることだけど、そこに至った我が子をみるのはとても嬉しく、誇らしい気持ちになることでしょう。
子育てで、実は親も育てられているのを感じます。
おねしょの外来は、皆さんの数々の成長物語を聞かせていただける貴重な場面です。本では、皆さんがどのように、外来を巣立っていったか、紹介させていただいております。できる限り早く、忌まわしいおねしょから脱却できるよう、お手伝いできたらという思いで書きました。
一方、それとは別に、いつかは自分たちにも脱却できる時が来るのかと、予め知ることで、ご家族が安心して 待てる ようになっていただくことは、本を出版したもう一つの狙いでもあるのです。今、他に優先順位の高いことがあれば、一旦手放してそちらを優先してほしいと思うのです。
子ども達には今が一番大切だからです。
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