見出し画像

ハプニングは大歓迎?!

こんにちは。昨日の続きです。


そうだったのか

午前0時を回っていました。
その人が言います。
「僕のベッドを使っていいよ」
ベッドは奥の部屋にあるようです。
「え、僕はここでいいです。」
「まぁ,そう言わないで。疲れてるでしょ。ベッド使って。」

もうここまできたら、何を言われても甘えるのみです。

「じゃぁ、すみません。おやすみなさい。」

そう言って、ベッドにもぐりこみました。
窓の外は街灯の光で黄色になっていました。


疲れていた僕は、まもなく寝てしまいました。



・・・

「ん?まだ暗い・・・。ん?」

ベッドにその人が入ってきたようです。
寝ぼけていたと思うのですが、疑問にも思わず、また眠りに落ちそうになりました。


次の瞬間、その男の人の手が、僕のズボンの中に入ってきたのです。

・・・

「これは!」

と思い、瞬間目が覚めました。覚めたというより冴えました。
実は男の人は、・・・そんな人だったようなのです。
手を払いましたが、飛び起きませんでした。
本能が危険を察知したようでした。




もう、走馬燈のように、出来事や目の前の映像が飛び込んできました。
「これ。やばいぞ!」
「あ~、だから本棚に『光Genjiの全て』って本があったんだ。」
「あ、だから優しくしてくれたのか。」
「わー、どうしよう。明日の新聞に載るようなことになる?!」

ありとあらゆる想像が、頭を駆け巡りました。



どれぐらい時間がたったでしょうか?

本能が出した答えは、
”眠そうに起きて、ジュースを買いに行く”
でした。


「あ、今日暑いですね。ちょっとジュース買ってきます・・・。」

その人は、僕を行かせてくれました。
ただ、僕は内心ビクビクものでした。
こっそりリュックを背負って、アパートを抜け出しました。
札幌の碁盤の目のような正方形の道路を、あてもなく明るい方に向かって。





あまりにもいい人過ぎて

リュックを背負ってひとしきり走りました。
もう大丈夫だろうと思うところで、荷物を置き腰を下ろしました。

あまりにもいい人過ぎて、その人を信じ過ぎてしまったようです。

でも、本当にいい人だったから、逃げるときに車のワイパーにメッセージをはさみました。
「お世話になり、ありがとうございました」


当時は、まだジェンダーという価値観もなく、カルーセル麻紀か、ばってん荒川かぐらいしかいない時代でした。
いわゆるゲ〇と言われる人だったのかもしれません。


長い行程で

旅のハプニングはある程度は歓迎ですが、この出来事ばかりは今思い出しても、ドキドキするほどです。当人はそんな悪い人ではなかったのかも知れません。

この出来事で、人を信じることの大切さと、信じすぎることの危険を学んだと思います。

でも、それも今となってはいい思い出です。



帰りに、米原駅の構内で夜を明かしました。(当時はまだ構内から出されませんでした)

朝日が昇り、影絵のような世界を見ました。今でも鮮明に覚えている美しい景色でした・・・。


おわり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?