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都内にサッカー、ラグビー、野球兼用の国立競技場を建てるのはどうだろう?

築地市場の跡地が更地になったそうだ。ここからどうするのか。昨今、そんな話を耳にした。僕はここに、サッカー、ラグビー、野球兼用のスタジアムを建設してほしいと思っている。

それが、陸連が強大な権力を持つこの国に「球技専用スタジアム」を建てる、最も合理的な方法だろう。

新国立競技場に対する球技ファンの反応

先月、新国立競技場がオープンした。1570億円をかけた巨大スタジアムだ。だが、球技ファンからの反応は散々なものだった。
サッカーファンの反応に関しては、僕自身がサッカーファンなのでよくわかっているつもりだ。
またラグビーファンの反応も、似たようなものだと思う。例えば、ラグビー元日本代表の畠山健介氏は、ツイッターにこう書き込んでいる。

オールブラックス戦、新国立以外が良いな。
年間24億円の維持費の責任をちょっとずつラグビーに押しつけられないようにだけして欲しい。

思うに、代表戦を新国立競技場で開催してほしいと考えているサッカー・ラグビーファンは、あまり多くない(本当はほとんどいないと書きたいところだが、根拠がネット上の反応だけなのでやめておく)。

この不評の最大の原因は陸上トラックの存在だと思われる。だが、あのスタンド構造や内装では、仮に球技専用スタジアムに改修されたとしてもサッカーやラグビーの試合に適しているかは微妙なところだ。(もっとも、五輪後も陸上トラックは撤去されない方針なので、これは取らぬ狸の皮算用である)

では、球技ファンに「新国立競技場を使用しないのならどうするのか?」と問うたらどうなるか。返ってくる反応は9割方「既存の大型球技スタジアムを活用する」だろう。

本当に今の球技専用スタジアムで良いのか?

しかし僕は、既存の大型球技スタジアムの活用に関して、心のどこかで「なんだかなあ」と感じていた。というのも、日本の大型球技専用スタジアムは全て東京都の外にあるし、2002年日韓W杯に向けて建設されたものであり、決して新しくないからだ。

一方世界では、大都市に巨大スタジアムが立て続けに建設されている。設計から屋根から諸設備から、最新鋭のものが詰め込まれている。

斜陽とはいえ依然として世界第3位の経済大国である日本が、20年前に建設されたスタジアムを使い続けて良いのか。巨大ビジネスであるサッカーやラグビーの日本代表戦を開催する施設が、首都の外にある20年前のもので良いのか。確かにどれも素晴らしいスタジアムではある。しかし、なんだか寂しくないか。

(一部の球技ファンが新国立競技場の使用に肯定的なのは、これが理由だと思う。あの競技場は都内にあるし、屋根や3層構造など一部設備に関しては日本最先端である。新しいし、せっかくだから使用してほしい、国を背負う代表チームは都内で試合をするべきだし、いつまでも20年前のスタジアムを使ってほしくない、と。そう考えると、肯定派の気持ちはわからなくもない)

球技専用の国立競技場を建ててはどうか

しかし僕は、都内に思い切って新たな球技専用国立競技場を建ててもいいのではないかと考える。そもそも、

・最新だが陸上トラックがある新国立競技場
・球技専用だが建設から20年経っている都外のスタジアム

のどちらかを代表戦に使用するという発想に、違和感があるのだ。
なぜ既存の施設を使用することばかり考えるのか。サッカー・ラグビー日本代表は巨大コンテンツなのだから、新しいスタジアムを建てたっていいじゃないか。世界の先進国はそうしている。どんどん新しいスタジアムを建てている。それなのになぜ、日本はケチケチするのか。なぜベストを尽くさないのか。どんと来い、新スタジアム。

しかし、サッカーとラグビーの代表戦のみで採算を取るのは厳しい。また、役所は球技専用スタジアムの話になると途端にケチくさくなるし、謎の市民団体も意味不明な理由を掲げて反対してくる。
そこで僕は、野球場も兼ねることを考えた。

野球場を兼ねるという発想

野球なら、都内に東京ドームや明治神宮野球場があるじゃないかと思うだろう。

しかし、東京ドームが建設されたのは1988年だ。綺麗なので意外だが、なんと30年以上前の建物である(ちなみに青函トンネルと同い年)。キャパは46000人。

明治神宮野球場は1926年開業。大正時代。キャパも32000人。

ハッキリ言ってどちらも、新しくもなければ大きくもない。プロ野球は昨今視聴率の低下を騒がれているが、依然として観客動員数は抜群である。毎試合のように満員になる球場もあるそうだ。ならば都内に、アメリカの"ボールパーク"のような最新鋭の巨大な野球場があっても良いのではないか。僕は野球ファンではないので憶測に過ぎないが、巨人やヤクルトファンでなくても、WBCやプレミア12のたびに「都内にもっと新しくて大きな球場があったらなあ」と考えている野球ファンは少なくないのではないか。

もしそう考えている野球ファンが多ければ、この提案は俄然現実味を帯びる。野球ファンは都内に新しく大きな野球場を手に入れる。サッカーやラグビーは、都内に採算の不安が少ない新スタジアムを手に入れる。プロ野球は試合数が多く、観客動員数も相当なもの。サッカーやラグビーの代表戦がない日でも、プロ野球が収益を挙げられる。WIN-WINの関係とはこのことだ。

サッカー日本代表、ラグビー日本代表、野球日本代表、巨人orヤクルト。この4つの巨大コンテンツが使用するとなれば、相当な収益が見込まれる。お役所や市民団体も、反対しにくいのではないか。

そんなスタジアムが可能なのか

これに関しては札幌ドームというサッカー場兼野球場があるので、疑問に思う人自体少ないと思う。しかし、約20年前に建設された札幌ドームよりも、現代型スタジアムとしてより良い例になるスタジアムがあるので紹介しよう。

それは、2016年に建設されたミネソタ・バイキングスの本拠地USバンクスタジアムだ。アメフト、サッカー、野球に使用可能な美しいスタジアムなので、ぜひ一度ググってみてほしい。一見ただのアメフト・サッカー場だが、可動席を動かすことで野球場に変貌する。グラウンド自体を移動させる札幌ドームよりも設備が簡潔で、土地も少なく済む。

このスタジアムは、建設に1100億円がかけられた。しかしこれは、ビジュアルに徹底的にこだわったことや、寒冷地ゆえに完全ドーム型構造を採り暖房を完備したことが関係していると思われる。

正直、日本のスタジアムにあそこまでする必要があるとは思えない。もっと簡素で、かつ選手や観客に優しいスタジアムにすることは出来るはずだ。耐震基準の厳しさや建設資材の価格高騰もあり、一概にUSバンクスタジアムと比較することは難しいが、新国立競技場よりも安価に建設することは可能だと思う (仮に抑えられなくても、新国立よりも楽に採算を取れると思われるので、気にしすぎる必要はない)。

規模は5〜8万人か。それ以下ならば既存施設との差別化が難しくなるので、新しく建てる必要性も下がる。
なお、野球場として使用する際は可動席が取り除かれるので、若干キャパが減る。だが、ヤンキースタジアムやグローブライフフィールドのキャパを見れば、5〜6万人収容で十分だと思う。

まとめ

長々と書いてしまったが、要旨は簡潔だ。

・新国立競技場に肯定的な球技ファンは少ない。

・奇跡的に球技専用スタジアムに改修されたとしても、サッカーやラグビーの日本代表の試合に使ってほしいとは…

・では、20年前に建設された都外のスタジアムを今後も使い続けていくのか。

・他の先進国同様に、最先端の球技専用スタジアムを建てれば良いのではないか。

・だがサッカーとラグビーだけでは採算が取れない。猛反対に遭うだろう。どうするか。

・ここで野球が登場する。プロ野球の観客動員数は凄まじい。一方で都内の野球場は古く、さほど大きくない。野球日本代表の試合に使用するにも、物足りない。

・なので、サッカー・ラグビー・野球用の多目的スタジアムにしてはどうか。USバンクスタジアムのように。サッカー、ラグビー、野球で使用すれば確実に採算が取れるだろうし、皆ハッピーなのでは。

国立の、三球技専用スタジアムを建てるのはどうだろう?

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