Ubie DiscoveryでGenerative AIのアイディア創出社内ワークショップをやってみた
こんにちは、Ubie Discoveryのhassyです!
Generative AI、とっても盛り上がっていますよね!Ubie社内でも、特にUbie Discoveryという探索・検証をミッションとした組織で、「この技術はどういったものなのか」「どのように向き合うべきなのか」、非常に活発に議論がされています。 すでに先月から検討チームが立ち上がり、技術検証やプロダクト検証を進めています。
そんな中で、短期的にどう活用できるかという視点が活発に進み、それはそれで意義が大きいのですが、「既存の延長線上のアイディアに囚われがち」、「そもそも関心が高く技術的な知見が深いメンバーに議論の参加者が偏りがち」といった状況が生まれてきました。
これに対して、既存の延長線ではなく「中長期的に医療・ヘルスケアにどのような変化をもたらすのか」を、「必ずしも技術的な知見が深くない様々なメンバーで」考えてみようという声が上がり、Generative AIのアイディア創出ワークショップを行うこととなりました。
ワークショップの目的
ワークショップの目的を改めて整理します。
エンジニア系の職種だけでなく、Bizや医師も含めて改めて技術の現在地と未来の可能性を知る
実際にプロトタイプを作って実感をする
中長期的にGiant Leapな妄想をできるための素地を作り、さらなるアイディア創出をしやすい状況にする
ちなみに、内製のChatGPTアプリを活用してプロンプトのプロトタイプを作って、爆速でプロトタイプ検証しています。使用している内製ツールの一つはこちらの記事で紹介されています。今回のワークショップでも内製ツールを利用しました。
ワークショップの参加者
ソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、医師、Bizdev、デザイナーの約12名が参加しました!
意識したポイントは、「異なる専門性を持つメンバー」を募り、「4名×3チーム程度の双方向でコミュニケーションがしやすい規模感」となることです。
ワークショップの形式
ワークショップの形式ですが、たまたまUbieには東京大学 i.schoolという教育プログラムの同窓生が3名在籍しております。(@masa_kazama 、@rhatake_jp 、@hassy_ub)そこで、10年ほど前の学生時代の記憶を掘り起こしながらそちらで学んだアイディア創出プロセスを活用してみようということになりました!
ワークショップで使う技法
※ 10年前の知識と経験であり、また技法も進化しており、必ずしても正確でない可能性があります…ご容赦くださいませ
ニーズ×シーズアプローチと強制発想
ニーズは「人が必要となるもの・こと」、シーズは「ニーズに応える手段として利用可能な技術」と考えてください。今回のケースでは「医療・ヘルスケアのニーズ」に詳しいメンバーが揃っており、かつ「Generative AIというシーズ」が明確です。
ワークの中で、「医療・ヘルスケアのニーズ」をシーズに関係なくできるだけ多く出してみます。そして「Generative AIというシーズ」が提供してくれる機能を大まかに分類して、ニーズとシーズを機械的に組み合わせてアイディアを「強制発想」することで、既存の枠ぐみにとらわれないアイディア発想に挑戦しました。
バイアスブレイキング(Break the bias)と強制発想
バイアスは「当たり前としていて、普段意識しない思い込み」を意味します。バイアスを意図的に言語化・構造化することによって、思い込みの枠組みではない新たな枠組みを作り、そこでアイディアを「強制発想」することにトライしました。
個人ワーク*グループワークの組み合わせ
良いアイディアはグループワークから生まれることも多いと思います。しかし、ワークショップに参加するメンバーの専門性が違ったり、思考の瞬発力といった特性が異なったりするため、よりよいグループワークにするために、ワークショップの中で「個人ワーク→グループワーク」という順序で組み込み、グループワークがより活性化するようにしました。
アイディアの評価軸
アイディアを出すまえに、「どういったアイディアがより良いアイディアか?」という認識を合わせておくと、考える際に余計なことを考えなくても良くなります。
新規性・有用性・実現性という3つの軸を想定し、特に今回のワークは目的を達成するために「新規性・有用性のみにフォーカス」し、実現性は考えないこととしました。
(この1ヶ月の進化が早すぎて、実現性を考慮しても現実が予想を超えてしまって結局実現するのでは?という思いもあります…)
こちらも参考にどうぞ
ワークショップのテーマ
今回は、「2025年においてGenerative AIが医療・ヘルスケアという領域でどう浸透しているのか?」というテーマを設定しました。
あえて抽象的なテーマを設定することにより、既存の延長ではないアイディアを出そうという意図と、とは言え領域とタイムラインをある程度絞らないとアイディアを出しにくいので設定しました。
2025年というのは中長期というには短く感じるかもしれませんが、Ubieというスタートアップにおいては2025年はかなりの未来であること、そしてGenerative AIの進化スピードを考えると意外と良いのでは?と考えて設定しました。
ワークショップの流れ
今回は全体で3時間の枠で実施したため、以下のような流れで実施しました。
Generative AIの現在地と質疑応答 30min
ワークショップの流れの説明 10min
個人ワーク 20min
未来の状態(ユーザーニーズ)とシーズを組みあわせて強制発想アイディア出し
グループ内共有 10min
アイディアの共有
グループワークその1 35min
アイディアが面白い理由の言語化によるバイアスの可視化・構造化
グループワークその2 30min
バイアスから思考軸を2軸設定
バイアスブレイキングによるアイディア強制発想
個人ワーク 10min
プロンプトでプロトタイプを作る
グループ内共有と評価 5min
新規性、有用性で評価する(実現可能性は気にしない!)
全体共有 10min
まとめ 10min
ワークショップ当日の様子
参加メンバーは、写真のようなカジュアルな雰囲気の中で様々なアイディアを出し合いました。グループで協力しながら、アイディアを創出に取り組みました!
グループワークででてきたバイアスの例としては、以下のようなものがあげられ、軸に設定してアイディア発想にトライしました。
病気は治さなければいけない
健康じゃないと良い意思決定ができない
他人のことを知らないと健康支援できない
人間に比べてAIは機械的である
グループワークを経て、Chat GPTを用いたプロトタイプは以下のようなものがあります。
「健康だから良い決定 ↔ 健康でなくても良い意思決定」という軸と、「ロボット(無機質) ↔ 情緒的なアバター」という軸のかけ合わせででてきた…と思われます。
ワークショップの後日、Twitterで以下のような投稿があり、やはりニーズはあるのかな…?という気づきもありました。
ワークショップの振り返り
ワークショップの終わりにはKPT(Keep・Problem・Try)で振り返りを行いました。
良かったポイント
専門性が異なるメンバーをそれぞれのチームに適切に割り振ることで様々な観点で議論ができた
オフサイトワークショップにすることで、コミュニケーション密度があがった
Ubie Discoveryという社内で行ったため、メンバー同士が仲が良く新規アイディアを出すことに抵抗がなく盛り上がった
Chat GPTを用いたプロトタイプをつくることにより、実現できること・そうでないことのイメージが深まった
難しかったポイント
軸を設定して空白地帯で強制的にアイディア発想というバイアスブレイキングがなかなか難しい
アイディアを実現のためにプロトタイプをつくろうとするとマルチモーダルで作りたくなる
思考を飛ばしたアイディアを考えても、プロンプトに落とすと現実的になってしまう
リモートで覗きにくれたメンバーもいたが、リモートだと参加体験をよくすることが難しい(Miroを使うとはいえ、コミュニケーションの双方向性や情報量がやはり物理にはかなわない)
これらを生かして、次の機会では改善していきたいと思います。
参加メンバーの生の声
参加したメンバーからも嬉しい声をもらえました!
想像以上の手応えを感じたため、次はシンプルに業務の生産性向上をテーマに、有用性と実現性を重視したワークショップをやってみようとしています。Ubie Discoveryでは、このような新しい技術への調査・探索・検証や、組織内外でのワークショップ等を通じて新しい技術の実現にチャレンジしていこうと思います!
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