【#シロクマ文芸部】私の先生
赤青鉛筆で日記を書く。
先生が美しい文字で正しく添削をしてくださった。ノートを広げ、添削の箇所をそっと撫でる。赤で書かれた部分を触ると心地良い。
ふと思い立ち毎日書いている日記を広げた。
私は先生、赤で添削いたしましょう。
昔の日記を添削し始めた。
「まあ、1年生は間違いばかり」
微笑みながら去年の私に添削をする。
「この書き方は、違い、ますね」
と日記に話しかけながら赤鉛筆で添削をしていく。
「ぼくもつかってくださいな」
急に声が聞こえた。
「だれ?」
「ぼくだよ、赤のはんたいの青えんぴつ」
赤色の部分だけ減っていくのに青色が不満を持ったようだ。
「でもせんせいは赤ばかりだよ」
赤は誇らしげに青にいう。
しばらく黙っていた青は、
「おてほんを青でかいてよ」
まぁ!素敵!
その日からは私は日記の時、
赤で添削を
青で手本を
書くようになった。
あれから5年。
私は中学に入学した。
真新しい筆箱からコロンと短い赤青鉛筆が転がった。
「これはなに?」
「私の大切な先生」
ニッコリと隣の席の子に紹介した。
(428文字)
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※ヘッダーはマエダさん(semimaruさん?)からお借りしました。
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