「元宮ワイナリー黎明奇譚」感想文
福島太郎さんが先月無料でご自身の作品を公開してくださいました。
こちらはとある公務員が自身のコミュニケーション力で復興への道を切り開く第1章とショートショートの第2章で構成された作品です。
復興応援小説&お仕事小説であると感じました。
お仕事小説って
新人さんが主役か
上を虎視眈々と狙うサラリーマンの話か
男社会に切り込む女性の爽快物語
だったりしますよね。
こちらは、そのいづれでもありません。
主人公は新人でもなく、上を狙う野心のない男性です。願うのは、その日の仕事が滞りなく進むこと。
その心が透けて見えるのか、主人公である大沼係長への周囲の視線は厳しいです。
世間で言われる役所仕事を行う周囲からは、ゴマ擦り野郎・ペテン師と胡散臭い目で見られています。
それでも大沼係長の心にあるのは「地元福島の復興」への熱い想い。
「迷惑な話・俺に聞かれても知らんがな・初めて聞く話」と思いながら、民間会社である五友物産の農業を中心とした復興支援の申し出をなんとか実現しようと奔走します。
思いつきのような市長の指示に振り回されたり、直属の上長に嫌味を浴びせられたり。
それでも、大沼係長は福島への復興支援を諦めないのです。
五友物産と一緒に仕事をしてみたい
地元の復興に関わりたい
その気持ちを忘れず、様々な人達を巻き込み突き進みます。
第1章は、
酸いも甘いも知るお役人のピュアなお仕事物語
第2章は、
優しいショートショート
で構成されている今作品は、お役所とか民間とか関係なく目標に向かって働く大切さを感じられる小説でした。
一癖ある主人公なのに爽やかな気持ちになるのは復興への熱い気持ちが伝わってくるからだと思います。
公務員×ファンタジーと銘打たれたこの作品、仕事にちょっと疲れた方におすすめです😊
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