紅葉見や近所に異界あるような

反射せぬ日のやさしさよ秋澄める

紅茶ならぬるくなっても大丈夫 取り残される準備がうまい

片付けが上手な神はいないので 話デコボコするの必然

こんなにもさむい背中の明け方の どこかに熱はあったらしくて

ぼくたちがぼくたちである必要は もうないんだよお茶をのみなね

あたたかい無言があると夢で知る 飴玉みたいな灯りの下

うつくしく些末な夜を纏わせて 簑虫なりの充足がある

サイレンのおおい季節になりました 悪いニュースを先に伝える

魔法がある錯覚させて秋の蝶

感情をなにかに喩えて云ったりを 聞いてみたいし花ぶつけたい

にぎやかな往時踏みゆく菊供養

階段を上がったところに居るのだと 枯葉ふるふる埋めて仕舞うよ

伝言のように積まれたレコードは ねがいでしたか？目隠しのまま

日常に対する恋をわたくしに 投げて下さいたぶれるほどの

日常がマサラのようであるでしょう？ あなたはきっと料理もうまいよ

消滅が確認された小さくて普通の声で話すテーブル