ピークタイムを過ぎた町中華店。皿を抱えたバイト仲間の女子が洗い場になだれ込んできた。 「日比野くんは選挙行った?」 「もちろん。ちゃんと記名してきたよ!」 蛇口から流れ落ちる水が皿を打ち続ける。 「……ねぇ日比野くん、まさか自分の名前を書いたりしなかったよね?」 「え、違うの?」