視聴覚のニッポン考

GoToトラベルキャンペーンはそこまで否定すべきものだったか|辻田真佐憲

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 非難囂々のGoToトラベルキャンペーン、いまや菅内閣の支持率を押し下げる要因にもなっているが、それほど否定すべきものだったのだろうか。今月28日の一時中止を前に、いまいちど冷静に振り返っておきたい。

 詳しくない人のために説明しておくと、政府は、コロナ禍における緊急的な経済振興策として、トラベル・飲食・イベント・商店街

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日本の保守論壇はなぜアメリカ大統領選挙をめぐって分裂したのか|辻田真佐憲

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 アメリカ大統領選挙の結果をめぐって、保守論壇が揺れている。「バイデンで決まりだ」派と、「いや、バイデンは不正をしている(だからまだトランプに可能性がある)」派に、名だたる論客たちが分裂したからである。非難合戦は次第に熱を帯び、現在では、訴訟を示唆するものまであらわれている。

 このような信じがたい“大シスマ(分裂)”は

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「米軍機撃墜の絵馬」から「教育勅語の記念碑」まで――護国神社の歩き方|辻田真佐憲

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 地方に出張したとき、筆者は各地の護国神社に立ち寄るようにしている。そこは、多種多様な記念碑の宝庫であり、戦争や地域の歴史などを考えるうえで、外すことができないスポットだからだ。多くが交通至便な場所にあり、近現代史に興味があるひとならかならずピンとくるものがあるので、史跡めぐりの初歩としてもおすすめできる。

 境内では、

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日本学術会議の任命拒否問題は「反スガ」で解決するのか?|辻田真佐憲

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 日本学術会議の任命拒否問題が火を噴いて、およそ1ヶ月。いよいよ撤回はむずかしい情勢になりつつある。各種の世論調査では、菅首相の説明不足を指摘しつつも、学術会議のあり方見直しについて首肯する意見が次第に増えつつあるからである(朝日新聞、ANN、毎日新聞、JNNなど)。

 なぜそうなったのか。その最大の原因は、学術会議の問

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令和元年に再建された「最新の神武天皇記念碑」を見に行った|辻田真佐憲

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 令和元年、神武天皇の記念碑が新しく建てられた。そんな驚くべき情報を聞きつけ、筆者は三重県熊野市に向かった。そして図らずも、過酷な山登りを体験する羽目になった。

 記紀神話によれば、神武天皇は東征のおり、河内湾からの上陸を阻まれたため、迂回して紀伊半島の南部に上陸。そこから陸路で奈良盆地へと攻め入り、橿原で初代天皇に即位

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不敬か伝統か…筑紫国岡田宮と「神武天皇の顔出しパネル」|辻田真佐憲

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 思わず仰け反った。神武天皇の顔がくり抜かれている。観光地でおなじみの顔出しパネルだが、まさかこれを素材に使うとは。隣の女性も同じく顔に丸い穴。名前は書かれていないが、同皇后の媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)だろう。戦前ではあり得なかった「不敬」な光景に驚いているのか、右上に描かれた八咫烏も瞠目の表情だ。

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「在野研究」はジャーナリズムの代替にならない|辻田真佐憲

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「昔の成功したライターは年収1000万円」。先日そんな話を聞いて、なるほどと膝を打った。いきなり生々しい話で恐縮だが、これは、大学常勤教員の年収とほとんど変わらない。ジャーナリズムとアカデミズムは、経済的な点でも、かつて並立していたのだなと思ったのである。

 ここでいうジャーナリズムとは、新聞記者などで構成される狭義のそ

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「あべぴょん」「安倍侍」「アベ」…“首相のキャラクター化”は菅新政権でどう進むか|辻田真佐憲

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 7年8ヶ月に及んだ2度目の安倍政権は、指導者が徹底的にキャラクター化された政権でもあった。

「#自民党2019」の“イケメン風”「安倍侍」は記憶に新しいが、こうした例は枚挙にいとまがない。2013年配信のスマホゲーム「あべぴょん」、2017年配布のLINEスタンプ「思ったより使える♪総裁スタンプ」では、そのゆるい名称か

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図書館の利用制限が社会の健全性を蝕んでいる|辻田真佐憲

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 コロナ禍における図書館の利用制限が、じわじわとジャーナリズムの機動力を損ねている。

 日本最大の規模を誇る国立国会図書館の東京本館は、6月より抽選予約制となっており、「この資料をいますぐ確認したい」という使い方ができない。コピーを取り寄せられる遠隔複写サービスも、注文が集中しているようで、かなりの時間を要する状態だ。

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それでも“中間”が重要な理由…「軍隊からの安全」と「軍隊による安全」|辻田真佐憲

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「冷笑主義」「どっちもどっち論」という言葉がある。「右も左もどちらも同じ」と高みの見物を決め込むものにたいする批判として、おもにネット左翼によって使用される。とはいえ実態としては、気に入らないものへのレッテルと化しており、ネット右翼がいうところの「反日」や「パヨク」と大差ない――というと、たちまち憤怒とともに投げつけられる

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