本郷恵子

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『チャイニーズ・タイプライター 漢字と技術の近代史』

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『チャイニーズ・タイプライター 漢字と技術の近代史』

漢字とアルファベットをめぐる技術の変遷はじめてワープロ専用機を買ったのは、1986年だったと思う。値段は20万円以上で、当時大学院生だった私には、かなり勇気のいる買い物だった。キーボードで入力した文章が、きれいな活字になって打ち出されると、ひどく立派なことを成し遂げたような気がしたものだ。 初期のワープロで苦労したのが漢字への変換である。いちいち時間がかかるうえに、使用頻度が低いJIS第2水準の漢字群については、必要になるたびに専用のフロッピーディスクをセットして、わざわざ

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橋本有生先生、群○象を評すがごとしです

橋本有生先生、群○象を評すがごとしです

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 橋本有生先生、群○象を評すがごとしです──5月31日の有識者会議「レジュメ+議事録」を読む 3 (令和3年7月18日、日曜日) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 前回の続きです。今日は橋本有生・早稲田大学法学学術院准教授(家族法)です。現代家族法講座第4巻『後見・扶養』などの著書・論文があります。 橋下氏は、開口一番、「皇族の婚姻や養子縁組に関わる事項もあるので、

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…『恋する日本史』

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『恋する日本史』

内親王の「悩ましい恋」は昔から!?「日本史」に「恋する」を冠するとは穏やかでない。わくわくしたり、切なかったりするだけでなく、悩み、こじらせ、恨むなど、恋は複雑だ。「愛は地球を救う」かもしれないが、恋は歴史を変えるだろうか? 日本史分野の老舗学術誌である『日本歴史』は、2020年の1月号に「恋する日本史」という特集企画を掲載した。この成果を学界・会員だけでなく、ひろく社会に発信しようという趣旨で編まれたのが、本書『恋する日本史』である。書籍化にあたっては、新たに執筆者を加え

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…『言霊と日本語』

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『言霊と日本語』

霊妙な力に惹きつけられた国学者たち 「国学」という学問をご存知だろうか? 江戸時代に開かれた学問分野で、過去の文献を研究することを通じて、日本独自の思考をあきらかにしようとするものだ。尊王攘夷運動に思想的根拠を提供したために、国粋主義・復古主義的思想研究とまとめられることが多いが、実は非常に広い範囲をカバーしている。国語・国文・地理・歴史など、過去のあらゆる要素が研究対象なのだ。 本書は、日本語学者の今野真二氏が、国語学に関わる国学者の研究を論じたものである。テーマは「コ

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コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 千年をかける人間の営み|本郷恵子

コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 千年をかける人間の営み|本郷恵子

朝廷の儀礼や作法に関する前例・知識は、平安時代以来大切に伝えられ、参照されてきた。これらの総体を「有職故実(ゆうそくこじつ)」と呼ぶ。平成から令和への代替わりで用いられた装束や調度品は、いずれも有職故実にのっとった有職文様に飾られていた。幾何学的なデザインや独特の色使いに目を奪われた方も多いだろう。『有職文様図鑑』は、桐や竹、鳳凰や鴛鴦(おしどり)などの動植物が、いかにして文様化され、生活や儀式に用いられたかを、全編カラーで体系的に示してくれるものだ。自然や季節と、源氏物語か

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…『テレビの荒野を歩いた人たち』

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『テレビの荒野を歩いた人たち』

「面白そう」「やっちゃえ」黎明期を知るレジェンドたちの証言 かつてテレビが生活の中心だった時代があった。テレビは未知の世界に通じる窓で、新しいこと・楽しいこと・素晴らしいことがいっぱい詰まった魔法の箱だった。1953年2月にNHKが本放送を開始、8月には日本テレビが最初の民放テレビ局として開局、シャープの量産第1号テレビの価格は17万5000円(当時の国家公務員の大卒初任給が7650円)と、とんでもなく高価だったという。本書には、全くの手探りの時代からテレビの仕事に携わり、

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…『江戸大地震之図を読む』

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『江戸大地震之図を読む』

描かれた情景の奥にあるもの 安政2年(1855)10月2日、最大震度6の直下型地震が江戸の町を襲った。首都は破壊され、死者は7000人以上にのぼった。この地震の発生から被災の状況、復興に至る過程を描いた絵巻「江戸大地震之図」が「島津家文書」中の一書として伝来している。 多くの商店が軒を連ねる賑やかな風景は、夜に入って一変する。建物が倒壊し、町は炎に包まれる。火事が終息に向かうと、死者を運び出し弔う一方で、ありあわせの建材で仮小屋が造られる様子が見えてくる。あちこちに避難先

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…『再び話せなくなるまえに』

本郷恵子さんの「今月の必読書」…『再び話せなくなるまえに』

勇敢で高潔な魂の声  小児神経学を専門とする女性小児科医が、47歳の6月に異変を感じる。身体がだるくて落ち着かない。ATMでお金をおろそうとしたら、4桁の暗証番号を思い出せない。外来勤務でも、患者さんと話がかみあわず、混迷の3日間を過ごす。脳梗塞による失語症状だった。  そして9月のある朝、「おはよう」と言ったつもりが、口からは意味の分からない音が出るだけで、身体の右側が麻痺していた。脳梗塞の再発である。  再発当初は、息子の名前を発語することもできなかった。言葉は頭の

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【全文公開】世界の構造を知る 本郷恵子さんの「わたしのベスト3」

【全文公開】世界の構造を知る 本郷恵子さんの「わたしのベスト3」

東京大学史料編纂所教授の本郷恵子さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。 『古文書学入門』は1971年初版、97年に古文書例文の増補や語彙の補訂等を行った新版が刊行された。古代~中世の古文書の様式や解読を学ぶための基本図書で、大学の古文書学の授業等で一貫してテキストとして使われてきた。古文書とは、差出者と受け取り手のあいだでのコミュニケーションの手段である。それがどういうスタイルをとるかは、両者の力関係や書かれている内容の性格、背景となる社会における支配や規範の形態

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本郷恵子さんの「今月の必読書」…新井孝重『中世日本を生きる 遍歴漂浪の人びと』(新井孝重)

本郷恵子さんの「今月の必読書」…新井孝重『中世日本を生きる 遍歴漂浪の人びと』(新井孝重)

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