鬼。我が子の為に鬼になった鬼子母神。愛に狂う鬼になる女。 守銭奴で金に狂うのは鬼とは言えねえか。 異形の相の鬼になりながらさ迷えるのは嬉しいか？悲しいか？ 浅ましいなぁ。そんなに未練があるのかよ。そんな風に悪態つくと「ありがてぇ」と返ってきた。 浅ましいのは人でいたい私だよ。

to be continue やっと帰って来たら、ベッド下に犬の気配がする。音もする。金とん雲に乗って帰って来たか？ベッド下をランタンで灯しても、それはいなかった。でも帰って来たか。馬鹿な犬。約束を守る人間はもういないよ。 呑気な馬鹿くらいだって。 でもあの約束は果たせたよ。

僕は此処の生まれだから、もう良い。新しい暮らしの為にあのバスに乗せたら、僕はあの約束を果たせる。 そう、「やっと見つけた。やっと連れて帰れる。」 深いエンジとオレンジのチェックの長袖のワンピースの人の手が伸びた。こいつは競っている訳では無い只心配しているだけ。だからバスに乗せる。