やはり山崎努の演技が頭を離れない。ラバウルで生死を彷徨い、その戦地の土を持ち帰り、仏壇で手を合わせる。「生きなければ」という念とともに、「生き残ってしまった」という悔恨の情があるのだ。どうせならば戦って死にたい。いや戦う者のために死にたい。それがあの「ラバウル小唄」だったのだ。
映画「奇跡のリンゴ」を観た。書きたいことはいくつもあるが、義父役の山崎努の演技が秀逸。息子の無農薬に協力するため貯金を全額おろすのだが、その帰りのシーン。「ラバウル小唄」を口ずさむのだ。まるで戦友たちに捧げるように。そして戦地に赴くように歩き出す。余計なセリフは一切ない。よい。