ぶるっちの読書日記

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【ぶるっちの読書日記 第38回】 恥ずかしながら私、読んだ本の内容を忘れやすいタチなのです…そんな私が、数年前に読んだにも関わらず詳細を覚えているのが本作。ラストシーンを思い出すだけでウルッと出来るのは、私にとってはこの本しかありません。 「容疑者Xの献身」東野圭吾(文春文庫)

【ぶるっちの読書日記 第36回】 物事を真摯に観察し、その理を普遍的に詳らかにする…理系ミステリらしく条理が整ったストーリー。しかしその餡には微かなセンチメントが忍ばせてある。そんな人間の愛らしさは、きっと「科学」と相反するものではないのだ。 「リケジョ!」伊予原新(角川文庫)

【ぶるっちの読書日記 第31回】 パッと見はキャラ萌えゆるゆるの癒し系。一方で、冬キャンプの凍える寒さや、明け方の富士山の輝きを見事に描き切った表現派。その両立こそが、このマンガが持つ高いオリジナリティの源泉だと思うのです。 「ゆるきゃん△」あfろ(まんがタイムKRコミックス)

【ぶるっちの読書日記 第34回】 「コミュニケーション能力が不足しているから、手段である英語も獲得できない」…発行された1982年当時はおそらく先鋭的だった議論が今も変わらずここにあるのは何かもどかしいのです。 「外国人とのコミュニケーション」J.V.ネウストプニー(岩波新書)

【ぶるっちの読書日記 第32回】 古典と呼ばれても遜色ないような歴史的名作。人間関係のドロドロや、それに関わる殺人も起こるミステリー…なのに、読みにくさが全くない。フィクションと現実との距離感の上手さこそが赤川小説の真骨頂なのです。 「三毛猫ホームズの推理」赤川次郎(角川文庫)

【ぶるっちの読書日記 第35回】 超自然的な小説は、想像力がオーバーヒートするためあまり得意ではありません。しかし本作は、浮世離れしながらも叙景的で、際立ったキャラクター達が縦横無尽に舞い遊ぶ、快然たるファンタジーでした。なむなむ。 「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦(角川文庫)

【ぶるっちの読書日記 第21回】 昔、見栄を張って「キッチン」の英語翻訳本を買いました。難しくて読み通せないかなと思ったのですが、なんと完読できたのです。シンプルな英語で、色や匂いまで感じ取れました。それだけ世界的名作なんだと実感したのです。 「キッチン」吉本ばなな(角川文庫)

【ぶるっちの読書日記 第11回】 大人が忘れてしまった、重くて痛々しい「子どもの無力さ」がここにはある。「こんな作品、所詮ライトノベルだろ」とうそぶく人に、この作品は決して届かない。 大人こそ、そんな偏見をなくすべきなのに。 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹(角川文庫)

【ぶるっちの読書日記 第7回】 「水曜どうでしょう」名物Dのエッセイ集。普通の番組が「旅」を企画の軸に据えるところ、どうでしょうは「互いの信頼」を軸にします。行き当たりばったりで喧嘩ばかりでも、それが素直に笑える稀有な番組なのです。 「人の波に乗らない」藤村忠寿(朝日新聞出版)

【ぶるっちの読書日記 第28回】 角田さんが世界中を旅した際にしたためたエッセイ集。僻地も含む、時に大胆な旅。その感慨を、古の紀行文であれば和歌に託すところ、本作では淡々と記していく。しかしその端的な詩情は、不思議な高揚感を呼び起こす。 「いつも旅のなか」角田光代(角川文庫)

【ぶるっちの読書日記 第14回】 心情の揺れ動きや表情の変化など、文章のみで過不足なく伝えるのは難しい。しかし、本作は2人の女流剣士を主人公に、素敵なスポーツ青春モノを構築している。爽快とはかくもノスタルジックなものか…(笑) 「武士道シックスティーン」誉田哲也(文春文庫)

【ぶるっちの読書日記 第4回】 「すべてがFになる」で有名なミステリ作家 森氏の1998年ウェブ日記。多作な作家らしい、種々の話題で書き下された膨大な文章。氏の(正用でも誤用でも)「穿った」視点に触れると、頭の中が洗濯された気分になる。 「すべてがEになる」森博嗣(幻冬舎文庫)

【ぶるっちの読書日記 第3回】 鴻上氏のエッセイ単行本第17弾。柔和なようで鋭利な筆致。10代で初めて触れた氏の文章は、私の人生観に大き過ぎる影響を与えている。 ー芸能は「肯定感」を、芸術は「挑発」を与えるものー 「この世界はあなたが思うよりはるかに広い」鴻上尚史(扶桑社)

【ぶるっちの読書日記 第2回】 思想から芸術、経済から科学までのリベラルアーツに関するプロとの対談集。平野啓一郎さんの小説論や山極寿一さんの人類学論は読んで損はないかも。 「これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講」菅付雅信 編(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

【ぶるっちの読書日記 第1回】 『競争優位性のある戦略の真髄は、他人に話したくなるストーリー』という提言で著名な経営学者の日記。論理的洞察と個人的嗜好とを交えた軽妙洒脱な文章は、『事実』だけでなく『事実を捉えるセンス』まで追体験できる。 「戦略読書日記」楠木建(プレジデント社)

【ぶるっちの読書日記 第37回】 物質的豊かさには流されないムーブメント…この本はそれを「一時的流行」ではなく、「昔ながらの基本的な営み」として記しています。淡々とした、でも何より魅力的な日常が羨ましいのです。 「大東京ビンボー生活マニュアル」前川つかさ(ワイドKCモーニング)

【ぶるっちの読書日記 第33回】 何のきっかけでこの本に辿り着いたのか全く覚えていません。ただ、中学生の時にこの本を読み(当時はコバルト文庫でした)、何かを創作したい衝動に駆られたのをはっきり覚えています。紛れもなく、私を形造った原点です。 「星へ行く船」新井素子(出版芸術社)

【ぶるっちの読書日記 第30回】 攻めたタイトルに対して、非常に堅実な内容。要点はよくある自己啓発本と遠くありませんが、作者が足掻いてきた軌跡を綴る真っ直ぐな言葉の重さこそが、この本の価値そのものだと思うのです。 「作家で億は稼げません」吉田親司(エムディエヌコーポレーション)

【ぶるっちの読書日記 第29回】 最近流行りのごはん作る系マンガ。ゆっくりまったりの癒し系で、登場人物みんな優しくトゲがない…気持ちが洗われる貴重な経験が出来ます。そういう意味では、読者に向けた「ごほうび」でもあるのですね。 「ごほうびごはん」こもとも子(芳文社コミックス)

【ぶるっちの読書日記 第27回】 自分の夢が他人の夢と相容れない時、私はどうすべきか・・・軽いタッチの表紙に騙されるなかれ。この本はライトノベルの風貌をしながら、本質はSFであり、任侠ものであり、そして哲学書そのものなのです。 「猫の地球儀 その2 幽の章」秋山瑞人(電撃文庫)