ヒマワリへ妻が耳打ち。「夫を見張って」ヒマワリは太陽を仰ぎつつ花弁の耳を澄ます。女とからみあう夫……ヒマワリの中心円スピーカーの再生を聴くと、妻は夫ごと家を破壊。廃墟となっても、ヒマワリは生き太陽を独占し巨大化し。そして今迄四方で聴いた秘密や雑言を、雷鳴の如く、街じゅうに轟かせ。

ヒマワリへお巡りが声かける。「月下美人を見んかね」女に化けた月下美人が男を誑し破滅に追い遣ると。「一夜しか咲かんのに難儀な奴だ」良いじゃないの、私など夜に咲いても馬鹿にされるだけ。「白昼でも悪さはできる。君も邪気のないフリして遣り手と聞くが」睨むお巡りに、男が悪いわ、と含み笑い。

彼氏を婦人科に放りこむ。通常入口でなく男性用ポストに。私は部屋でFRaUなど読み、待つ。「のははは」「え、そんな所？」「ぎええ」とかいう声が時々。女医に呼ばれ。頬がこけ眼を剥いた儘床に眠る彼氏を横目に、煙草吸いつつ「あれは使えないわね」と。私は独り、FRaUで見た服を買いにゆく。

僕は魔法使い。能力はまだない。「お前はそのうち出るから」とママも先生も投げ遣り。８月最後の週、同級生二人と「武者修行」の旅へ。まぁ喫茶店で食べたりゲームセンターで遊んだりするだけ。二人はもう能力があって、お金は木の葉を使う。夜はラブホテルに泊る。サイケな色に僕らの方が幻惑される。

転がす選手権。年一回転がされ今年50回目。フンコロガシ、夫を転がす主婦、世間を転がすライター、当たりの無いガラガラをひたすら転がす老人、ビキニ姿で体じゅうローラーを超高速で転がすモデル、ブルドーザーの転がるキャタピラに轢かれペラペラになる青年……「己で転がしてない」と青年は失格。

ワタクシ事ですが、猫飼い始めました。いえ禁止なので、フリで。フードあげて、ブラシして、猫じゃらしで遊んであげて、魚の食卓に登るのをこれこれと叱って。最近、床に本が落ちます。起きると手に掻き傷があります。或る夜目覚めたら、私はふわふわした見えない背にのって、河原を駈けていました。