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NEC 交差点のリアルタイム分析の実証実験についての懸念点

交差点の様子をリアルタイムに分析

交差点に4Kカメラを設置し、次世代通信5Gで画像をそのままクラウドに転送し、クラウド側で処理を行い解析する仕組み。
今回、検証したのは、「交通状況測定」「インシデント」「プライバシー保護」とのこと、肝はやはり「インシデント」であろう。

インシデント

記事内で想定されているインシデントは「人の倒れ込み」と「害獣の発生」である。
「人の倒れ込み」は酔っ払いや事故、病気、喧嘩などの早期の発見と対応を見込んだ仕組みだと思われる。こういった情報を警察等が即時把握できるようになると、街の見回りの工数が少しは削減されるのかもしれない。また、周りに人がいない時間帯に発生した問題にも迅速に対応する事ができる。
「害獣の発生」は(大きな交差点であれば)可能性は低いと思われるが、山岳部では道路や畑を含めて非常に多く、農家や山を管理する人たちの悩みのタネの一つである。しかし、これまでリターンが大きくなかったため大規模な開発はされてこなかったが、今回しっかりとしたエンジンの形でNECが開発しているのであれば大きな進展だと感じる。

4Kと5G(大量通信と大容量動画)

今回の仕組みは4Kの画像を5Gで送信する仕組みで実装しているが、これはかなりの大容量通信を行っている。4K 30fps で1分 約0.7GBのデータとなるため秒あたり約12MB程度の大きな通信である。
大量なデータを送るといくつかの課題が発生します。

大量通信の課題①「送信量が下がった場合どうなるか?」

例えば、「送信量が下がった場合どうなるか?」という点だ。通常時はその速度で通信が行えていても、送信量が12MBより少なくなった場合に送信が間に合わなくなる、その場合に自動的に画質を下げて送信を優先する事ができるような仕組みはあるのか?
それとも「徐々に時間的遅延が拡大する」 or  「一時的に送信が送られなくなる」の2種類の状態が起こるのか?
これは技術的な課題ですが、送られなくなる場合に「解析されない時間が発生する」ということです。
その問題が見つかった時に、「その頻度は?」「発生した場合どう対処するのか?」「解決にはどれくらいのコストがかかるのか?」などが議論されるのが正しい実施検証だとお思います。

大量通信の課題②「大量の通信・データ」

1分で約0.7GBということは1時間で約43GBです。(クソ重たい)
こんなデータを送っていたら、通信制限が存在する契約では難しくなってきます。(皆さんが利用している携帯契約では難しいでしょう) 
ですので、1つのカメラ当たり5千円〜1万円程度の通信料金を覚悟してください。
また、大量の生データを保存しておくということになると、また大変なことになります。
1ヶ月分で1,290GBにもなりますので、これをクラウドに保存する場合はAWSであればS3というサービスに保存することになります。
AWS S3の標準の価格は0.023USD/GBですので、1,290GBを保存すると月々29.67$(3,727.99円程度)かかることになります。
データ処理を含まない、通信とデータ保存だけで約1.4万円程度かかってしまうのです。(原価ですよ…)
これに4Kの画像をリアルタイムに処理する画像解析エンジンが必要になります、私の認識ではこれにも月々数万円かかると思います。

ニーズと価格

より良い仕組みを作っても価格が高くて利用できない場合があります。
今回の仕組みは行政向けだと思われるので、少し高くても問題ないのかもしれませんがコストダウンの小さな施策を入れないとかなり高い仕組みになってしまいそうだと感じました。

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