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アスリートこそ本を読んだ方がいいと思う理由。

スポーツメンタルコーチ橋本(@0240yuro)です。

突然ですが、私はアスリートこそ本を読んだ方がいいと思います。

そんなことをする暇があったら練習をした方がいい!
本を読むのなんてめんどくさい!

まあ、そう思ってしまう気持ちもわからんでもない…
しかし、そう言ってしまう前にちょっと考えてみてほしいことがあるのです。

それが「本を読むことが自分のパフォーマンスを高めることにもし繋がるとしたら?」ということです。

今回は、そう主張する理由を書いていきます。

先人の物語に触れる絶好の機会

本というのは知識の結晶です。しかもただの知識ではありません。

書いた著者が何年も何十年も積み重ねてきた、血の滲むような努力の結晶です。

例えば、室伏広治選手の『ゾーンの入り方』という本があります。
この本は2017年に出版されています。

室伏選手というとシドニー、アテネ、北京、ロンドンの4つのオリンピックに出場。アテネでは金メダルに輝いています。まさに世界のトップアスリートです。

そんな室伏選手は1974年生まれ。そしてこの本に出てくる一番幼い時のエピソードは9歳の時。お父さんである重信さんが出場したロサンゼルスオリンピックについていった時の話です。これは1984年の出来事です。

だとすると、1984年〜2017年のことが書かれている本だということになります。室伏選手が33年間にわたって、必死になって積み重ねてきた努力や研究の成果が記されている本であると言えます。

もちろん全てではありません。なんと、その33年間で大切だと感じたことを書いてくれています。言い方が正しいかどうかはわからないですが、オイシイところを我々は味わうことができるのです。こんなにありがたいことはありません。

では一方でこの本を読むのにかかる時間はどれぐらいでしょうか。
読む人にもよるとは思いますが、長くて数時間でしょう。

世界のトップを走っていた選手の33年間の大切な部分を数時間あれば知ることができるんです。そしてそれが1000円もしない(中古ならもっと手頃)のです。改めて自分で書いていてびっくりしています。

もちろん、これは室伏選手の本に限ったことではありません。多くのトップアスリートの皆さんが出版されている書籍には、そういった物語が記されています。


競技人生の時間と質

選手が選手として活動する時間はというのは、果たしてどれぐらいの時間になるのでしょうか?

仮に10歳〜30歳までの20年間選手として活動したとしてモデルを考えましょう。

1日3時間ほど練習を週5日間として、一週間で15時間。
一年には52週ありますから、15×52=780時間。
20年間とすると練習時間だけで15,600時間になります。
(絶対もっと練習するやろ…)

トレーニングや生活場面で競技のことを考える時間があったとすれば、もっと多くの時間がかかっていると思います。

しかし、時間は無限ではありません。

だからこそ、その限られた時間をどう使うか??が課題になってくる。
それは「どれだけ質の良い時間を積み重ねられるか」というチャレンジでもあります。

さて、ここで本を読むことが

自分の経験だけを頼りにし、一から何もかもを作ろうとするのか。
先人が積み重ねてきた知恵を学び、自分なりにアレンジしようとするのか。

という二つの過ごし方の境い目になっているとしたらいかがでしょうか?

どちらが質の高い時間を過ごすことができるか、そして同じ時間を過ごした時にどちらが高いパフォーマンスを発揮できるようになっているでしょうか。

15,600時間(だからもっとあるやろ)の使い方をどうするかは自由です。

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自分の競技人生も一つの物語

今この瞬間の結果が良くないことに落ち込み、メンタル的にボロボロになってしまう選手がいらっしゃいます。

自分の心が作り出す悔しさや苦しさといった感情に呑み込まれてしまい、「もうダメなんじゃないか…」と諦めてしまいそうになってしまうのです。

そんな選手とコミュニケーションを取っていくと「この現状(いい結果が出ない)がこのまま続いてしまう…」と思ってしまっているケースが多く見られます。

しかし、そこで折れてしまっては本当に終わってしまいます。
試合終了するのは諦めた時なのです。

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漫画『スラムダンク』より安西先生のことば

だからこそ、現状を乗り越えるための力をつける準備の期間だと思った方がいいのです。そしてそう思うためには、中・長期的な目線で自分の現状を一つのストーリーとして捉えることが大切になってきます

そんな視点を持つのに絶好な方法は、やはり他人の物語に触れること。自分ひとりの経験や視野というのはちっぽけなもの。そんな時は自分の置かれた状況から一度を離れ、客観的に物事を考えるための材料を得ることは非常に有効です。

そういった意味では活字に限らず「漫画」でもいいのです。もはや「映画」とか「ドラマ」でもいいかもしれません。

困難に立ち向かい、乗り越える。そんな経験を疑似体験しておくだけでも、自分自身の現状に意味を見出す大きなヒントになります。

困難に立ち向かい、乗り越える。そのための言葉をたくさん知っていれば、苦しい状況でも自分を奮い立たせられます。

引き出しがいくつもあるということが、勇気に変わるのです。

憧れのトップ選手の本や、自分がやっている競技の漫画(または似た競技でもいいかも)なんかがあったら、ぜひ手にとってみて下さい。きっとそこには、同じように困難な状況を乗り越えてきた物語があるはずです。

今の自分ができる小さなことを一つでも見つけることができれば、それは自分自身の成長になりますよ。

少しでも、競技人生にプラスになりますように。

支援していただける方々のおかげで活動できております。いつもありがとうございます。