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閉じながらも開く?福祉施設の小さくて地味な実践。

私たちが主宰する暮らり(介護施設とデザインオフィス)では、不定期でありますが週に1回程度、八百屋を開いています。

暮らりの八百屋は、沢山の人に来てもらいながら、暮らりという建物や取り組みを気にかけてくれたり、何かあったときに声をかけてもらえるような存在になれたらいいなという思いで活動しています。

・地域の人とのコミュニケーションを増やしていこう

地域の人にとって介護は必ず必要になるけど、少し距離感のあるものだと思います。私たちは前述したように、何かあったときや困ったときはいつでも相談にきてもらいたい。という思いです。しかしながら、大切なことを相談する相手はどのような人か?と問うときっと信頼のおける人ではないかと思います。

介護事業をしているだけでは、とてもじゃないですが、信頼関係を構築するにはコミュニケーション量や頻度が足りません。

コミュニケーション頻度を増やすためには、介護以外の事業をする必要がったのです。それが八百屋を開くことになった一つ目の思いとなります。

・暮らりを地域の共通資本へ

人口が減っていくと、あらゆるサービスがなくなっていきます。昔ながらの商店街をみると明白でシャッターがたくさん閉まっています。需要はあるのに供給が足りない時代となっているのです。しかしながら、サービスの競争に勝つのも簡単ではありませんし、雇用するのも難しいのも分かります。

サービスが無くなっていくことの、個人的な危機感はコミュニケーションの場が無くなるという点です。人は購買行動を通じてコミュニケーションをとり、緩いつながりを作っていたのだと思います。そういった場が少なることを危惧しているのです。

明確な答えはないですが、今私が考える答えは、今ある場でほんの少しだけでもいいから他者と共有するような場や空間、活動を行うということです。つまり、余白を残しそこがコミュニティスペースと化すといいのではないかという提案です。

私たちは八百屋の活動を通して、「暮らりは、みんなに使ってもいい場所なんですよ」と知ってもらう表現活動だというとらえ方もしています。

サービス(資源)がこれからも無くなっていく中、少しでも暮らりに介護以外の機能をもってもらいながら、地域の共通資本だと思って(感じて)もらいたいという思いがあります。


地域の農家さんや飲食店さんから仕入れたものを販売させてもらっています。今年に入ってからはフリードリンクやお裾分けフードなど店長が試行錯誤しながら、より沢山の人に来てもらいコミュニケーションをとっていく方法を模索しているようです。

日々のチラシ配りのおかげもあって徐々にお客さんの人数も増えてきたり、今まで関わったことのない人たちも来てくれるようになっています。

地道な営業活動に勝るものはないんだなと改めて勉強させてもらっているところです。

コミュニティスペースは開く必要があるのか?

暮らりの八百屋を実践しながらコミュニティスペースのあり方も同時に試行錯誤しています。

コミュニティスペースと聞くと、常に開いているという認識をお持ちの方も多くいますが、暮らりの担うコミュニティスペースは基本的に閉じています。

暮らりは介護施設という側面も持っています。中には認知症もあり会話が難しかったり相手の感情を把握することが難しい方もいます。はじめて関わるかたはびっくりしてしまうかもしれません。
このような背景もあり、どこまで開いていくかというのは考える必要があります。
「 閉じながら開く」という相反することを柔軟にやっていくバランス感覚がとても大事ということです。

完全に閉じてしまうと組織や事業所としての可能性は広まりません。できる範囲で無理なく開いていくあり方が、福祉施設の開き方に適しているのではないかと最近思うようになってきています。

私たちの小規模事業所でもなんとかやれています。
このような活動を通して、地域の人との関係づくり、採用や利用者さんの接点までお金で表すことのできない様々な恩恵を受けてきています。

もしみなさんの事業所でも地域活動やっていきたいという思いのある方はぜひお声かけしてもらえると嬉しいです。

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