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独り暮らしとミニトマト。

自ら強制的に始めた独り暮らしの2年目の初夏に、
春先に植えたミニトマトが実った。

葉っぱのしなり方であげる水の量を調節したり、
途中でやってきた虫の襲撃をなんとか乗り越えて、
ミニトマトは順番に色を付けて、綺麗な赤色に染まった。
強風に煽られて植木鉢ごと倒れたり、
ホームセンターでどの肥料にするのかを知識がないなりに吟味して、
初めて収穫できたのは3つぶだった。

ミニトマトの存在は私にとっては
ミニトマトの苗の領域を越えていて、
一緒に住んでいるルームメイト的な存在になっていたりして、
今日も独り暮らしを存分に愉しませてもらっている。






隣のプランターで育てたバジルと、
母がいつも持たせてくれるクリームチーズと、
お気に入りオリーブオイルでカプレーゼにする。

独り暮らしにミニトマトはちょうどいい。

オリーブオイルがかかった獲れたてのミニトマトが
口の中で弾けた瞬間、その甘さに思わず涙があふれた。
ミニトマトはただ美味しいだけじゃなくて、
ただ甘いだけでもなくて、
私の口の中に在るはずなのに、
優しく包み込んでくれるみたいだった。

私の知らないミニトマトの味だった。






そんな風にミニトマトが美味しいを教えてくれて、
瞑想を重ね過ぎて、迷走しかかった私の人生の本質を
証明してくれたように感った。


きれいごとに聞こえてしまうのかもしれないし、
あるいは、もっと自分のために生きればいいと、
君は優しすぎる。損をする。と、言われ続けても、
それをきっと私は止めないし、辞めるつもりもなく、
そんな私の本質を知る人が、
「本当に倖せになってほしい」
と声をかけてくれているのだとしたら、
こんなに倖せなことはなくて、
生きているのが申し訳なくなってしまったりする。








今日は雨予報だったのに、綺麗な空が見える。
さっき真っ赤に染まったミニトマト3つぶ、収穫した。
この3つのミニトマトは早速、
大事な人に食べてもらおうと思う。

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