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文章の質を高める「違和感に気づく力」を養える本、5選

仕事をしていて気づいたことをツイートしたら、思わぬ反響をいただきました。みなさんの学びにもなれて嬉しいです。

「で、どういう本を読んだらいいの?」という疑問も出るかもと思ったので、部屋を見回して目に入った本から個人的なおすすめを選んでみました。

(推敲なしで書いているので、文章が荒い部分はご容赦ください。)

岩佐義樹『毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術』

プロフィールによれば筆者は「毎日新聞社の用語委員会用語幹事」を務めており、まさに校閲の現場で仕事をする「違和感に気づくプロ」です。一つひとつの事例も参考になりますが、地の文にも意識が届いているので、とてもわかりやすく学べます。

ブログやnoteでノウハウ系のコンテンツを書くなら、大いに参考になることでしょう。

辰巳浜子『料理歳時記』

うつくしく、無駄がなく、実用的。僕の知る限り、これほどのすぐれた教本はないのではないか、と感じるほどの一冊です。言葉が荒れてきたなー、と思ったら開くことが多いです。

筆者は戦後まもなく料理の指導をはじめ、世にひろく教え、記した第一人者といわれます。NHKの「きょうの料理」のレギュラーも務めていました。

あまねく人々へ調理の要点や、味わいのイメージ、家庭料理の尊さを伝えることを目的としていたはず。丁寧できれいな言葉を、堪能できます。

吉行淳之介『宮城まり子が選ぶ吉行淳之介短編集』

文学も、日本語の表現を学ぶうえでは欠かせません。僕が私淑しているのが吉行淳之介です。エッセイや対談も面白く、影響を受けるのですが、こと「違和感に気づく力」の観点でいえば、彼の書いた純文学はおすすめ。

吉行が目指したのは「水のような文章」だったといいます。言葉に無駄がなく、テンポに優れ、作品に寄って差はあれど装飾も華美でない。心的なイメージを言葉にする力に長けた文章は、僕のお手本であり、憧れです。

ただ、エンタメ寄りの小説やエッセイは、新聞や雑誌が主戦場だったこともあり、読者層を想定してか、文章はややゆるめ。

彼の作品をまとめた本では、この『宮城まり子が選ぶ吉行淳之介短編集』が文量としても、収録作としても、文句のないほどの一冊です。

余談で、「違和感に気づく力」とは関係ありませんが、この本の冒頭の宮城まり子さんからの恋文的なメッセージは、何度読んでも、ふるえます。

川端康成『新文章讀本』

小説つながりで、もう一冊。日本語表現の実例として外せないといえば、川端康成も挙がるはず。その川端康成が文章論をまとめています。

解説の鮮やかさ、その文章の端正さは、各文章論に加えて学びも多いはず。

平松洋子『買えない味』

「温かみ」を込めながら、なおかつ文章も……と思うと、僕は平松洋子さんに一票入れたい。『買えない味』に限らず、平松洋子さんのエッセイならどれでもいいくらいなので、好みのテーマのものから手にとってみては。

料理や食べることがお好きなら、『味なメニュー』や『そばですよ』あたりも、ぜひ。

補足ですが、今回は翻訳本を入れていません。「翻訳調」は指示代名詞が多くなったり、言い回しがこってりしがち。先にそちらで感覚を養っていくと、気づかずに使ってしまいかねないので、僕は最初から日本語を意図して書かれたものを読むのが、まずはいいんじゃないかと感じます。

また、文章としては、ちょっとそのまま勧められないのですが、内容としては、谷崎潤一郎の『文書読本』は一読の価値ありです。たしか大学生の時に読んで、それまで気づけていなかった日本語のアレコレを知りました。

ご参考まで!みなさんの「鍛える本」も知りたいです!

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